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 webnews 08/09/26 (金) <前へ次へindexへ>
フィジカルの強さにはまさった沖縄かりゆしだったが・・・
大津、あと一歩が及ばず。沖縄かりゆしFCが3回戦へ。
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦 沖縄かりゆしFCvs.大津高校

2008年9月22日(日)13:00キックオフ ベストアメニティスタジアム 観衆:471人 天候:曇
試合結果/沖縄かりゆしFC2−1大津高校(前1−0、後1−1)
得点経過/[かりゆし]齋藤(27分)、[大津]谷口(79分)、[かりゆし]齋藤(89分)


取材・文/中倉一志

 1921年11月に始まった全日本サッカー選手権大会は、その後、様々な変遷を経て最大・最古の大会へと成長を遂げた。その中でも最も大きな改革は、日本サッカー協会創立75周年を記念して行われた参加資格の完全オープン化。出場資格を各都道府県代表チームに拡大するとともに、第2種登録(高校生年代)チームにも門戸を開放したことだ。そして、今年は2種登録チームから青森山田高校(青森県代表)と大津高校(熊本県代表)が本大会に駒を進めてきた。

 青森山田は初戦で日立栃木ウーヴァスポーツクラブ(栃木県代表)に敗れたが、大津高校は日本文理大学(大分県代表)を破って2回戦に進出。そしてこの日、ベストアメニティスタジアムで沖縄かりゆしFC(以下、沖縄かりゆし)と対戦する。「大津らしいサッカーがしたい」とは平岡和徳監督。つなぐサッカーで九州リーグチャンピオンに挑む。もちろん、胸を貸す立場の沖縄かりゆしに、高校生相手に手心を加える気持ちなど毛頭ない。チャンピオンの誇りにかけて2回戦突破を目指す。



大津高校のアグレッシブな姿勢は観客の目を引き付けた。
 沖縄かりゆし、大津高校ともに、布陣は中盤をダイヤモンド型にした4−4−2。しかし、戦い方は対照的だ。ピッチに広く、等間隔に選手を配置する沖縄かりゆしの基本は個人の力。自分のゾーンに入ってくる相手を待ち構えて1対1で守り、奪ったボールはビルドアップせずにシンプルにラインの裏へ送り込む。前線で虎視眈眈とゴールを狙うのは、齋藤将基と浅見和正の2トップだ。だが、連動性、ボールポゼッションという点では、若干、物足りなさも残る。

 一方、大津高校はマイボールを大事にしてビルドアップするサッカー。人とボールを動かしながら、パスをつないでサイドへ展開。両サイドからのオープン攻撃でゴールに迫る。出足の鋭さで沖縄かりゆしを上回る大津高校は、高い位置で相手を囲い込んでボールを奪い、沖縄かりゆしの選手の間にあるスペースを使ってボールを運んで行く。さすがに1対1の局面では、フィジカルに勝る沖縄かりゆしの激しい当たりに潰されるシーンも目立つが、アグレッシブさで上回る大津高校が主導権を握る。

 しかし、先制点は沖縄かりゆし。27分、堀健一が自陣から相手ラインの裏へ蹴ったロングボールは、最終ラインとGKの間に落ちる平凡なボール。難なくGKが処理するものと思われた。しかし、このボールを齋藤が猛烈に追いかける。その動きを警戒してペナルティエリアの高い位置まで出ていくGK江藤大輔。そして次の瞬間、ボールが大きくバウンドしてGKの頭上を超えた。そのボールに追いついたのは斎藤が無人のゴールに流し込んだ。



79分の同点ゴールは、人とボールが動く大津らしいゴールだった。
 それでもアグレッシブさを失わない大津高校は、後半に入ると、その姿勢をさらに強めて前へ出る。リードを広げようと前に出てくる沖縄かりゆしとの序盤の攻防を制すると、まるでハーフコートゲームのように、沖縄かりゆしを自陣内に押し込んだ。「運動量でも負けていたし、運動量でも、球際でも負けていた」(斎藤)。試合の主導権を握った大津高校は中盤で起点を作って両サイドに展開。縦に仕掛けて相手の守備陣を翻弄する。そして、沖縄かりゆしのクリアボールを拾っては連続攻撃を繰り出していく。

 監督采配も選手たちを後押しする。ポジション変更と新しい選手を投入することで、両サイドのスピードとパワーを維持。沖縄かりゆしに休む時間を与えずに仕掛け続け、反撃の糸口さえも与えない。そして、いくつかの決定機を逃した後の79分、大津高校は遂に同点に追いついた。起点となったのはCB藤本大のサイドチェンジ。このボールを澤田、藤崎とつないで、最後は谷口彰吾が押し込んだ。ピッチ広くボールが動いた大津高校らしいゴールだった。

 ここから勝負を決めるゴールを目指す濃厚な時間が始まる。徹底したパワープレーで反撃を試みる沖縄かりゆし。さらに前がかりになってグイグイと押し込む大津高校。やがて、示された3分間のロスタイムが経過。大津高校は前に人数をかけて最後の勝負に出た。そして沖縄かりゆしも最後のプレーにかける。中盤のせめぎ合いでボールを奪ったのは沖縄かりゆし。すかさずカウンターを仕掛けると、辛抱強くゴールチャンスを待っていた斎藤がゴールネットを揺らした。突き上げる右拳。熱戦はラストプレーで決着がついた。



決勝ゴールを決めた斎藤(中央・10)。ガッツポーズに思いがこもる。
 90分間、ゴールに向かってチャレンジし続けた大津高校。最後のワンプレーでの敗戦も、平岡監督は誇らしげに胸を張った。「どれだけチャレンジできるかという姿勢と、持っているポテンシャルを確認したかった大会。残念なのは負けたことだけ。試合ぶり、パフォーマンスについては、いま出来る全てのものが出た。前のめりになっての最後のカウンターは非常に残念だが、選手たちの歴史の中の大きな糧になると思う。いい機会に、いい場所で、素晴らしい勉強ができた」。次に目指すのは全国高校選手権。この日の経験を糧に全国の舞台を目指す。

「90分間、本当に苦しい試合だった。最初から動けていなかった。大津高校さんのほうが運動量が多く押し込まれ、中盤が間延びして、さらに運動量でボールを拾われるという苦しい展開だったが、90分で勝てて本当によかった」。苦しげに語る仲本洋監督(沖縄かりゆし)の表情が、この日の試合内容を物語る。受けて立つ側の難しさを思い知らされた試合だった。しかし、3回戦はチャレンジする側に立場が変わる。横浜FC相手にどこまで自分たちのサッカーをぶつけられるか。そのプレーに注目したい。





(沖縄かりゆしFC) (大津高校)
GK: 高橋信幸 GK: 江藤大輔
DF: 村田大 堀健一 堀内省吾 杉本勇樹 DF: 森秀太 藤本大 比嘉大祐 岩崎司
MF: 小寺一生 遠山深 浅野大地(80分/高畑浩二) 渡辺晋平 MF: 佐藤嘉朗 鵜木俊介(68分/北村健登) 谷口彰吾 蔵田岬平(74分/藤崎裕太)
FW: 浅見和正(59分/樋口富夫) 齋藤将基 FW: 西田直斗(63分/澤田崇) 黒木一輝
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