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| webnews 08/03/19 (水) | <前へ|次へ|indexへ> |
魅せた高橋の2ゴール。熊本、歴史に刻む初勝利。
開場を待つ切れないサポーターの列は400メートルを超えた
2008Jリーグ ディビジョン2 第2節 ロアッソ熊本vs.ザスパ草津
2008年3月15日(土)15:03キックオフ 熊本県民総合運動公園陸上競技場 観衆:5,960人 天候:晴
試合結果/ロアッソ熊本2−1ザスパ草津(前0−0、後2−1)
得点経過/[草津]喜多(63分)、[熊本]高橋(78分、79分)
取材・文/中倉一志
熊本県民総合運動公園陸上競技場(通称KKWING)の上に雲ひとつない青空が広がる。熊本県民が待ち望んだJリーグのチームが初めて戦うホームゲーム。その日を祝福しているかのようだ。メインスタンドの入場ゲートに会場前から並び始めた赤いレプリカユニフォームを着たサポーターの数は時間の経過とともに増え続け、ついには400メートルを超えるまでになった。ロアッソ熊本が歴史に刻む初勝利を後押ししようという気持ちが伝わってくる。
対戦相手はザスパ草津。ホームで迎えた開幕戦では広島に敗れ、アウェーの地で今シーズン初勝利を目指す。布陣は中盤をボックス型にした4−4−2。両SBに崔成勇、石亀晃、そして両SHに熊林親吾、島田裕介と新加入の選手を並べる。そして迎え討つ熊本の布陣も4−4−2。しかし中盤の構成はダイヤモンド型。アンカーに福王忠世を置き、トップ下でプレーする小森田友明が、中山悟志と高橋泰の2トップをフォローする。
まずゲームの主導権を握ったのは熊本だった。前節の愛媛戦では、全員がやみくもにボールに向かって襲いかかり、体力の衰えとともにペースを失っていったが、この日は、ボールに対して出るときと、ステイするときのバランスを修正。一見すると、迫力が落ちたように見えるが、実際には、選手間のバランスが整ったことで連動して囲い込むプレスが機能するようになった。そして奪ったボールをシンプルに前線へ。中山、高橋、小森田の3人がつかず離れずの距離を保ちながらゴールを脅かす。
そんな熊本の前に草津は完全に後手を引いた。中盤では櫻田和樹が相変わらずの運動量を武器に奮闘するも、ゲームメーカータイプの熊林親吾と島田裕介がいる中盤は、守備能力と運動量は明らかに熊本よりも下。中盤の争いでは、常に1対2、あるいは1対3の状況を強いられた。氏原良二にロングボールを当てて、そこに起点にして打開を図りたいところだったが、2列目から飛び込むタイプの選手がおらず、そして、選手間の距離が遠い中では、それぞれが孤立してボールが思うように繋がらない。
中盤が劣性に追い込まれれば最終ラインも安定しようがない。そして熊本はロングフィードを引き出す2トップが簡単に草津の裏へ抜け出してチャンスを作り上げていく。ただ、熊本に足りなかったのは最後のひと押し。あと一歩のところが崩せずに、あるいは、決定的なチャンスに放つシュートがゴールを捉えられずに得点が生まれない。24分にはゴールネットを揺らしたかに見えたが、残念ながら判定はオフサイド。そして前半は0−0で終了。勝負は後半にゆだねられた。
後半も最初に決定機を作ったのは熊本。55分、西森からのクロスにペナルティエリア内でフリーになっていた中山が頭で合わせたが、GK北のファインセーブに阻まれた。この日の中山は、放つシュートがことごとくゴールに嫌われる始末。俗に言う「NOT HIS DAY」といったところか。しかし、決めるべきところを決めなければやられるのがサッカーの常。熊本の運動量が落ちたことも手伝って、流れが少しずつ草津へと傾いていく。そして63分、その流れのままに、CKからあっさりと草津が先制点を奪うことに成功した。
ここからは草津のペース。草津は、氏原を中心にして左に高田保則、右に熊林、そしてトップ下に島田を動かして布陣を変更。間延びした熊本の中盤を使ってボールを回していく。前半はほとんど目立っていなかった島田もようやく存在感を発揮し、中央の位置でボールを捌いてゲームを組み立てていく。こうなると熊本は苦しい。典型的な負けパターンに陥ったかに思われた。だが、ここから熊本は粘り強さを発揮。それを可能にしたのは熊本のサポーターの後押しと、それに応えようとする強い気持ちだったかもしれない。
逆転劇はあっという間の出来事だった。まずは78分。福王忠世がゴール前へ送ったフィードが、なぜかペナルティエリア内でドフリーになっていた高橋に。胸でトラップしたボールを落ち着いてゴールに流し込む。そして逆転ゴールはその1分後。中央でボールを受けた高橋が右のスペースへ展開。駆け上がってきた車智鎬のクロスボールはファーサイドに流れたかに思えたが、そこへ姿を現したのは長い距離を走ってスペースへ飛び込んできた高橋。ボールに向かって頭から飛び込むと、サポーターと選手の思いを乗せたボールがゴールネットに吸い込まれた。
高橋の2ゴールで劇的なJリーグ初勝利を飾った熊本。「みんなに後押しされた勝利」。試合後、池谷友良監督が振り返った。同時に、開幕戦の反省からプレスのかけ方を整理したこと、2トップの距離感が良くなったことなど、前節の課題を修正できたことが勝利を手にした大きな要因。今シーズンの目標であるチャレンジする姿勢を十分に見せてくれた試合だった。一方、課題を挙げれば、やはりフィジカル面。この日も後半に入って運動量が落ちたが、長いリーグ戦を戦いぬくには改善が必要だ。
そして草津は開幕2連敗。まだシーズンが始まったばかりとはいえ、苦しい状況に追い込まれた。チームはポゼッションサッカーを目指すが、中盤の運動量に乏しく、選手間の距離が遠い状況ではボールを回すことができず、加えて最終ラインも安定性に欠くという姿を露呈してしまった。立て直し策を問われた植木繁晴監督は「草津に帰ってから考える」と答えたが、このままの戦いを継続して試合をしながら成熟する方法を取るのか、まずは勝ち星を得るために戦い方を整理するのか、早くも岐路に立たされた。
| (ロアッソ熊本) | (ザスパ草津) | |||||||
| GK: | 吉田智志 | GK: | 北一真 | |||||
| DF: | 市村篤司(70分/喜名哲裕) 矢野大輔 上村健一 有村光史 | DF: | 崔成勇 藤井大輔 喜多靖 石亀晃 | |||||
| MF: | 福王忠世(89分/河端和哉) 小森田友明 西森正明(70分/山内祐一) 車智鎬 | MF: | 熊林親吾 秋葉忠宏(63分/松下裕樹) 櫻田和樹(82分/後藤涼) 島田裕介 | |||||
| FW: | 中山悟志 高橋泰 | FW: | 高田保則 氏原良二 | |||||
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