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| webnews 08/10/04 (土) | <前へ|次へ|indexへ> |
鳥栖の「思い」がもたらした逆転勝ち
2008Jリーグ ディビジョン2 第38節 サガン鳥栖vs.横浜FC
2008年9月28日(日)15:03キックオフ ベストアメニティスタジアム 観衆:7424人 天候:曇
試合結果/サガン鳥栖3−2横浜FC(前1−1、後2−1)
得点経過/[横浜]池元(28分)、[鳥栖]廣瀬(35分、48分)、[横浜]御給(78分)、[鳥栖]高橋(86分)
取材・文/中倉一志
第36節、鳥栖のホームで迎えた九州ダービー・熊本戦はクラブ史上最高となる21,029人を観客を迎えて行われた。しかし、結果は鳥栖の逆転負け。J1昇格レースから一歩後退したという結果はもとより、スタンドを満員にしてくれた関係者や、スタンドに足を運んで声援を送ってくれたサポーターの努力と期待に応えられなかったという事実は、選手たちの背中に大きくのしかかっていた。
しかし、鳥栖は下を向かなかった。翌37節のアウェイで戦った山形戦に勝利して2位との勝点差を4に縮めてホームへ帰る。そんな彼らを、7424人の観衆が迎えた。「すごく心に響くものがありました。それに応えなければいけないという気持ちが今日のプレーにつながった」(同)。決していい内容の試合ではなかった。ミスもあった。しかし、戦う気持ちは誰にも負けていなかった。今シーズン初めての逆転勝ち。そして、2位との勝ち点差は1に。「現実問題として、我々にJ1への挑戦権はあると思う」。岸野康之監督(鳥栖)は胸を張って話した。
さて、この試合で前半の流れを掴んでいたのは横浜FCだった。「前半は鳥栖のスピードを殺したディフェンスができて、ある程度、いいリズムで戦えていた」(都並敏史監督・横浜FC)。相手ボールには素早く自陣に引いて守備ブロックを形成。リトリートした体制でスペースを消し鳥栖の前に出るスピードを殺した。そして、攻撃ではシンプルに最終ラインの裏へボールを供給。そこを狙って前線が飛び出し、空いた鳥栖の中盤を使って左から攻め上がる。
そんな横浜FCの前に、鳥栖は自分たちのリズムが刻めない。低い位置にとどまるアンカーの島嵜佑の前にできるスペースが気になって2トップが高い位置からボールを追えず。ボールを奪う位置は低く、藤田祥史へのロングボールも収まらず、時折見せるカウンター以外に攻め手を見つけることが出来なかった。そして28分、鳥栖の判断ミスが横浜FCに先制点をもたらす。横浜FC陣内からのロングボールに対応して飛び出した池本友樹のプレーに、鳥栖はプレーを止めてオフサイドをアピール。しかし、オフサイドの旗は上がらない。池本は、GKとの1対1のシーンから落ち着いてゴールを決めた。
守備主体に試合を進める横浜FC。それを崩せない鳥栖。鳥栖にとっては消化不良のまま時間が経過していく。しかし35分、GK岩丸史也がエリア内で6秒以上をボールをキープしてファールの判定を受けると、ボールを離して抗議する岩丸の前で藤田が素早くリスタート。並走してきた廣瀬浩二が無人のゴールにボールを押し込んだ。思うようなサッカーができずにいた鳥栖にとっては、値千金の同点ゴールだった。
振り出しに戻った状態で迎えた後半、鳥栖は主導権を握るべく、鐡戸裕史に代えて清水康也を投入。そして、島嵜の位置を高くして前からプレスを仕掛けた。「自分たちがやらなければいけないことをやろう」(岸野監督)。そして、その効果がすぐに形に現れる。時間は47分。清水からの楔のボールを受けた藤田から、右サイドを駆け上がって来た長谷川豊喜へ。そして、その長谷川からのクロスに廣瀬が頭で合わせる。すべてダイレクトでつないだ鮮やかなプレー。次の瞬間、ゴールネットが大きく揺れる。
ここからは鳥栖の一方的なペース。高い位置からプレスを掛けて、全員が走り回ってボールを運ぶ鳥栖らしいサッカーが復活。横浜FCを追い込んでいく。ボールホルダーに対するファーストディフェンスが甘い横浜FCは、鳥栖のパス回しに振り回されてマークに付ききれず、バイタルエリアを簡単に突かれるシーンが増える。そして、両者の間にある運動量の差は誰の目に見ても明らか。横浜FCは選手交代に活路を見出そうとするが、運動量は一向に上がらない。
78分、GK室拓哉のミスから横浜FCが同点に追いついたが、鳥栖の勢いは止まらない。そして86分、鳥栖に決勝ゴールが生まれた。決めたのは高橋。ドリブルで中へ切れ込んで左足を一閃。様々な思いを乗せたシュートが、左ポストに当たってゴールに吸い込まれた。「J1への挑戦権を得るために絶対に勝たなければいけない試合だった。その試合で初めての逆転勝ち。そういう力が付いてきたのかなと思う」(岸野監督)。課題はいくつもある。しかし、それ以上にJ1を目指す強い気持ちと、チームの頑張りがもたらした勝利だった。
試合内容そのものの密度が濃かったわけではない。鳥栖の失点はミスから生まれたもの。横浜FCが喫した1失点目も、あり得ない注意不足から生まれたゴールだ。しかし、内容以上に観客をひきつける魅力がこの試合にあった。それは、この1戦にかける思いと、J1への強い思い。この点において鳥栖は横浜FCを上回っていた。
そして、運動量という点でも横浜FCは鳥栖に後れをとった。「我々がいい形でボールキープしていながら、相手に引っ掛かってカウンターを受けてしまったが、上達していけば違ったバランスになる。今日はその部分が前半のマイナス部分として残って、それが後半に響いた」と話す都並監督は運動量不足を否定したが、それにしても、後半に極端に落ちた運動量の少なさは致命的。技術、戦術の徹底も含めて、フィジカル面での見直しが必要なようだ。
| (サガン鳥栖) | (横浜FC) | |||||||
| GK: | 室拓哉 | GK: | 岩丸史也 | |||||
| DF: | 長谷川豊喜 内間安路 飯尾和也 野崎陽介(84分/金信泳) | DF: | 吉田正樹 エリゼウ 吉本岳史 太田宏介 | |||||
| MF: | 鐡戸裕史(45分/清水康也) 島嵜佑 船谷圭祐 高橋義希 | MF: | 小野智吉(75分/三浦淳宏) 根占真伍 三浦知良(54分/山田卓也) 滝澤邦彦 | |||||
| FW: | 廣瀬浩二(77分/地系治) 藤田祥史 | FW: | チョ・ヨンチョル(76分/御給匠) 池元友樹 | |||||
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