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| webnews 08/04/20 (日) | <前へ|次へ|indexへ> |
蘇った名刀の切れ味。TASAKI・大谷、後半に爆発。
関西地区の開幕戦は、TASAKI対伊賀。
プレナスなでしこリーグ2008 ディビジョン1 第1節 TASAKIペルーレFCvs.伊賀FCくノ一
2008年4月13日(日)11:30キックオフ 三木総合防災公園陸上競技場 観衆:724人 天候:曇
試合結果/TASAKIペルーレFC5−0伊賀FCくノ一(前0−0、後5−0)
得点経過/[TASAKI]大谷(68分、79分、89分)、清原(74分)、白鳥(83分)
取材・文/西森彰
プレナスなでしこリーグ2008の関西地区の開幕戦は、三木総合防災公園陸上競技場で行われた。ダブルヘッダーの第1試合に顔を見せたのはTASAKIペルーレFCと伊賀FCくノ一。これまで関西の女子サッカーを引っ張ってきた両チームだが、今シーズンはどちらも予断を許さない状況で開幕を迎えた。
ホームのTASAKIは、大谷未央とリーグ屈指のコンビネーションを見せてきた鈴木智子がINACレオネッサに移籍した。これまで、守備重視のフォーメーションを敷いても、なお得点の匂いを残してきたのは、この2トップあってこそ。片翼が抜けた今季は、攻撃面で一からの立ち上げを余儀なくされている。
伊賀は、昨年、ディビジョン2の2位ジェフユナイテッド市原・千葉レディースとの入替戦に回っている。INACレオネッサ、アルビレックス新潟レディースとディビジョン1初挑戦のチームに先着を許し、経験値という名のアドバンテージが小さくなってきた。
シーズン終了後には、チームを支えてきた小林舞子、井坂美都が退団、強い頃の伊賀を知るメンバーが、また減った。今シーズンの昇格チームも、環境で伊賀を上回るTEPCOマリーゼとなれば、確実に勝ち点を計算できるチームなどない。来年以降もディビジョン1の戦いを継続するためには、相手がどこであれ勝ち点を奪いに行かなければならない。
当日の天気予報は大雨だったが、空はどうにか持ちこたえてくれていた。三木総合防災公園陸上競技場のピッチに両チームのイレブンが散っていく。
TASAKIは、昨年末の全日本女子サッカー選手権で取り組んでいた4-1-4-1ではなく、4-4-2の陣形をとった。「まずは大石沙弥香のメドが立ったということ。守備は全員が意識をしてやってくれれば、ある程度、安定していますし、今日使った田中明日菜にも期待しているので、阪口夢穂とのダブルボランチでいきました」(仲井昇監督)。田中、阪口がボランチに入れば、前後左右の展開力を高めることができる。
伊賀も同様に4-4-2。こちらで特徴的だったのは、これまでチームの得点源となってきた小野鈴香をセンターバックに起用したのである。慢性的にDFが不足するチーム事情から、昨年は宮本ともみ、吉泉愛とベテランを並べることも多かった。小野のコンバートはそのサッカーセンスと、持ち前のスピードに期待してのこと。
最後方の守備に保険をかけておいて、ダブルボランチは宮本とルーキー・鈴木綾のコンビ。ディフェンスよりも展開力に特徴のあるふたりを並べた伊賀も、ボールポゼッションを重視した選手起用で、真っ向勝負を挑んだ。
前半は相手ボールにプレッシャーをかけあう、どちらかというと守り合いの流れに落ち着いた。その中では不利が予想された伊賀の健闘が目立った。3ラインは連動して精力的にボールを追い、相手に自由を与えない。出色のデキだったのが9番を背負ったDFの小野。ゴール前でTASAKIに得点チャンスが訪れるたびに、俊足を飛ばしてブロックする。
TASAKIが攻め、伊賀が守る展開。
小野の奮闘もあって、伊賀は五分の潰しあいに持ち込んだ。このまま粘り強く戦えば、ゴールは奪えなくても、スコアレスドローを拾う可能性は大きくなる。しかし、師岡正悟総監督の目にはそう映らなかった。
「ボールを奪った後のミスが多く、せっかくマイボールにしても相手に渡してしまうなど、非常にルーズだった。前半は向こうもミスをしてくれたんで、一方的なリズムにならなかったんです。それをきちんとつないできた後半は向こうのペースになって後手にまわるようになった。やろうとしている攻撃もほとんどできなかった」
