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 webnews 08/05/18 (日) <前へ次へindexへ>
ひとつ上の強さ。広島が順当に鳥栖を下す
2008Jリーグ ディビジョン2 第14節 サガン鳥栖vs.サンフレッチェ広島

2008年5月17日(土)13:03キックオフ ベストアメニティスタジアム 観衆:7897人 天候:晴
試合結果/サガン鳥栖0−1サンフレッチェ広島(前0−0、後0−1)
得点経過/[広島]佐藤(75分)


取材・文/中倉一志

「ゲームをみれば1人、1人の力の差があるのはハッキリしている。そこをどう11人でカバーするというところだったが、そこをさせないぞということで相手も戦っている。良くトレーニングされているチーム。ゲームの進め方が上手いし、全然慌てない。良くサッカーを知っているという印象が強い」(岸野靖之監督・鳥栖)
「唯一自陣から出なかったのはGKだけ。DF陣も攻撃参加したが、それでいて前がかりにならずにバランスを保ちながら、ゲームをコントロールした、頭を使ったいいゲームが出来た」(ペトロヴィッチ監督・広島)

 両監督の言葉が表すように、広島が力を見せつけたゲームだった。スコアは最小失点差。ゲーム終盤には鳥栖が広島をゴール前に押し込む時間帯も作った。しかし、それでもなお、試合後のスタジアムに残ったのは広島強しの印象だけだった。それほど、互いのサッカーには大きな差があった。運動量、個人技、チーム戦術、個人戦術、対応力、そしてゲームの流れを読み、勝負所を抑える力。全ての点で上回った広島が順当に勝点3を手に入れた試合だった。



 広島相手にがっぷリ四つで戦って、自分たちの今の実力をはかりたい。それが鳥栖のこの日の狙いだった。取れるところは前からプレッシャーをかけ、広島がボールを持っているときはブロックを作って待ち受ける、それが準備した戦い方だった。

 しかし、広島はそれを許さない。最終ラインでのゆったりとしたパス回しでリズムを刻み、出てこないと見るやドリブルを仕掛けて相手を引き出し、相手が下がったままなら流動的に動き回る中盤を中心に全体が押し上げてパスをつなぐ。そして効果的に最終ラインのストヤノフからロングフィードが前線に入る。「鳥栖は我々の攻撃を防ぐことだけに力を注ぎ、ゴールを狙う姿勢が見えなかった」(ペトロヴィッチ監督)。鳥栖は低い位置で広島の攻撃を跳ね返すだけに留まった。

 まず失点を0に抑えることが目標の鳥栖にとっては、ある程度押し込まれることは承知の上。「あの形は想定の範囲内」と衛藤裕も振り返る。しかし、それにしてもボールに行けなさ過ぎた。マークについているようで、人にも、ボールにも甘い守備は広島に自由を与えるばかり。時間の経過とともに広島の攻勢が際立ってくる。ただし、鳥栖は責められない。それをさせなかったのも広島の実力。どんな体制からでも常にゴールを狙う佐藤寿人。流動的に動く中盤の6人。さらには攻撃参加してくるDFラインの3人。どのチームにとっても簡単に対応できるチームではない。



 それでも、前半を0−0で折り返したことで鳥栖にもチャンスの芽はあるかに思われた。実際、後半の立ち上がりには広島のミスが目に付くようにもなった。「ボールを高い位置まで運べるけれども決定機がなく我慢を強いられた。自分たちの中で、悪くはないけれどもスッキリしない状況が続いていた」と佐藤寿人も前半を振り返る。しかし、ここからが広島の本当に強いところ。ここぞというところでは決してミスをせず、鳥栖が押し込んでも要所を押さえて押し返す。そして、焦らず、慌てずに自分たちのサッカーを淡々と続けていく。

 やがて試合はハーフコートゲームに。ストヤノフが自由自在に中盤の高いところまで上がってきてはボールを捌き、佐藤寿人のゴールに対する貪欲な姿勢が時間を追うごとに強まっていく。そして75分、とうとう広島にゴールが生まれた。鳥栖のクリアボールが左サイドでフリーになっていた服部浩太の足元に。絶好のシュートチャンス。鳥栖はシュートに備えて身構える。次の瞬間、服部の左足から柔らかなクロスボールがゴール前へ。「長く一緒にやっているので、ああいうボールを蹴ってくれると思っていた」(佐藤寿人)。そして佐藤寿人が頭で捉えたボールがゴールネットを揺らした。

 敢えて広島の課題を探せば、ゴールを奪った後の15分間の戦い方か。夏を思わせる高い気温の中での戦いは選手から体力を奪い、広島の運動量が極端に落ちる。そして、逃げ切る意識が強すぎたためかラインが下がった。最後の気力を絞って攻撃に転じる鳥栖。ここぞとばかりに運動量を生かして広島に襲い掛かった。しかし、それでも広島はペナルティエリア内への侵入を許さない。そして、高橋義希の直接FKをGK木寺浩一がパンチングでゴールラインの外へ逃れたところで試合終了を遂げるホイッスルが鳴った。



 相手に粘られても、ゴールがなかなか生まれなくても、まったく動じる気配さえ見せない。あれや、これやと手を打つわけでもなく、積極的に交代選手を使って流れを変えに来るわけでもない。自分たちのやるべきことを淡々と、何度も何度も繰り返す。そのぶれない戦い方が広島の最大の強みだ。そして、勝ってもなお反省は忘れない。「(ゲーム終盤は)ラインが下がりすぎて相手に簡単に放り込まれている。相手の攻撃は怖くはなかったが、このままでは、いつかは事故っぽい失点が出てくる。気をつけてやっていきたい」(森崎浩司)。次節はホームで戦う横浜FC戦。課題を修正して、第1クールで勝点30というシーズン当初の目標達成を目指す。

 そして敗れた鳥栖。前節の湘南戦に続いて2連敗。第8節の福岡戦で今シーズン初黒星を喫してからは3勝4敗と、シーズン序盤の勢いが薄れつつある。1年間を通して戦い抜くために、そしてJ1昇格を果たすためには、ここが最初の踏ん張りどころ。次節の戦いでは真価が問われることになる。この日の試合では広島との間にある力の差を痛感させられたが、堅い守りをベースにした戦い方そのものが崩れたわけではない。下を向くことなく、自分たちの戦いを貫けるかどうか。それが次節の、そして今シーズンの鍵を握ることになる。


(サガン鳥栖) (サンフレッチェ広島)
GK: 赤星拓 GK: 木寺浩一
DF: 日高拓磨 柴小屋雄一 飯尾和也 地系治 DF: 森脇良太 ストヤノフ 槙野智章
MF: 鐡戸裕史(69分/石田博行) 高橋義希 衛藤裕 野崎陽介(80分/レオナルド) MF: 李漢宰 森ア和幸 青山敏弘 服部公太 森ア浩司 萩洋次郎(82分/柳一誠)
FW: 藤田祥史 金信泳(63分/谷口堅三) FW: 佐藤寿人
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