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 webnews 08/01/29 (火) <前へ次へindexへ>
激闘を制したのは日体大。女王の座奪還を目指して決勝戦に臨む。
激闘120分。サッカーの神様は日体大に微笑む。
第16回全日本大学女子サッカー選手権大会 準決勝 日本体育大学vs.早稲田大学

2008年1月11日(金)13:30キックオフ 駒沢オリンピック公園総合運動場 観衆:918人 天候:晴
試合結果/日本体育大学1−1早稲田大学(前0−0、後1−1)
得点経過/[日体大]有吉(50分)、[早稲田大]小野(56分)


取材・文/中倉一志

 PK戦での決着は、どんな勝負よりも勝者と敗者の明暗をくっきりと分ける。正確に言えばあくまでも勝負は引き分け。PK戦は次のラウンドへ進出するチームを決定するために行われるものに過ぎない。しかし、その結果は単なる勝敗以上に両チームに大きな隔たりをつける。歓喜を爆発させるチームの隣でうなだれるチーム。最後まで譲らなかった両チームの健闘よりも、浮かび上がる勝負の世界の厳しさが見ている者の心に残る。

 全日本大学女子サッカー選手権の準決勝第2試合。力を尽くしあった戦いは、その決着をPK戦に委ねることになった。早稲田大(早大)の3本目を日体大GK大友麻衣子がセーブして、4人を終えて4−3で日体大のリード。そして早大の5人目のキッカー大脇友里佳がペナルティスポットにボールをセットする。襲い掛かる大きなプレッシャー。それを跳ね除ける勝利への執念。仲間の声援と相手の声援が織り交ざる中、大脇が右足を振りぬく。しかし、ボールは無常にも沸くの外へ。その瞬間、日体大の決勝戦進出が決まった。



早大の堅守はこの日も健在。日体大を無得点に抑えたが・・・。
 関東リーグ優勝の早大と、準優勝の日体大が合間見える準決勝第2試合。リーグ戦での直接対決は1−1の引き分け。6勝1分、43得点3失点の早大と、5勝1分1敗、45得点8失点の日体大の間に力の差はない。上田絵未のポストプレーを起点に攻めあがる日体大は4−4−2の布陣。粘り強い守備をベースに佐藤衣里子、小山季絵の能力を生かす早大の布陣は3−5−2。事実上の決勝戦と目された試合は、予想通りの拮抗した展開になった。

 前半の主導権を握ったのは早大。まずは守備から入ることでリズムを刻む早大は、前に出てくる日体大にしつこく喰らいつい離さない。豊富な運動量を生かしてどこまだ間相手について行き、とことん粘って決して突破を許さない。そして局面の争いで体を張る。その守備は、どんなときでも相手をフリーでプレーさせることがない。リーグ戦で3失点という堅守を誇る早大らしい立ち上がりだ。そして、絶対に失点を許さないという早大の気迫あふれる守備が日体大の攻撃力を封じ込める。

 そして早大の攻撃の核になるのは、2トップの佐藤と小山。粘ったボールをこの2人に預けてからサイドへ展開。そのボールを両サイドが持ち上がってクロスボールを上げる。そして早大の最大の決定機は41分。佐藤がドリブルで持ち込んでラストパス。このボールに合わせた小山が右足を振りぬいた。しかし、GK大友麻衣子が懸命に伸ばした指先に触れたボールはわずかに進路を変え、クロスバーを叩いた。結局、前半は早大が狙い通りのサッカーを展開しながらゴールを奪えず。スコアレスのまま前半を折り返した。




早大のエース佐藤衣里子。攻守に渡ってチームを牽引した。
 ゲームが動いたのは50分。先にゴールネットを揺らしたのは日体大だった。池田浩子からのフィードを受けた有吉佐織がそのまま持ち込んでシュート。きれいな弾道を描いたボールがゴールネットに吸い込まれた。しかし、早大も黙ってはいない。同点ゴールは56分。大脇友里佳、佐藤衣里子、小野瞳とつないで中央を突破。小野の右足がゴールを捉えた。先に点をとったことで自分たちのリズムを取り戻した日体大。リーグ戦チャンピオンの意地にかけて正面から受け止める早大。ここからは互いに一歩も引かない展開が続いていく。

 シンプルにボールを前線に送り、後方からグイグイと押し上げて圧力を高める日体大。そのサッカーに付き合って、早めに前線にボールを蹴りだす早大。試合は一転して互いのゴール前を行ったり来たりするオープンなゲームになっていく。縦に速いサッカーは日体大のリズム。いつしか主導権は日体大へと移っていくが、そのまま飲み込まれてしまわないのが早大の強さ。関東リーグ随一の守備力を発揮して最後の砦は守り抜く。

 両者一歩も引かない対戦は90分間を過ぎてもなお決着がつかず。さらに延長戦に入っても一進一退の攻防は変わらない。両チームを通しての最大のチャンスは112分に早大に訪れる。ハーフウェイライン付近からドリブル突破を仕掛けた原奈津美がDFをぶっちぎったシーン。しかし、ここはGK大友麻衣子が勇気を出して前へ飛び出してスーパーセーブ。早大が手にしたチャンスをもぎ取る。そして決着はPK戦へ。4人すべてが成功させた日体大に対し、早大は1人が止められ、1人が失敗。熱闘の末、日体大が決勝戦へと駒を進めた。



右サイドから突破を仕掛けた伊藤(青・日体大)
「キチンと中番でゲームメイクをして両サイドからオープン攻撃をして中が勝負をする。前半はそれができたんですけれども、後半に入ってから焦りから縦、縦へ蹴るだけになってしまった。あの辺を考えないと体力を消耗するばかり。ちょっともったいなかった」(長岡義一監督・早大)。早大は堅守を誇る自分たちのサッカーは存分に発揮したが、最後の最後でサッカーの神様は日体大に微笑んだ。

 そして日体大の立役者は、その早大を無失点に抑えたGK大友麻衣子。前半に1本、後半に1本、さらにPK戦で1本、それぞれスーパーセーブを見せて日体大ゴールを死守した。「GKはあたってましたね。いつもは期待はずれなことが多いんですけれども(笑)、久々にあたったのを見ましたよ。改めて見直しました」と芦原正紀監督はにんまり。そして続けた。「決勝で気取ったプレーをやらなければいいと思っている。(優勝の必要性は)選手たちか゛一番良く知っていると思う」。過去15回のうち11回優勝と、大学女子サッカー界をリードし続けた日体大は3年ぶりに女王の座を奪回すべく決勝戦に臨む。






(日本体育大学) (早稲田大学)
GK: 大友麻衣子 GK: 天野実咲(78分/岸星美)
DF: 池田浩子 草刈文子 石田直子 高橋佐智江(85分/川澄奈穂美) DF: 今井さゆり 島田知佳 澤夏美(71分/武末彩子)
MF: 伊藤美菜子 有吉佐織 秋葉夢子 井手上麻子(79分/平野聡子) MF: 有町紗也香(55分/原奈津美) 大脇友里佳 堂下弥里 小野瞳 松永佳恵
FW: 上田絵未 堀良江(90分/大河原美緒) FW: 佐藤衣里子 小山季絵
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