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 webnews 08/05/06 (火) <前へ次へindexへ>
湘南が力の差を見せた1戦。苦手福岡を一蹴。
2008Jリーグ ディビジョン2 第11節 湘南ベルマーレvs.アビスパ福岡

2008年5月3日(土・祝)13:05キックオフ 平塚競技場 観衆:6,146人 天候:曇
試合結果/湘南ベルマーレ4−0アビスパ福岡(前2−0、後2−0)
得点経過/[湘南]アジエル(11分)、石原(14分、52分)、リンコン(88分)


取材・文/中倉一志

 アジエルを中心にした攻撃陣と、斉藤俊秀が統率する守備陣とバランスのいい布陣を整える湘南。しかし、10節を終えての成績は5勝4敗と思うように勝点を伸ばせず、例年以上のJ2の混戦の渦に飲み込まれている。そして、通算成績で7勝2分15敗、しかもホームで現在8連敗中という苦手の福岡を迎える。しかし、湘南にとっては、混戦を抜け出す足がかりを掴むための節目となる試合。ホームで昇格争いのライバル相手に負けるわけにはいかない。

 一方、平塚に乗り込んできた福岡は3勝3分3敗の10位。守備組織が整わず苦しい戦いを続けているが、第8節の鳥栖戦で2−0の勝利を飾ってからは3試合で1失点と守備に落着きが感じられるようになってきた。まだチームの方向性が整わないという課題を抱えるが、ようやく掴んだ立て直しのきっかけを本物にするためには勝利が必要な試合。タレイが累積警告で出場停止。久藤清一、グリフィスが怪我のために出場を回避するなど苦しいチーム事情の中、全員の力を合わせてアウェー初勝利を狙う。



 この日の福岡は、大久保哲哉の1トップ。それをフォローする形でトップ下に城後寿、ダブルボランチに布部陽功と山形辰則と置く。CBとSBの間にポジションをとる大久保にハイボールを当て、落としたボールに城後が絡む。そして最初の決定機は6分。左サイドを突破した久永辰徳のクロスに城後久が右足を一閃。鋭い弾道を描いたシュートがクロスバーを襲う。

 そして湘南の攻撃の中心はいつものアジエル。サイドへボールを展開して起点作ると、風上を利用して早いタイミングでアーリークロスをゴール前へと入れる。湘南の最初の決定機は福岡から遅れること2分。左からのCKのチャンスから、ゴール前のこぼれ球に永田亮太が右足を合わせた。

 序盤の戦いは互角。風上に立つ湘南がやや押し気味に進めるが、互いに中盤を抜け出せない展開が続く。湘南はセカンドボールを拾って福岡の二次攻撃を許さず、そして福岡は、アジエルを抑えて自由にボールを捌かせない。そんな拮抗した展開が崩れたのは11分。そしてここから、両チームの置かれている現状が浮き彫りにされることになった。

 ゴールネットを揺らしたのは湘南。右からのCKをファーサイドでドフリーになっていた斉藤が余裕をもって折り返し、中央で待っていたアジエルが頭で合わせた。湘南の追加点はその3分後。再び右CKを得た湘南は加藤望が低いボールを石原直樹へ。素早くマイナス方向へ動いた石原に福岡はマーカーがついていけない。フリーの体制から石原が右足を振りぬくと、ゴール前の密集を抜けたボールがゴールネットを揺らした。



 ここからは湘南の独壇場だった。高い位置からチェイシングする石原が福岡のパスコースを限定し、それに連動した中盤が福岡を守備網の中へと追い込んでいく。そして計算通りにボールを奪うと、一斉に選手が動き出してスペースへ、最終ラインの裏へと飛び出していく。そんな湘南の前に福岡は抵抗する気配さえ見せられない。サポートがなく孤立してはボールを奪われ、ただ足元へつなぐパスワークは相手に脅威を与えることができないばかりか、湘南のプレスの標的になるばかり。両チームの組織力の違いは明らかだった。

 福岡にもチャンスがなかったわけではない。44分、田中佑昌の右サイドからのクロスボールに大久保が頭で合わせたシュートは右ポストを叩き、後半開始早々に放った田中のミドルシュートは豪快な音をたてて左ポストを直撃した。だが、いずれも単発。全員が連動して作り出す湘南のゴールチャンスとは質が違っていた。そして、チームとしての方向性が見えない戦い方は、安定感を取り戻したかに見えた守備にもほころびを作る。高いラインを保とうとするものの、バランスの悪さは明らかだった。

 そして52分、左サイドを突破した鈴木伸貴がGKとDFラインの間に絶妙のクロスを送り込む。そこへ走りこんできたのは石原。福岡の守備陣は付いていくことさえできなかった。さらに88分、大山俊輔のクロスボールを受けたリンコンがもつれるようにして柳楽智和をかわすと、目の前のGK吉田宗弘の動きを見切って股間を通すシュート。福岡との力の差を誇示するように試合を締めくくった。



「前節、山形戦でやりきれなかったまずは気持ちの部分、プレーもあわせて、やり残したことを今日しっかりと平塚のピッチで選手たちが表してくれた」(菅野将晃監督・湘南)。最後まで気持ちを表して走りぬいた姿勢もさることながら、チームとしての連動性は見事だった。高い位置からのチェイシングに始まる守備と攻撃が一体化した組織力は福岡に付け入る隙を与えず。そして、絶えずスペースを窺う姿勢は福岡との違いを強く印象付けた。「まだまだ完全なチームではない」と指揮官は振り返ったが、混戦を抜ける足掛かりは掴めたはずだ。

 そして福岡。リトバルスキー監督はマークミスから喫したゴールを悔やんだ。確かにマンマークに付きながらドフリーにするのはあり得ないことだろう。だが、毎試合のように相手をフリーにし、この試合でも、2失点を喫したシーン以外でも湘南のキーマンはフリーのままであった現状を憂うだけでは事態は解決しない。

 そして、福岡の本当の深刻さはゴールを奪われた後の戦い方にある。互角に戦いながら、たったひとつのゴールでチームがバラバラになり、チームの狙いが見えないばかりか、一体感すら感じられなかった。鳥栖戦できっかけを掴んだかに見えたチームが、わずか3試合でチームとしての機能を失っている現状は、チームに根深い問題があることを窺わせる。リーグ戦はまだまだ続く。しかし、福岡はギリギリのところまで来てしまったように見える。


(湘南ベルマーレ) (アビスパ福岡)
GK: 金永基 GK: 吉田宗弘
DF: 臼井幸平 山口貴弘 斉藤俊秀 鈴木伸貴 DF: 中村北斗 長野聡 柳楽智和 宮本亨(54分/中払大介)
MF: アジエル(81分/大山俊輔) 永田亮太 坂本紘司 加藤望(74分/鈴木将太) MF: 田中佑昌 城後寿 山形辰徳(58分/鈴木惇) 久永辰徳
FW: 石原直樹 原竜太(63分/リンコン) FW: 布部陽功(45分/ハーフナー・マイク) 大久保哲哉
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