topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 08/04/14 (月) <前へ次へindexへ>
開幕戦は清水第八プレアデスのキックオフで始まった。
3度目の正直を狙う福岡J・アンクラスはドロー発進。
プレナスなでしこリーグ2008 ディビジョン2 第1節 福岡J・アンクラスvs.清水第八プレアデス

2008年4月13日(日)12:00キックオフ レベルファイブスタジアム 観衆:405人 天候:曇
試合結果/福岡J・アンクラス1−1清水第八プレアデス(前0−1、後1−0)
得点経過/[清水]佐藤(37分)、[福岡]川村(72分)


取材・文/中倉一志

 Jリーグに遅れること約1か月。今年もなでしこの季節がやってきた。それは限られた時間と制限された環境をやりくりしながらトレーニングに励み、その中から積み上げたものと、自分たちの思いの全てを90分間に凝縮させて表現する日々。目指すものは今の自分よりも高いレベル。そのために持てる力を余すことなくボールにぶつける。そして13日、レベルファイブスタジアムでは福岡J・アンクラスと清水第八プレアデスが相見えた。

 2年連続で3位に甘んじた福岡J・アンクラスが目指すのは、もちろんDiv.1昇格。そのためにDiv.1経験者を含む新加入選手6人を迎えて戦力を整えてきた。補強の最大のポイントは中盤の底に位置する山本裕美。「真面目だし、戦うところで戦える。もっと自分を出せるようになればゲームがしまってくると思う」(河島美絵監督・福岡)。河島監督が現役時代に務めたポジションの後継者としての期待がかかる。

 対する清水第八ブレアデスは昨年度までコーチを務めていた山梨京子が新監督に就任。新たな体制で2008年シーズンを迎える。目標は上位進出。4位以内を目指す。求めるスタイルは最終ラインを高く上げてコンパクトなゾーンを形成し、オープンスペースを使ってサイドから駆け上がる攻撃的なサッカー。開幕直前にけが人が出るというアクシデントに見舞われたが、サブの選手も含めて全員の力を合わせて戦う。



ワンチャンスを生かして先制点を奪った佐藤シェンネン(白・6)。
 試合は12:00、清水のキックオフで始まった。清水の布陣は4−4−2。ゴールを守るのは宇佐美洋子。最終ラインは右から杉山瞳、谷口絵美、小田彩香、私市若菜が並ぶ。チームの要であるダブルボランチを務めるのは金城若菜、西ヶ谷紀恵の2人。サイドアタッカーは右に遠山さゆり、左に松下紀美。そして前線でコンビを組むのは丸本和美と、佐藤シェンネンの2人だ。

 迎え討つ福岡の布陣は4−3−3。最終ラインは山本有里、鈴木千賀、内堀律子、板谷麻美の4人。中盤の底に山本裕美を置き、両サイドに堤晴菜、正手亜希子が開く。前線は中央に藤本優希を置き、川村真理、渡邉真結子が、その周りを流動的に動いてゴールを目指す。そして立ち上がりから主導権を握って清水を押し込んでいく。

 しかし福岡は、ボールをよく動かしてペナルティエリアの手前までは持ち込むものの、そこから先へ入っていけない。「仕掛けないんですよ。だからゴールは生まれない。結局、パスを回していつか取られる。バイタルエリアで仕掛ける選手がいないんです」(河島監督)。攻撃の意識も中央に集中してしまいサイドからの突破はほとんどなく、DFラインの裏へボールを出すだけの単調な攻撃は、高いラインを敷く清水が確実にオフサイドに仕留めていく。

 攻めあぐねているうちにリズムが変わるのはサッカーの常。そして、20分を過ぎた辺りから清水がリズムを刻みだす。高い位置からのプレスでボールを奪い、楔のボールを受ける佐藤が貯めて両サイドへ。そのボールに連動して遠山、松下がサイドを駆け上がる。そして先制点は、その自分たちの形から。サイドを突破した遠山がDFとGKの間を通す絶妙なグラウンダーのクロスを入れると、そこへ飛び込んできたのは佐藤。ダイレクトで右足を合わせてゴールネットを揺らした。



