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 webnews 08/01/10 (木) <前へ次へindexへ>
ゴールに迫る井上翔太(赤・東福岡)
東福岡、九州対決を制して5年ぶりのベスト8。
第86回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 東福岡高校vs.佐賀北高校

2008年1月3日(木)12:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:3,807人 天候:晴
試合結果/東福岡3−1佐賀北(前1−0、後2−0)
得点経過/[東福岡]横山(17分)、串間(54分)、木藤(59分)、[佐賀北]奈良(75分)


取材・文/中倉一志

 全国9地域の中でも九州地区は地域内の結びつきが強い。もちろん、各県毎の地域性は異なっているのだが、同一地域に所属しているという意識は他の地域よりも強いように感じる。逆に言えば、それは互いを強く意識しあうことにもなる。この試合を迎えるにあたっての両監督の意識の中にも、それがはっきりと表れていた。

「新人戦の九州大会では1回当たっていて2−1で勝っているので選手たちに苦手意識はなかったですね」(松尾智博監督・佐賀北)
「このチームになってから、昨年度の2月に九州の新人戦で負けてしまって。スコアは忘れました。あまり書かれたくないので(笑)」(森重潤也監督・東福岡)。

 佐賀北はエース七田和謙を1トップに置く4−3−2−1の布陣。エース七田にボールを収めて、両サイドから古川純平、松尾伸を飛び出させるのが狙いだ。迎え撃つ東福岡はスピードに強いDF三刀屋慶昌を古川のマンマーカーに指名。さらに七田には串間雄峰、松尾には木藤雅卓をつける。相手の特長を消すのが東福岡のサッカー。まずは佐賀北の攻撃を抑えることからゲームに入る。



早い時間帯に七田を失った佐賀北は松尾(緑・11)に楔のボールを集める。
東福岡の攻撃の鍵を握る横山(赤・17)。貴重な先制ゴールを決めた。
 しかし開始直後の7分、佐賀北は七田が左足の肉離れのためにピッチを退くアクシデントに見舞われる。「そうとうに痛かったですね。裏にボールを運べる数少ない選手の1人なので、点を取りに行くところでチームの力が半減した。彼の怪我がすべてと言っても過言ではないくらい、うちにとっては絶対的な存在でしたから」(松尾監督)。急遽、前山亮を投入して中盤をダイヤモンドにした4−4−2に変更したが、上手く機能しないのは致し方なかった。

 一方、守備の負担が減った東福岡だか、古川、松田をしっかりとマンマークし慎重に試合を進めていく。スピードを上げずにゆったりしたリズムで試合を進めるのは、まずは守備重視で戦おうという試合前のプラン通りだ。これは佐賀にとっては厳しかったはずだ、ただでさえ、七田に対する依存度が高いチーム。その七田を欠き、さらに相手に守備重視で来られては攻撃の形を作るのは難しい。振り返ってみれば、前半はは1本のシュートしか打たせてもらえなかった。

 そして当然のように東福岡が先制点を奪った。時間は17分のことだった。起点となったのは今大会で好調を維持する皿谷圭史郎。右サイドをドリブルで突破してゴール中央へ折り返すと、そこへ左サイドから斜めに走りこんだ横山博一が右足で合わせた。ゆったりとしたリズムから一気にトップギアにシフトチェンジし、ピッチの幅を広く使った末に生まれたゴール。東福岡らしいゴールだった。



 佐賀北の攻撃力が半減したことで、東福岡には守備重視の戦術から攻撃的にシフトする手もあったはずだった。しかし、今大会の東福岡は現実重視。あくまでも守備を固めることに重点を置いた戦いを変えることはない。前山のドリブル、松尾のポストプレーで攻撃を組み立てようとする佐賀北に対して高い位置からプレッシャーをかけ続け、相手の攻撃をつぶすことに力を注ぐ。「守備重視に置いた分、攻撃がいつも通りに行かなかったことが課題だったかな」。森重監督は試合を振り返ったが、これも戦い方のひとつだろう。

 そして東福岡の追加点はセットプレーから。54分、右からのCKに串間が合わせて佐賀北を突き放すと、さらに5分後にもCKからのゴール前の攻防を制して、最後は木藤が左足でゴールネットを揺らして駄目押しの3点目を奪った。「CKを与えない守備をしたかったんですけれども、それでも押し込まれて、縦に行かれて。選手たちは頑張ったんですけれども、あそこは相手を誉めるしかないですね」。松尾監督は脱帽するしかなかった。

 守備に重点を置く東福岡を佐賀北が攻めきれない展開が続く中、ようやく佐賀北にゴールが生まれたのは75分。東福岡がクリアしたボールがゴール前中央に詰めていた奈良暁史の足元に。そして奈良の右足から放たれたシュートがゴール左隅を捉えた。しかし、試合の流れは変わらない。その後も佐賀北は効果的な攻撃を繰り出すことが出来ず、東福岡も守備に重点置く戦いを変えず、試合はスペクタルを感じることなく80分を終えた。



奈良(緑12)のゴールで1点を返した佐賀北だったが、時すでに遅し。
「確かに内容も必要なんですけれども、ひとつずつ勝ち上がっていくことは大事なことであって、いいゲームもあれば、悪いゲームもある中で、勝っていることは認めなければいけないんじゃないかなと思います」とは森重監督(東福岡)。3日の2回戦終了時にも、「残り少ない日数の中で、彼らが勝利を目指して頑張ってくれて、結果も残しているし、いいと思う。課題はあるけれどもひとつずつ上っていっている選手たちを評価してあげたい」と話していた。そんな監督に見守られながら、選手たちは5年ぶりのベスト8に駒を進めた。

 一方、「私も全国は初めてで、どのくらいの力だったら勝てるのかという物差しがなかった。そういった意味では、昨日の初戦を勝てて、手応えは若干掴んだので、今回は東福岡に勝って国立に行きたかったと言うのが本音ですね」とは松雄監督。開始直後にゲームプランを変えざるを得なかったことに無念さがにじみ出る。しかし、全国の舞台に立ったことで手に入れたものも大きい。

「インターハイでやめる子が増えてきたんですが、全国に出れたことで、もう1回選手権に出てみたいという目標が明確化されてきたことが収穫のひとつです。また、これでプリンスリーグ(2部)にも出られるのでチーム強化が出来ると思うので、あとは佐賀北の粘り強さを1人、1人が考えてプレーするという質を上げていけば、またここへ来れるのかな、全国で戦えるのかなという気がしています」(同)。来年、ここへ帰ってくることを期待したい。


(東福岡) (佐賀北)
GK: 上田耕治 GK: 田中亮自
DF: 三刀屋慶昌 宇田侑二 串間雄峰 宗田堅勇 木藤雅卓 DF: 鶴田裕士 松永亮平 田中勝浩 原口亮(59分/奈良暁史)
MF: 皿谷圭史郎 土田太陸(61分/富坂豊) 横山博一 井上翔太 MF: 川原康平 吉村茉生 樋口拓哉(72分/田雑裕昌) 古川純平
FW: 深町伸太朗(69分/仙野元基) FW: 松尾伸 七田和謙(7分/前山亮)
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