topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 08/03/03 (月) <前へ次へindexへ>
スコアレスドローに見える、それぞれの思惑。
2008Jリーグプレシーズンマッチ 2002FIFAワールドカップTM記念事業 大分トリニータvs.アビスパ福岡

2008年3月2日(日)13:00キックオフ 旧称石油ドーム 観衆:8,413人 天候:晴
試合結果/大分トリニータ0−0アビスパ福岡


取材・文/中倉一志

 大きく開いた九州石油ドームの上空に青空が覗き、柔らかな日差しがピッチに降り注ぐ。まだ少しばかり肌寒さが残るとはいえ、うららかな陽気は春の訪れと16回目のJリーグ開幕が近づいていることを教えてくれる。そんな空気を感じてか、コンコースを歩く観客の顔は一様に明るい。目の前に広がる青い芝生と、スタジアムを包む独特の雰囲気、そして、お馴染みのスタジアムグルメの数々。再びやって来た日常に気持ちが自然と高揚してくる。

 そんな中で合間見えたのは大分トリニータとアビスパ福岡。開幕前の最後の試合になった大分の狙いは「開幕戦に合わせたスケジュールの中でどれだけやれるかを見ること」(シャムスカ監督)。ピッチの上には開幕戦を戦うメンバーが並ぶ。そして福岡は「開幕戦で勝ち点3を奪うために守備のベースを作っているところ」(黒部光昭)。この日の狙いは無失点に抑えること。開幕先発候補と見られるメンバーを中心に、選手を見極める意味合いも含めたメンバー構成で試合に臨む。



 立ち上がりの1分、そして続く2分に決定機を演出したのは大分。その後もボールを一方的にポゼッションし、丁寧にボールを動かしながら試合を進める。中盤の底で攻守のつなぎ役を務めるのはホベルト。トップ下の金崎夢生が自由に中盤を動き回り、金崎が空けたスペースを新加入のウェズレイが効果的に使って起点を作る。そして、1対1の局面では、ことごとくJ1とJ2の違いをプレーで示した。

 対する福岡は守備重視の布陣。2トップも含めて高い守備意識を持って試合を進める。しかし、ここ数試合の課題であったボランチのバランスが今日も悪い。城後寿が必要以上に高い位置まで上がってしまうためにバイタルエリアにスペースができ、そればかりか、前線の黒部、大久保哲哉の動くスペースさえも消してしまった。加えて、チーム全体にミスが多い。早目に高い位置にボールを運びたい意識が強すぎて、奪ったボールを簡単に相手に渡してしまうシーンが目立つ。

 それでも福岡は粘り抜く。サイドのスペースをケアするために、時にはボールサイドのMFが最終ラインに入って5バックを形成する徹底ぶりだ。そして、大分は最後の詰めの部分の精度に欠いた。34分と43分に放った決定的なシュートもGK神山竜一の好セーブに阻まれてゴールネットを揺らせない。結局前半は0−0。大分にすれば、思い通りに進めながらチャンスをゴールに結び付けられなかった前半。福岡にすれば、なりふり構わず無失点で切り抜けた前半。その内容に差はあったが、どちらにも不満が残る前半だった。



 そんな試合で最初に動いたのは福岡。後半開始から、田中佑昌、城後、中村北斗に代えて、中払大介、久藤清一、山形辰徳を投入。そして29秒、いきなり決定機を演出する。タレイが右サイドへ展開したボールを中払がセンタリング。中央に飛び込んできた黒部が右足インサイドで合わせた。このシュートはクロスバーを越えたが、後半の福岡は明らかに前半とは違うリズム。久藤の投入で中盤のバランスを取り戻したことで、相手の攻撃をディレイさせる守備が機能し始めた。

 ただ、この日の福岡の決定機はこの1本だけ。何度か攻め上がるシーンは作ったものの、奪ったボールを前線に当てることが徹底できずに守りから先が思うように機能しない。そして大分は、長いボールを福岡の両SBの後ろへ集めてバランスを崩しにかかるが、前半同様にボールサイドのMFが最終ラインに加わる5バックを形成する福岡を崩しきれず。ここからは、さしたる見どころもないままに試合が進んで行く。

 大分のプレスが緩んだことでボールを回せる時間が増えたものの、受け手の判断が遅れて次への展開ができない福岡。ボールキープ率では上回るものの、守りを固める福岡を攻めあぐねる大分。停滞したリズムを打開する手立てを持たない両チームは、シュートまで持ち込むこともできない。結局、後半に放ったシュートは大分の2本に対して、福岡の1本。そして試合はスコアレスドローで幕を閉じた。



 盛り上がりという観点で言えば、物足りなさが残ったことは否めない。しかし、両チームにとっては、あくまでも開幕前の調整試合。結果よりも、狙いとするサッカーが出来たかどうかが問われた試合だった。

 まず福岡。「J1相手に0で押さえられたのは自信にしていい」(黒部)。無失点という結果を得たという点では収穫はあったと言えるだろう。しかし、それはあくまでも結果についてのみ言えること。内容的には課題が多かった。攻撃については時間が解決する部分が大きいものの、問題は守備。ボランチのバランスの悪さと、両SBの裏へのボールに対する守備の甘さの修正は急務だ。

 そして「最後のフィニィッシュのところでの選択ミスや、判断ミスがあった。その部分を修正したい」とはシャムスカ監督。ただし、ゲームを90分間コントロールした内容には手応えを感じているようだった。ウェズレイ、高松大樹の2トップに金崎を加えた3人の連携も高まりを見せつつあり、まずは順調な仕上がりを見せているといっていい。「あと1週間。セットプレーの質を上げて開幕に備えたい」(同)。清水とのアウェーでの開幕戦を勝利で飾り、九州石油ドームへの凱旋を狙う。


(大分トリニータ) (アビスパ福岡)
GK: 西川周作 GK: 神山竜一
DF: 深谷友基 森重真人 上本大海 DF: 中村北斗(HT/山縣辰徳) 長野聡 布部陽功 中島嵩典
MF: ホベルト(87分/西山哲平) エジミウソン 金崎夢生(78分/小手川宏基) 鈴木慎吾 藤田義明 MF: 田中佑昌(HT/中払大介) 城後寿(HT/久藤清一) タレイ 久永辰徳
FW: ウェズレイ 高松大輔 FW: 黒部光昭 大久保哲哉(63分/ハーフナー・マイク)
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink