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 webnews 08/03/28 (金) <前へ次へindexへ>
新エース誕生!?鳥栖、谷口の一発で開幕連勝!
Jリーグ ディビジョン2 第3節 サガン鳥栖vs.セレッソ大阪

2008年3月20日(木・祝)13:05キックオフ ベストアメニティスタジアム 観衆7,839人 天候:晴
試合結果/サガン鳥栖1−0セレッソ大阪(前0−0、後1−0)
得点経過/[鳥栖]谷口堅三(64分)


取材・文/貞永晃二

 キックオフ前、岡野俊一郎日本サッカー協会名誉会長とともに鳥栖を訪れていた“日本サッカー育ての親”デットマール・クラマー氏の歓迎セレモニーが行われた。そして試合後、このドイツの“小さな巨人”は、「ゲームのテンポが早く、興味深かった。しかし、批判したいこともある」と試合内容を手放しでほめてはいただけなかった。
 
 クラマー氏は「サッカーは芸術であり、選手は芸術家だ。そして芸術家には拍手が必要だ。そのためにはスタジアムを満員にしなければならない」と、選手やチーム力をレベルアップさせると同時に、観客動員数増加への一層の努力を求めてスタジアムを後にされた。ヨーロッパ最高の観客動員を誇るドイツ・ブンデスリーガを大きな目標にJリーグ各チームがやるべきことはまだまだ沢山あるのだ。



 さて、試合である。闘志むき出しで開幕連勝を目指す鳥栖。対するC大阪も、前節ホーム開幕となった山形戦(1−3)の不甲斐ない試合内容を払拭すべく、スタートダッシュを見せる。そうなると当然、ピッチ随所で激しいボディコンタクトが繰り返され、早くも5分にC大阪はCB羽田憲司がイエローを受けてしまう。主審を取り囲み抗議するC大阪。

 まず、攻撃の「形」を作ったのは11分のC大阪。左サイドをオーバーラップした尾亦弘友希の低いクロスに古橋達弥がニアでダイレクトで合わせるがワクをとらえられない。鳥栖も高橋義希の無回転ボールのFKがC大阪ゴールを襲うが、GK相澤貴志が落ち着いてパンチングで逃げる。

 ボールポゼッションで優るC大阪だが、前線のカレカを含めた連係が未成熟でボールがカレカに入ると攻撃の流れがぎくしゃくしてしまう。それでも忠実な守備と、豊富な運動量を持つカレカの頑張りが酒本憲幸にシュートチャンスをもたらすがこれも決められない。さらにアレーが遠目から狙うと、ブレ球だったのか鳥栖GK赤星拓は弾くのが精一杯だった。

 一方鳥栖は、FWに本来のエース藤田祥史が負傷で、またC大阪との契約上レンタル中の金信泳も使えない苦しい台所事情。しかしC大阪下部組織の出身で今季完全移籍した158センチの山城純也と19歳谷口堅三(アミーゴス鹿児島U-18出身)のデコボコ2トップが溌剌とした動きで相手DF陣をかき回し、山城はロングレンジから、谷口はドリブルからと惜しいシュートを放つ。さらに鮮やかなパスワークから山城が飛び出すが惜しくもオフサイド。対するC大阪は41分、古橋の渾身のミドルが左ゴールポストを叩いたシーンが前半最も得点に近づいた瞬間だった。



 ハーフタイムコメントは対照的なもの。岸野靖之監督は「ボールの失い方が悪い」と問題点を指摘し、レヴィー・クルピ監督は「内容は悪くない。フィジカルは上だ」と選手の背中を熱くプッシュした。そして、羽田に続きジェルマーノ、抗議した古橋、アレーと、合計4枚のイエローを前半もらったため「ゲームにもう一度集中しよう」と主審との「戦い」にならないように注意することも忘れなかった。

 そして始まった後半、まずペースをつかんだのはC大阪。香川真司が巧みなコースどりの長いドリブルからクロスを上げ、アレーが折り返し、カレカが合わせるがバーを越える。さらにカレカの頭越し背後へのパスから古橋がループで狙い、続いてワンツー突破から尾亦がシュートと畳みかけたが先制することはできない。

