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| webnews 08/01/29 (火) | <前へ|次へ|indexへ> |
日体大、大体大に雪辱し、3年ぶりにインカレ優勝!
3年ぶりの女王の座を奪回した日体大。
第16回全日本大学女子サッカー選手権大会決勝 大阪体育大学vs.日本体育大学
2008年1月13日(日)11:30キックオフ 国立霞ヶ丘陸上競技場 観衆:4,376人 天候:曇り
試合結果/大阪体育大学1−3日本体育大学(前0−1、後1−2)
得点経過/[日体大]井手上(19分)、有吉(72分)、平野(88分)、[大体大]島村(89分)
取材・文/西森彰
国立霞ヶ丘陸上競技場は1月12日の土曜日から、14日の月曜日(成人の日)まで、3日間連続で使用された。その全てが決勝戦であるが、最初に行われたのが大学ラグビー。雨混じりの天候下で行われたゲームで、国立のピッチは多少なりとも消耗していた。この開催日程はサッカー的な観点からは疑問が残る。
それでも、決勝に残った両校はこのコンディションも前向きに捉えた。日本体育大学の芦原正紀監督は「ウチは日頃、土のグラウンドで練習していますから。芝なら何でも問題ないですよ」と笑う。大阪体育大学のキャプテン・鈴木綾も「(ピッチが荒れているのは、プレーヤー的には)もちろん、ありがたくはないです。でも、大体大は、こういったピッチコンディションの試合では、成績が良い。ラッキーだと思っていました」。
NISSANスタジアムや、さいたまスタジアムのように、FIFAワールドカップの決勝や準決勝をやったスタジアムがあっても、そしてこんなピッチ状態であっても「それでも国立はやっぱり一番ですね。Jリーグで好きなクラブのスタジアムなんかも良いですけれど、自分の中ではやっぱり国立が一番です」(鈴木)。芝が多少表情を変えたところでプレーヤー目線で見れば、国立はやっぱりコクリツなのである。
さて、そんな荒れたピッチに歩を進めた両チーム。2年連続で決勝は同じ顔合わせである。ディフェンディングチャンピオンの大体大は3-5-2で、4年ぶりの優勝を目指す日体大は4-4-2。システムも数字で表すと昨年と変わらないが、日体大はサイド攻撃主体だった昨年に比べて、伊藤美菜子、井手上麻子とセンターでもプレーできる選手が2列目のアウトサイドに置かれ、戦術にバリエーションが増えている。
高い位置からボールを奪いに行く上田絵美(青・日体大) 日体大の中心選手有吉佐織(青)。まだ2年生だ。
どちらもDFラインの前にダブルボランチがいる。大体大の鈴木は「自分たちが攻める時間帯もあったし、そこで点を取ろうと思って」前に出た。日体大の有吉佐織は「中盤の真ん中は相手が3枚でこちらは2枚。(睨みあう形で受けると、数が少ない分、相手のボランチに好きにやられるので)私がどんどん前目に飛び出して行こうと思いました」。互いに前へ押し上げ、攻撃的な姿勢をとった。
唯でさえ、中央の位置で差し合いになっているうえに、この日、ピッチ上空では不規則な風が巻いていた。メインスタンドの記者席に座っている我々の右頬に冷たい風が吹き付けているかと思うと、バックスタンドでは日体大応援団が持参したのぼりは左から右にはためいている。「ピッチよりも風のほうが厄介でした」と鈴木。互いにゴール前にハイボールが上がるたびにそれが風に流され、守る側にとっては危険この上ない。
そんな乱戦模様から徐々にペースは日体大に傾いていく。そして17分、大体大ゴール前での混戦から上田絵未がシュート。GKが弾いたこぼれ球をDFがクリアしきれないところへ、井手上麻子がシュートを蹴り込んだ。
大体大も直後の19分、右から蹴った喜代原歩のコーナーキックが風によってファーポストを直撃。その後も、前線の3枚に当てて、そこから両サイドの上がりを呼び込もうとする。「ボールに対する寄せが早いし、躊躇なく裏のスペースを狙ってくる。ウチはそこが弱いので、前に蹴り込まれるのはやっぱり嫌でした」と日体大の芦原監督。大体大としては、前半のうちに追いついておきたかった。
