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| webnews 08/01/14 (日) | <前へ|次へ|indexへ> |
藤枝東、都立の星を破って10年ぶりの国立へ。
バックスタンドを埋めた大観衆の声援を受けて戦う三鷹。
第86回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 藤枝東高校vs.三鷹高校
2008年1月5日(土)12:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:10,500人 天候:晴
試合結果/藤枝東2−0三鷹高校(前1−0、後1−0)
得点経過/[藤枝東]河井(23分)、松田(65分)
取材・文/中倉一志
市原臨海競技場の第1試合が終わっても観客はスタンドを立たない。それもそのはず。王国静岡・藤枝東の復活と、今大会台風の都立の星・三鷹の対戦。この日、スタンドに足を運んだ多くのサッカーファンが、この対戦を何よりの楽しみにしていたからだ。単純に地力だけを比べれば藤枝東が上。しかし、サッカーはそれだけで勝負が決まるわけではない。「もうひとつ、何かを成し遂げて欲しい」。スタンドを埋めた多くの都立ファンが、そう思っていたはずだ。
それに、三鷹は勢いだけで勝ち進んできているわけではない。「サッカーの技術は相変わらず全然下手なんですけれども、それ以外の部分ですね。例えば不利な状況になった時に、お互いに励ましあったり、鼓舞しあったり、助けあったり・・・。そんな部分が雲泥の差です。やっぱり、目標がひとつになった結果だと思います」(山下正人監督・三鷹)。個々の力を最大限に発揮し、それを組み合わせることで、1+1を2にも3にもする。突き抜けた頑張りと団結力。それが都立の星・三鷹を支えている。
そうは言っても試合は藤枝東が立ち上がりから主導権を握って試合を進めていく。前線でターゲットになるのは岡崎太一。ここへ収めたボールを両サイドに展開し、平井大樹、藤田息吹の両WBが縦へ仕掛ける。どちらかと言えばミドルレンジのパスを多用してピッチを広く使ってゴールを目指す。そして、ゲームを作るのはトップ下U-18日本代表の河井陽介。ゴールチャンスのほとんどが、彼の両足から生まれる。ドリブル、ラストパス、シュートのいずれにも光るものを見せる。
藤枝東を牽引する河井(右・10)。この日も1得点1アシストとすべての得点に絡んだ。
その河井が見せたのは17分。マークを瀬に受けてパスを受けると体を反転させて左足から柔らかなラストパスを松田純也に。シュートは惜しくも左サイドネットを叩いたが、1本のパスだけで決定機演出して見せた。そして23分。自らの右足でゴールネットを揺らした。ペナルティエリア右角付近で石神幸征の浮き球のパスを受けると、左膝でボールをコントロール。中に浮いたままのボールに右足をぶつけると、ドライブのかかったシュートがゴールネットを捉えた。
その後も、時間の経過とともに藤枝東の圧力が高まる試合はハーフコートゲーム。三鷹は何もさせてもらえない展開が続く。それでも、三鷹は自分たちらしさを随所に発揮して追加点だけは防いだ。とにかく走り、ボールホルダーに喰らいつき、抜けてきたボールには、さらに次のプレーヤーが喰いていく。ピンチに見舞われても全く動ずることなく、ただひたすらボールを追う姿は三鷹の戦い方。全体では負けていても、局面では決して譲らない。その頑張りが1点差のままで前半を折り返すことにつながった。
そんな展開の試合も後半に入ると様子が変わる。「前半は単調にロングキックを蹴っておいて裏を狙っているぞと見せさせておいて、後半つないで勝負しようかなと思っていました」(山下監督)。勝負をかける三鷹は素早い動きでボールをつなぎ、藤枝東の3バックのスペースへ入り込んで前に出始めた。前半のハーフコートゲームは一変。むしろ、三鷹が藤枝東陣内でプレーする時間が増えていく。そして53分には、CKのチャンスにファーサイドで頭で合わせた林真人のシュートがクロスバーをかすめた。
とにかくしつこく喰らいつく三鷹。藤枝東から本来のリズムを奪った。
後半のシュート数だけを比較すれば、藤枝東の9本に対して三鷹の3本と、藤枝東の優位は変わらなかったように見える。しかし、変わらぬ運動量とすさまじいばかりの勢いでボールを追いかける三鷹のリズムに藤枝東のリズムは明らかに崩れた。プレーに緩急がなくなり、ただ慌しくボールを動かすだけ。そして、中盤でボールを失っては三鷹にサイドに持ち込まれる展開を繰り返した。もちろんそれは三鷹の頑張りがそうさせたもの。そのプレー振りにスタンドの大部分が三鷹へ声援を送る。
三鷹が藤枝東の最後の壁が破れなかったのは地力の差か。それでも三鷹は自分たちのスタイルを貫き通す。結果を必要以上に気にするのではなく、まずは自分たちのサッカーを、自分たちの3年間のすべてを出し尽くすことだけに注力するイレブンは、ピンチに見舞われ、際どいシュートを打たれても動じない。ただひたすらピッチを走り、相手にぶつかり、そしてゴールを目指した。
藤枝東に三鷹を突き放すゴールが生まれたのは65分。右からのCKのチャンスに、松田がニアに飛び込んでヘディングシュート。そしてゴールネットが揺れた。これで事実上の決着がついた。
試合終了のホイッスルとともにスタンドから湧き上がった拍手は三鷹に送られたものだった。いつしかスタンドは誰もが立ち上がって三鷹を迎えていた。「都の代表になってからも、私生活を含めて何も変えていません。けれど、本人たちが自覚を持ち、練習の取り組み方、姿勢が変わってきた。妥協がなくなってきた。全国大会に出るんだという気持ちになってくれた。それで結果が出たんだと思います」(山下監督)。その真摯な姿勢が多くのサッカーファンの心を捉えた。敗れた後、彼らの瞳には涙が見えた。しかし、彼ららしく最後は胸を張って全国への挑戦を終えた。
いつものように胸を張っての挨拶。すべてをやりつくして三鷹の挑戦は終わった。
一方、10年ぶりに国立への切符を手にして王国静岡の復活を印象告げた藤枝東。服部康雄監督は試合内容に不満を口にしたが、それでも勝ち上がるのは、やはり実力の証だろう。しかし、本当の意味での王国静岡の復活の戦いはこれからが勝負。「国立には行けると思っていた。でも、勝たないと意味がない」とエース・河井も口にする。彼らが見つめ続けてきたのは国立の先にあるもの。藤色のユニフォームがそれを手にするまでには後2つだ。
(藤枝東)
GK:木村誠志
DF:村松大輔 小関教平 鳥羽亮佑
MF:藤田息吹 小林勇輝(73分/横山翔太) 平井大輔(72分/稲葉英昭) 石上幸征 河井陽介
FW:松田純也 岡ア太一(58分/中村龍一郎)
(三鷹)
GK:山下連
DF:林真人 酒井大樹 繁澤健太 堂尾拓史
MF:炭谷翔 山崎壮太 北見拓也 玉江裕貴(53分/及川彗竜)
FW:白井豪 吉野康治朗(53分/大木大輔)
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