厳しいマークをかいくぐって突破を仕掛ける川村真理(オレンジ・23)。
 後半に入ると、福岡はCB鈴木と左SB板谷の位置を入れ替えて、清水の遠山の突破に備える。しかし、攻撃が中央に偏る傾向は変わらず。しかも、同点ゴールを狙う気持ちがはやるのか、最後のところは個人突破に頼って止められる展開が続く。対する清水は相変わらず高い最終ラインとコンパクトなゾーンを維持。奪ったボールは前線で貯めて後方からの押し上げを待ち、組織として攻め上がる共通意識が徹底していることが窺える。ここまでは清水の狙い通りの展開だった。

 しかし、福岡は63分、正手に代えて花田亜衣子を、藤本に代えて谷原ゆかりをピッチに投入。花田にボールを集めサイドからの攻撃を活性化することでリズムを変えにかかる。これが功を奏した。中央を固めていた清水の守備が広がり始めると、中央からの仕掛ける川村の突破が清水に圧力を加えていく。そして福岡の同点ゴールは72分。セットプレーからのこぼれ球を拾った川村がドリブルを仕掛けて右足を一閃。ついに福岡が清水ゴールを捉えた。

 ここからは福岡が一方的に攻め立てる展開へ。残り10分を切ってからは、内堀を前線に上げて川村と並ばせると、この2人に徹底してボールを預けて力づくで逆転ゴールを奪いに行く。だが清水も驚異的な粘りを見せてゴールを死守。逆に、ロスタイムに入ると一転して攻撃へ。福岡を慌てさせるシーンを次々と重ねていく。そして、今度は福岡がしぶとく守ってゴールを許さない。しかし、両チームにゴールは生まれず。試合は1−1のままタイムアップのホイッスルを聞くことになった。



内堀律子を前線に上げて逆転を狙った福岡だったが、逆転ゴールは遠かった。
 全体を見れば、90分間のほとんどの時間帯で主導権を握っていたのは福岡。走力、技術、パワーともに清水を上回っていたたげに、勝ち点2を落としたという感はぬぐえない。「結果に関しては仕方ないんですが、いきなり崖っぷちになっなと。Div.1昇格には1抜けを狙わなきゃいけないと思うんですね。今年は団子状態になると思うので、得失点差も絡んでくる中での引き分けというのは痛い」と河島監督は試合を振り返った。

 この試合を見た印象ではチーム力は確実に上がっているように見える。そして課題は、やはりラストサードと呼ばれる最後の部分。ボールを回して中盤を構成する高いレベルの実力と、この部分での攻め手の少なさは、同じチームとは思えないほどの差があった。河島監督が指摘するように、最後の部分での積極的な仕掛けがあれば事態は一変すると思われるのだが。敗戦の危険もあった試合を引き分けたことを前向きに捉えて次節に向かいたいところだ。

 そして清水。チームとしての方向性が明確なチームというのが、この日の印象。福岡に押し込まれる時間帯が多い中でも、最終ラインを高く保ってコンパクトなゾーンを保ち、奪ったボールをサイドへ展開して崩すというコンセプトを確実に実行していた。ゲーム終盤には逃げ切ることを意識し過ぎたのか、福岡の3トップにかき回されてズルズルと下がってしまったが、それでも、ロスタイムに再び盛り返したあたりは気持ちの強さも窺えた。

「もう少し守り切れれば、あと、ラストの押し込みがもう一歩押し込めれば勝てたのかなと。ひとつのチャンスをものにするということが、これからの課題になってくるのかなと思います」とは山梨監督(清水)。狙い通りの展開だっただけに勝ち点3が欲しかっただろう。しかし、これからのリーグ戦に向かっての手応えはつかめたのではないか。「今日は選手の気持ちが入って戦えたので、それを次の高槻戦、市原戦、上位のチームと当たる時に維持しながらやっていきたい」。上位陣をどこまで追い込めるか。そこに注目したい。


(福岡J・アンクラス) (清水第八プレアデス)
GK: 田上未希 GK: 宇佐美洋子
DF: 山本有里 鈴木千賀 内堀律子 板谷麻美 DF: 杉山瞳 谷口絵美 小田彩香 私市若菜
MF: 堤晴菜(32分/後藤あずさ) 山本裕美 正手亜希子(63分/花田亜衣子) MF: 遠山さゆり 金城若菜 西ヶ谷紀恵 松下紀美
FW: 川村真理 藤本優希(63分/谷原ゆかり) 渡邉真結子 FW: 丸本和美 佐藤シェンネン
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink