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ターンオーバーで2連勝。なでしこ、初タイトルに王手!
東アジア女子サッカー選手権2008 決勝大会 日本女子代表vs.韓国女子代表
2008年2月21日(木)17:00キックオフ 永川スタジアム
試合結果/日本女子代表2−0韓国女子代表(前1−0、後1−0)
得点経過/[日本]荒川(16分)、大野(57分)
写真/早草紀子 文/西森彰
ディフェンディングチャンピオンとして今大会を迎えた韓国女子代表は、前年の女子ワールドカップ、今年の北京五輪のいずれも逃し、次代を担う新チームをアン・イクス監督(大教カンガルーズ監督兼任)のもと、一から立ち上げている段階だ。そうは言っても結果を求めずにはいられない国民性は健在の模様。「力関係は分かっているはずなのに周りが『今回は1勝2分けで良いよ』って言うんです。それはほとんど優勝レベルの成績なのに…」と韓国国内のサッカー関係者も苦笑していた。
INACレオネッサらとの日中韓親善練習試合に臨んだ大教は、1月31日の初戦こそベストメンバーで戦ったが、安監督と主力はそのまま韓国に引き上げ、合宿に突入。ほぼ日本と同じスケジュールで今大会に臨んでいる。中国との大会初戦は、開いた口が塞がらないようなホームタウンディシジョンによって落とした。この日本との第2戦に敗れれば、その時点で連覇の可能性が消失する。
これに対して北朝鮮にプレゼントしてもらったような劇的逆転勝利で意気上がる日本。今大会に際して試合内容を問い、課題を洗い出すことに軸足を置いてきた佐々木則夫監督だが、アジア最強国に勝利したことで、優勝も現実的なものになっている。目指すサッカーの完成度を上げると共に、確実に勝ち点3を積んで中国戦に臨みたいところ。
ここで佐々木監督は第1戦でベンチスタートとなったメンバーのうち、現地入り後、体調を崩した池田浩美、宇津木瑠美、そして負傷で離脱した下小鶴綾の3名を除く全員を先発で起用してきた。佐々木監督は女子ユース代表を率いてU-20女子ワールドカップ・チリ大会の切符を勝ち取った時にも、北朝鮮、オーストラリアと同居したグループで唯一計算が立つ2試合目のミャンマー戦で、大幅にメンバーを入れ替えていた。
何も聞いていなければ、驚くことはなかっただろう。しかし、佐々木監督は1週間前、静岡合宿で次のように語っていたのである。
「ある程度のイメージを持たせたチームにしたい。どっちもどっちものチームを作るのは大変な作業だし、時間がかかるんです。だからひとつのチームをしっかりさせて、それを何人かずつ代えて、チームのイメージを持たせる。全員を変えてしまうとバラバラになってしまうんですよ。半分替えても」
大会直前に行われた静岡合宿でもA、Bの2チームを完全に分離し、「ひとつのチームに2、3人を加える」という考え方を示してきた。北京までの時間、そして大会までの時間を考えれば、これもオーソドックスな思考だろう。このゲームも第1戦と2、3人を入れ替えると思っていた。それが一気に6人も替わったのである。その点が心に落ちなかった。
しかし、キックオフ後、ノートに選手名とポジションを書き込んでいくうちに、ようやく佐々木監督の意図が分かった。前回が「静岡合宿練習試合先発組−(山郷のぞみ、池田浩美)+(福元美穂、豊田奈夕葉)」なら、今回は「日テレ・ベレーザ+(山郷のぞみ、矢野喬子、宮間あや)」なのである。大会優勝へ向けてリスクを最小限度に抑えながら、新戦力の発掘も兼ねたターンオーバー。指されてみれば、これ以上の妙手はない。
実際、同一チームで長くプレーしているピッチの右から4分の3を占める8人は、互いの動きを把握し、どの選手がどのようにボールを持った時に動き出せば良いかの判断が、ほぼオートマティックに行われている。近賀ゆかり、中地舞で組んだ右サイドを使いながら、韓国をゴール前に押し込んでいく。相手がベタ引きで守りを固めようとすると、中盤の選手が果敢にミドルを狙い、蛸壺から引きずり出す。そのバランスも良い。
そうしておいて、16分、近賀のクロスに荒川恵理子が頭をあわせて先制。「本当に早く点を取りたい時間帯だった。近ちゃんから良いボールが来たのであわせるだけでよかった」と荒川。贅沢な言い方をすれば、ゴールをここまで待たされたような、そんなワンサイドな試合展開だった。
しかし、韓国もこの失点が良い意味で刺激になった。傷んだイ・ジンファをキム・ドヨンに代えると、ここから日本ゴールに迫っていく。特に目立っていたのは、11番をつけたフォワードのパク・ヒヨン。スピードを生かして、日本の最終ライン裏に飛び込んでいく。
23分には、パクのフリーキックから、セカンドボールを再度ユ・ジウンがゴール前に放り込み、混戦の中でチャ・ヨンヒが狙う。26分にもクォン・ハヌルの浮き球にパクが走りこんでシュート。さらに30分にもパクのスルーパスを受けたチャがゴールを脅かす。やや浮き足立った日本だが、再びベレーザ勢の連携から加藤與惠のミドルシュートを引き出し、ペースを奪い返す。
そしてリードをキープしたまま後半に入り、53分、左サイドバックの矢野喬子を柳田美幸に交代。これでフィールドプレーヤー全員が、元々緑のユニフォームを着ていた選手たちということになった。より攻撃的な柳田の投入は、試合を決める追加点を狙うためだろう。すぐに2度に渡って大野忍がチャンスを迎える。
56分、韓国にとって最後の決定機となったパクのゴールエリア付近からのシュートを山郷がセーブすると、そこから続いた攻勢も断ち切る。その1分後、オフサイドの網にかかることを恐れずに裏を狙い続けた大野が、澤のパスで抜け出す。なでしこリーグ得点王は、落ち着いて3度目のチャンスにゴールゲット。その後は危なげなくボールをつなぎ続け、大会2連勝を飾った。
合宿の最中から「動き出しがメッセージ」と口が酸っぱくなるほど言っていた佐々木監督。互いの持ち味、特長を理解して、何をすべきかの判断がつけば、これだけサッカーは機能する。もちろん、ベレーザ勢が気持ちよくパスを回す一方で、外様の左サイドになかなかボールが渡らない弊害も見られた。これがピッチの全面で展開されるようになれば、さらに面白いサッカーになるだろう。
そうは言っても、この日の韓国は日本以上に未完成のチーム。この1勝は発展途上のチームでも半ば義務と言える。2連勝に驕ることなく、8月の北京をスタンダードに考えていきたい。大会最終戦の相手・中国は現在1勝1分け。完全なアウェー下での優勝決定戦が待っている。
| (日本女子代表) | (韓国女子代表) | |||||||
| GK: | 山郷のぞみ | GK: | キム・ジョンミ | |||||
| DF: | 中地舞、岩清水梓、豊田奈夕葉、矢野喬子(53分/柳田美幸) | DF: | ユ・ジウン、キム・ユミ、ホン・ギョンスク、イ・ジンファ(18分/キム・ドヨン) | |||||
| MF: | 近賀ゆかり、加藤與惠、澤穂希、宮間あや | MF: | チャ・ヨンヒ(70分/チョン・ガウル)、ユ・ヨンシル、チョ・ソジョン、クォン・ハヌル | |||||
| FW: | 荒川恵理子(78分/丸山桂里奈)、大野忍(83分/安藤梢) | FW: | ハン・ソンイ(59分/チョン・ヘイン)、パク・ヒヨン | |||||
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