その言葉どおり、TASAKIが落ち着きを取り戻した後半は、自陣に押し込まれる時間が長くなった。ロゼカラーのユニフォームをつけた選手が伊賀のゴール前に増え始め、前半は大谷のマークに集中できていた小野が、他の選手のカバーリングに引っ張り出されるシーンが目に付くようになってきた。
そして、後半も半ばに達した68分、阪口から佐野とふたりで左サイドを攻略したTASAKIは、センターにできたスペースにボールを入れる。飛び込んだのは大谷。「私の場合、あそこは足でいくよりも頭でいったほうが得点になるんです」と勇気を持って、体を投げ出してダイビングヘッド。ついに堤防を決壊させた。
これでと、勝敗の帰趨は明らかになった。途中交代で入った清原万里江のスーパーミドルを皮切りに、集中力が切れた伊賀をサンドバックのように打ちまくる。大谷が2点を追加しハットトリックを達成すると、DFの白鳥綾も1点をマーク。最終スコアは5対0、昨年2位のTASAKIが、大差の勝利で貫禄を見せつける形になった。
「まあ、今日に関してはこんなものでしょう。前半はちょっと硬かったし、不安もあったようです。相手も自信を持ってやってきていましたし、ウチの選手たちもそれを感じていたと思います。前半のチャンスを決めていたら、もっとラクになっていたはずです」
大谷(9)と阪口(10)らの活躍で、TASAKIは終盤に5得点。
オープニングゲームを白星で飾った仲井監督は、そう振り返った。チームを爆発させる導火線に着火したのが、エースの大谷である。例年、得点王争いに顔を出してきた彼女も、昨年はハードスケジュールで疲労が蓄積したか、本来のデキにはなかった。今春は、代表に召集されず、結果的に開幕へ向けてジックリとコンディションをあわせることができた。
「代表合宿に呼ばれなかったので、彼女もしっかりと体を作れました。それが良かったと思います。体が切れすぎてオーバーワーク気味になって、強引に練習量を抑えた時期もあったくらいですから」(仲井監督)
最高のスタートを切った大谷の目にも、ゴールしか映っていない。
「今シーズンは、私の本来の役割であるゴールを強く意識して、そこにこだわっていきたいと思っています」
中盤にはしっかりとビルドアップできるメンバーが揃っている。絶対的なエースが、この調子を1シーズン持続できれば、今年も優勝戦線に食い込んでくるだろう。
スコア上は大敗となった伊賀も、スコアほど悪い内容ではない。選手の入れ替わりが多かったことを考え合わせれば、開幕戦としては仕上がりも悪くなかったように思える。しかし、諸岡総監督は「それは見かけ上だけですね。まだまだです」と首を振って否定する。
伊賀も小野(9)を中心に、良く守ったが…。
「結局はこれだけ点を取られていますし、その結果が物語っています。きちんと修正して、ポジショニング、コーチング、ひとつひとつのプレーの精度を上げていかないと。それら自分たちのミスがすぐに失点になってしまいますから」
ゲームを振り返る表情からも、その言葉の端々からも、敗戦に対する悔しさがにじみ出ている。それは、今季のチームが秘めているポテンシャルを信じているからこそ。
昨年一年間、黒星が先行し、負けることに慣れてしまっているチームにとって、開幕戦は自信を取り戻す絶好のチャンスだった。結果を残すところまで辿りつけなかったのは残念だが次のゲームもすぐそこ。下を向いている暇など、ない。
(TASAKIペルーレFC)
GK: 佐々木香織
DF: 甲斐潤子、磯ア浩美、白鳥綾、佐野弘子
MF: 中岡麻衣子(70分/清原万里江)、田中明日菜、阪口夢穂、山本絵美、
FW: 大石沙弥香(82分/田頭陽子)、大谷未央
(伊賀FCくノ一)
GK: 大野摩耶
DF: 山科花恵(74分/永留かおる)、小野鈴香、清原祐子、村上真理
MF: 村岡夏希、鈴木綾(88分/立岡幸子)、宮本ともみ、吉泉愛(73分/菊地由香里)
FW: 堤早希、大歯裕子
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