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| webnews 08/01/29 (火) | <前へ|次へ|indexへ> |
センスを上回ったパワー。大体大が2連覇へ王手。
激しく競り合う武蔵短(左)と大体大(右)
第56回全日本大学サッカー選手権大会 準決勝 大阪体育大学vs.武蔵丘短期大学
2008年1月11日(金)11:00キックオフ 駒沢オリンピック公園総合運動場 観衆:424人 天候:晴
試合結果/大阪体育大学3−1武蔵丘短期大学(前0−1、後3−0)
得点経過/[武蔵丘短大]北上(17分)、[大体大]島村(65分)、白井(74分)、浦上(81分)
取材・文/中倉一志
「毎年主力選手のほとんどが卒業してしまう短大では実質1年勝負なんです。毎年3月に集合して新しいチームを始動して、秋のリーグ戦を何とか凌いで、この12月でがっと来る。最後の加速度的に伸びてくるのを上手くもってくれば上位で戦える」
関東女子大学リーグで6位。そしてプレーオフを戦って出場権を手に入れたチームが準決勝までたどり着いた要因を尋ねた私に、河合一武監督は当然と言わんばかりに答えてくれた。立ち上がったばかりのチームで戦わなければならないリーグ戦序盤に苦しむのはやむを得ないこと。しかし、限られた自分たちの目指すサッカーを熟成させれば4年間かけて作ったチームにも戦える。目指すものは「つないで崩すサッカー」。限られた時間をサッカーセンスを磨くことに費やして4年生大学と互角以上の勝負を繰り広げてきた。
一方、全員攻撃・全員守備をモットーに、豊富な運動量とキック力を生かして、シンプルかつダイナミックなサッカーを展開するのが大体大。徹底した反復練習と鍛え上げられた走力は、いかにも体育大学そのもの。1990年に創部されたチームは、第3回、8回、15回と、3回の全国優勝を経験している。武蔵丘短大(以下、武蔵短)がセンスで勝負するチームなら、こちらは有り余るパワーで勝負するチーム。大会2連覇を目指すチームは、その特長を発揮して順調に勝ち上がってきた。
パワーとサッカーセンスの戦い。準決勝第1試合をシンプルに表現すれば、この言葉に行き着く。そして前半は武蔵短が試合の主導権を握る。攻撃を作るのは中原沙央里、嘉数飛鳥の2トップと、島田綾子、北上優の攻撃的なMFの4人。高い技術を持つ中原と嘉数が前線でチャンスを作り、その後ろからドリブル突破を仕掛ける北上と、パスセンスを感じさせる島田がフォローする。
武蔵短の攻撃の要、中原沙央里(青・11) 大体大の同点ゴールは65分。これで流れが大きく変わった。
そのサッカーセンスの高さは評判どおり。ボールを持つと素早く周りの選手が動き出してパスコースを確保し、これしかないタイミングで相手の鼻先を掠めてボールをつなぐ。ボールタッチの少ないパスは大体大の守備網を切り裂き、局面での争いではつま先でボールをつつくようにして奪っていく。目立つのは攻撃ばかりではない。大体大が蹴ろうとするところを事前に察知してパスコースを消し、相手のサッカーを完全に封じ込めた。
その武蔵短の先制点は17分。右サイドをドリブル突破した嘉数からのクロスボールが中原を圭やして北上へ。そして北上の右足がゴールを捉えた。その後も試合は武蔵短のもの。流れを的確に読む守備陣は大体大のロングボールの出しどころを消して相手の特長を消し、攻撃陣は小気味良いリズムでボールを運ぶ。中でも北上が見せるドリブル突破は大体大に戸惑いを与え続けた。33分、39分には決定機も演出。センスがパワーを上回った前半だった。
ただし、武蔵短に悔やまれるのはチャンスをものに出来ずに追加点が奪えなかったことだ。そして、後半に入ると試合の流れが変わる。
「失点は1。自分たちのサッカーをやればチャンスがある」と石居宣子監督(大体大)は選手たちを送り出す。そして、中盤でつないでからロングボールを蹴っていた前半から、つながずにシンプルにラインの裏へ蹴りこむサッカーへとスタイルを変えた。自分たちの最大の特徴であるパワーを前面に押し出して、強引なまでに徹底してボールを送り続ける大体大。つないでから蹴ってくるパターンには対応できていた武蔵短も、なりふりかまわず蹴ってくる大体大の前に次第に戸惑いが見られるようになる。
その攻撃は武蔵短のDFラインにボディブローのように効いていく。上下動を強要される武蔵短のDFラインの動きが目に見えて悪くなり、ミスが増えていく。そのDFラインに向かって容赦なく送り込まれる大体大のロングボール。そして65分、大体大の強引な攻めが武蔵短のゴールネットを揺らした。左サイドから放り込んだ鶴岡裕子のロングボールはGK村松朋美が確保するかに思われたが、それよりも先に島村裕子の頭がボールを捉えた。
事実上の勝負はこれで決した。「全部シナリオどおりに来ていたんですけれども、跳ね返さなければいけないところでやられた。耐え切れなかったですね」(河合監督)。足が上がってしまった武蔵短には反撃する力は残されていなかった。時間の経過とともにフィジカルの差が顕著になっていくゲームは、74分、81分に大体大が追加点をゲット。終わってみれば、大体大が力づくで武蔵短を下したゲームとなった。
「後半は相手の後ろの足が止まりだして、展開を簡単に裏のスペースにと言うのが徹底して出来だしたので、それが得点につながった」(石居監督)。決して洗練されたサッカーではない。見方によっては不器用といえるサッカーかも知れない。しかし、それが自分たちのサッカー。それは日々のトレーニングの中で徹底的に鍛え上げて作り出したサッカー。そのサッカーを信じて徹底したことが逆転劇につながった。
前線で楔のボールを受ける大体大の島村裕子(白)
これで2連覇に王手をかけた大体大。しかし、石居監督に気負いはない。「決勝戦にはどちらのチームが上がってきても全体的な力は相手が上。今年は挑戦というスローガンなので、それを最後のゲームでやりきるということ。それが結果につながればいいかなと思います」。もちろん目指すサッカーは、自分たちが追い求めてきたパワーと運動量のサッカーだ。
そしてまた、武蔵短も自分たちのサッカーを披露して見せた。短大というハンデを背負いながら、センスとテクニックを磨いて対抗するサッカーに好感を覚えた観客は少なくなかったはず。主力メンバーのうち9人が卒業するチームは、また一からのスタートになるが、変わらぬ姿勢でタイトルに挑戦し続ける姿勢に期待したい。
| (大阪体育大学) | (武蔵丘短期大学) | |||||||
| GK: | 大野摩耶 | GK: | 村松朋美 | |||||
| DF: | 浦上奈津子 藤本加奈恵 鶴岡裕子 | DF: | 半田智美(87分/高内美希) 柴田恵見 君嶋貴子 青木梨沙 | |||||
| MF: | 喜代原歩(68分/山内典子) 末田恵理 鈴木綾 中川理恵 岡環実(83分/前田恵里子) | MF: | 島田綾子(79分/金城恵奈) 田本育代 手塚沙央里 北上優 | |||||
| FW: | 白井杏奈 島村裕子 | FW: | 中原沙央里 嘉数飛鳥 | |||||
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