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 webnews 08/03/28 (金) <前へ次へindexへ>
ともに失った勝ち点2。
2008Jリーグ ディビジョン2 第4節 ヴァンフォーレ甲府vs.アビスパ福岡

2008年3月23日(日)16:03キックオフ 山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場 観衆:9,185人 天候:曇
試合結果/甲府2−2アビスパ福岡(前1−1、後1−1)
得点経過/[甲府]ジョジマール(0分)、[福岡]大久保(3分)、タレイ(61分)、[甲府]大西(71分)


取材・文/中倉一志

 甲府がなりふりかまわない姿勢を見せて奪った71分の同点ゴール。その結果、試合は2−2のドローで幕を閉じた。勝ち点2を失ったと言えるのは福岡。スモールフィールドにこだわる甲府のサッカーをいなしてチャンスを演出。立ち上がりの0分に失点を喫するという予想外のスタートも冷静な試合運びで逆転。思い通りのサッカーを展開する福岡が試合を制していたことは誰の目にも明らかだった。「3点目を取っておかなければいけなかった」とリトバルスキー監督(福岡)が振り返ったように、数ある決定機を決めきれなかったことが、甲府の猛攻を呼んでしまった。

 とはいえ、甲府が勝ち点1を拾ったのかと言えばそうではない。ここまで2分1敗と勝ちがない甲府にとっては、この試合で最優先すべきは内容よりも結果。一見すれば、激しく追い上げた戦いぶりと、若い選手たちのはつらつとしたプレーは好材料のように見えるが、自らのスタイルにこだわらずに仕掛けた戦いは、すべては勝利を得るための戦術。甲府にとって必要だったのは勝ち点3以外にはなく、福岡同様に勝ち点2を失った試合だった。



「予期せぬ失点」(大久保哲哉・福岡)。この試合で最初にゴールネットが揺れたのは、手元の時計でキックオフから42秒後。両チームの布陣さえ確認できていなかったと時間帯だった。ゴール前に出来た一瞬の隙と、ジョジマールの前に仕掛けようとする意識が絶妙にシンクロし、ジョジマールの左足から放たれたシュートが、ゆっくりと、そして確実にゴールへと吸い込まれた。開幕してから3試合を過ごして勝ち星がない甲府にとっては、喉から手が出るほど欲しかった先制点。それは誰もが予想しない時間帯に生まれた。

 しかし、福岡もすぐにゴールを奪い返す。時間は3分。右サイドを突破した田中佑昌が上げたクロスボールに大久保が頭で合わせてゴールネットを揺らす。あっという間の同点ゴール。このゴールで福岡は試合の主導権を握った。高い位置でのプレス合戦で優位に立つと、スモールフィールドにこだわって展開する甲府からボールを奪って反対サイドに広がる大きなスペースへ展開。右からは田中、左からは久永辰徳が縦に駆け上がってゴールを脅かす。

 甲府もただやられているだけではなかった。この日、先発で起用されたブルーノ、ジョジマール、吉田豊の3人が期待どおりにアグレッシブなプレーを披露。縦のスピードと、局面を打開する個人技で福岡を慌てさせる。しかし、それも全体が連動しなければ単発でしかない。観客は沸かすことはできてもゴールは遠い。そして試合は完全に福岡が掌握。両サイドから面白いように甲府を崩して決定機を積み重ねる。足りないものはゴールだけ。福岡が逆転するのは時間の問題のように思えた。



 そして、その流れのままに福岡は逆転に成功する。時間は61分、ペナルティエリア内でヘディングシュートの態勢に入った黒部光昭に吉田がチャージ。主審が迷わずにホイッスルを鳴らす。判定はPK。これをタレイが落ち着いて決めた。その直後の19分に、ペナルティエリア内でドフリーになっていた大久保が放ったヘディングシュートはGKの正面に飛んでしまい追加点はならなかったが、試合の流れから見て、勝利の女神は福岡に微笑みかけていた。

 だが、度重なる決定機を逃し続けるチームに微笑みかけるほど勝利の女神は甘くない。そして安間貴義監督(甲府)の打った策が試合の流れを一気に変えた。63分、チームの要である林を下げて久野純弥を投入して攻撃の枚数を厚くすると、66分には捻挫をしたブルーノに代えて大西容平をピッチへ。福岡のマークが薄い2列目に入れる。そしてスモールフィールドでパスをつなぐサッカーから、福岡のDFラインの背後に向かって徹底的にロングボールを蹴り込むサッカーに変更。そこへ久野、大西がスピードを生かして圧力をかけた。

 この戦術変更に福岡は対応できない。71分、寄井憲が福岡の左サイドへ放り込んだボールを久野が布部との競り合いを制してボール奪取。そこからのクロスボールに2列目から飛び込んできた大西が鮮やかな同点ゴールを叩き込む。さらに勢いを増す甲府の攻撃の前に、福岡はただ前方へボールを跳ね返すだけで精いっぱい。ボールを落ち着かせるどころか、ラインの外に切ることすらできない。

 そしてロスタイム。ファーサイドで余っていた大西にボールが渡ってGKと1対1に。甲府サポーターの願いとともに強烈なシュートがゴールを襲う。しかし、ここで見せたのはベテランGK吉田宗弘。左手一本でボールをはじきだしてゴールを死守。そして、試合終了を告げるホイッスルが鳴った。



 さて福岡。水戸、仙台、甲府との戦いはいずれも試合内容で相手チームを凌駕。しかし、結果は1勝1分1敗と内容に結果が付いてこない。リトバルスキー監督が求める「ペナルティエリア内で攻守に渡って相手を上回ること」をやり切れていないからだ。それが、試合の主導権を握っているにもかかわらず3試合で4得点しか挙げられず、その一方で4失点を喫している原因になっている。最終ラインからビルドアップするサッカーから、シンプルに前線に当ててから展開するサッカーへと変えたのは結果にこだわる戦い方を選択したから。そのためには攻守にわたって最後の部分での力強さを身に付けることが急務だ。

 そして甲府。4試合を消化してまだ勝利がないが、その最大の要因は自らの戦い方にある。スモールフィールドを抜けていく組織力は見事だが、それにこだわるあまり、ゴール付近で自らの攻撃を窮屈にし、守備面では大きく開いた反対サイドを使われてピンチを招いている。その特徴を生かしたいからこそ、左右に広い展開が欲しい。この試合ではロングボール主体の攻撃に変えたことが結果としてピッチをワイドに使うことになり、試合の終盤は福岡を圧倒することになったが、これをどう捉えるか。次節の戦いに注目したい。


(ヴァンフォーレ甲府) (アビスパ福岡)
GK: 桜井繁 GK: 吉田宗弘
DF: 吉田豊 池端陽介(66分/寄井憲) 山本英臣 井上雄幾 DF: 山形辰徳 長野聡 布部陽功(83分/ルダン) 中島崇典
MF: 林健太郎(63分/久野純弥) 保坂一成 藤田健 MF: 田中佑昌 タレイ 久藤清一(75分/中村北斗) 久永辰徳
FW: ブルーノ(66分/大西容平) ジョジマール 石原克哉 FW: 黒部光昭(80分/城後寿) 大久保哲哉
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