後半に入ると1点リードしている日体大が完全にゲームを支配した。単純に中盤の攻防に参加する選手が増えたのである。「最近になってサボり癖が影を潜めた」(芦原監督)1年生の堀良江が働き蜂役を引き受け、最前線と中盤をしっかりとつなぐ。さらに受けに回らされた大体大が島村裕子一枚を残す形になったのを見て、池田浩子、高橋佐智江の両サイドバックは果敢に前へ押し上げる。
60分にはその裏を突かれる形で大体大に決定的チャンスを献上したが、それでも後ろを振り返らず、前の選手をフォローする。ミッドフィールドの攻防を制した日体大は、連続してセカンドボールを奪い、大体大は両翼も自陣深くまで戻される。こうしてハーフコートゲームに持ち込んだ日体大に必要なものは追加点だけ。「あれでちょっと安心した」と芦原監督が振り返る2点目が70分に生まれた。このゴールも、高い位置に顔を出していた有吉が、こぼれ球にいち早く反応して叩いたものだった。
これで大勢は決した。その後、双方1点ずつを加えたゲームは3対1で日体大が勝利。1年前の雪辱を遂げたのである。
昨春に急死した森田前監督の後を受けて、3年ぶりの優勝を日体大にもたらした芦原監督は「上手くはなっていると思いますけれども、勝負に対して甘い。戻ったときにそれを感じました。パスミスなどが起こっても平気でいた。それが私には信じられませんでした」。練習中から、選手たちに「簡単には勝てないよ」とうるさく言い、ひとつひとつのプレーを大切にするよう指導した。
敗れても笑顔の大体大。持てる力を尽くしての準優勝だった。
この日、大体大はビルドアップの時に荒れた芝にボールの回転が殺され、途中で止まるシーンが目立った。しかし、日体大は悪条件下でも、しっかりとパスをつないでいた。因果関係がどこまであるのかはともかくとして、日頃から意識を高めていた成果が、大一番で出たということは言えるだろう。
そしてもうひとつが指導者不在という逆境で育まれたチームのまとまりである。試合を決する2点目を奪った有吉は「森田前監督が亡くなった後、しばらくは監督もいない状態でした。そんな中、私たち下級生を4年生が引っ張ってくれた。だから、このゲームに勝って恩返しがしたかった」。彼女たちはその言葉どおり、4年生に最高のプレゼントを渡した。
その向こう側で敗戦に泣き暮れる大体大の選手たちがいる。しかし、そのほとんどは下級生たち。キャプテンの鈴木は「負けたらもっと泣くと思っていましたけれども『やり尽くした感』が先に立ちました。4年生はほとんどがそう。後輩たちのほうが泣いていました」。彼女自身も1、2年生の頃は敗戦で大泣きしていたひとり。悔いなく力を出し切る方法もまた、4年の歳月で身につけたものの一つである。
下級生の頃からレギュラーとして活躍した、大体大ゴールデンエージの4年間が終わった。「(彼女たちが抜けた後のことは)まだ考えられませんね。ただ今年のチームも、優勝した昨年のチームも最初から最後までスーパーなチームだったわけじゃありません。2年連続で国立まで来た経験。そして最後の1点を下級生たちも持ち帰ってくれると思います」。惜別の思いを抱えながら、石居宣子監督は彼女たちの置き土産を手に、その後輩と再び国立のピッチを目指す。
| (大体大) | (日体大) | |||||||
| GK: | 大野麻耶 | GK: | 大友麻衣子 | |||||
| DF: | 浦上奈津子、藤本加奈恵、鶴岡裕子 | DF: | 池田浩子、石田直子、草刈文子、高橋佐智江 | |||||
| MF: | 鈴木綾、末田恵理、喜代原歩、岡環実(64分/山内典子)、中川理恵 | MF: | 秋葉夢子、有吉佐織、伊藤美菜子(85分/中村早樹)、井手上麻子(68分/平野聡子) | |||||
| FW: | 白井杏奈、島村裕子(89分/前田恵理子) | FW: | 上田絵未、堀良江(76分/川澄奈穂美) | |||||
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