 55分、押され気味の鳥栖・岸野監督はMF清水康也に代えてレオナルドを送る。すると前線でのポゼッションがアップし、谷口も体を上手く使ったキープで前線で基点となり、山城のパスから衛藤裕がシュートを放つなど流れは鳥栖に傾いていく。

 そしてついに64分、均衡状態が壊れる。山城の蹴ったロビングがボックスの左側へ飛び競ろうと柳沢将之はジャンプしたが、谷口は狡猾にもジャンプせず、柳沢のヘッドが小さく目の前に落ちるのを待って右足ボレーで叩く。レヴィー監督が「難しいシュートをよく決めた」と称えたシュートは必死に伸ばしたGK相澤貴志の手も届かずポストをかすめてゴールに吸い込まれ、大歓声がスタジアムにこだました。

 C大阪は失点直後、柿谷曜一朗を今季初めて登場させる。柿谷は積極的にミドルを放ち、さらに香川のスルーパスからフリーシュートのチャンスをつかむがワクを外す。鳥栖はC大阪に傾きかける流れを島嵜佑を中盤に入れることで取り戻そうとし、C大阪は前線での基点とする狙いから森島康仁を入れる。そして79、80分とカレカ、柳沢に訪れたビッグチャンスも決められず、森島康のシュートから続いた波状攻撃も実らず、焦りは募っていく。

 鳥栖は85分、谷口のお膳立てからC大阪に止めを刺す絶好機がレオナルドに訪れるがこれも決められない。しかし守備では集中力を切らさず体を張ってC大阪の攻撃を止め、ついに喜びのホイッスルを聞いた。



 決定的なチャンスも多く、前半6本、後半11本とシュート数も同数と、終始攻め合った両チーム。「ボールの運び方はかなりの差があった」と岸野監督が振り返ったように、C大阪は古橋、香川らの「個」の力では優ったが、「チーム」としての成熟度では鳥栖が一枚上手だった。「鳥栖は勝利に値した。しかしC大阪が負けに値するようなゲームではなかった」とレヴィー監督は悔しさを押し殺して語り、決定力不足を嘆いた。

 FWで3試合連続スタメンのカレカがいまだ「結果」を残せていない。ピッチに立つことで周囲との連係を改善していこうとする意図はわかるが、まさか「勝敗は二の次」と思っているはずはない。レヴィー監督が思い描く、カレカの「ブレイク」した際のプレーぶりはどれほどのものなのか、そしていつまでガマンを続けるつもりなのか。いつも監督が口にする「ウチのFWは5人(古橋、カレカ、森島康、小松塁、白谷建人)だ」というならば、チャンスをより公平に与えるべきだと考えるのだが。

 試合後のピッチで誰よりも勝利を喜び、それを体で表現していたのが岸野監督だった。とにかく「熱い」人だ。選手の「やる気」に火をつけるモチベーターという意味ではJリーグ屈指だろう。そんな監督の抜擢に答えて結果を出したのが谷口だ。技術もありスピードもなかなかで非常に面白い選手だ。何より度胸がすわっている。接触プレーで熱くなるアレーの肩を抱いてなだめている様子は、ベテラン選手の風格さえ漂っていた。

 しかし、フル出場し結果を出したといってもまだ1試合だけ。「調子こくな(調子に乗るな)」という岸野監督の言葉を持ち出すまでもなく、試合に出て厳しい経験を積むことが何より必要だ。しかし、藤田、金という2枚エースのいない試合で決勝点を決めたのは大きな自信になったはず。こんな無名に近い選手が飛び出してくるのが鳥栖というチームだ。だからこそJ2は面白い。


(サガン鳥栖) (セレッソ大阪)
GK: 赤星拓 GK: 相澤貴志
DF: 日高拓磨、柴小屋雄一、飯尾和也、高地系治 DF: 柳沢将之、前田和哉、羽田憲司、尾亦弘友希
MF: 清水康也(55分/レオナルド)、高橋義希、衛藤裕(89分/下地奨)、野崎陽介(71分/島嵜佑) MF: 酒本憲幸(65分/柿谷曜一朗)、アレー、ジェルマーノ(76分/森島康仁)、香川真司
FW: 山城純也、谷口堅三 FW: 古橋達弥、カレカ
SUB: 室拓哉、廣瀬浩二 SUB: 山本浩正、江添建次郎、丹羽竜平
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