| |top|news|column|history|special|f-cafe|about 2002w|BBS|mail to|link| |
| webnews 08/10/05 (日) | <前へ|次へ|indexへ> |
雨中の決戦を制した埼玉の強さ
ピッチコンディションは最悪。ボールが落ちても、足を踏み込んでも水しぶきが上がる。
第63回国民体育大会サッカー競技(女子) 準々決勝 埼玉県vs.福岡県
2008年9月30日(火)11:30キックオフ(35分ハーフ) 三光総合運公園多目的広場 観衆:200人 天候:雨
試合結果/埼玉県4−0福岡県(前0−0、後4−0)
得点経過/[埼玉]若林(41分)、窪田(42分)、庭田(54分)、窪田(62分)
取材・文/中倉一志
大会初日、他会場で行われていた1回戦の様子をチェックしていると、埼玉県が終了間際まで愛知県にリードを奪われ、相手選手1人が怪我の治療のために外に出ていた隙に、やっとのことで逆転勝ちしたという情報が入ってきた。埼玉は、なでしこリーグDiv.1所属の浦和レッズレディースの単独チーム。プロ契約選手が参加していないとはいえ、一昨年は準優勝、昨年は3位、そして、今年も優勝候補の一角に数えられている。その内容が気になった。
「メンタルな部分だけです」と苦笑いするのは村松浩監督(埼玉)。「ゲームの入り方だったり、大会の1回戦は難しいゲームが多いことだったり、そういうものが合わさって苦戦した。決定機を外したり、相手のGKを調子づけてしまったり、負けパターンのゲーム。最後に逆転して終われたことだけが成果」。しかし、一度苦戦したチームが、それをきっかけに集中力が高まるのはよくあること。そして、この日、埼玉はプラン通りのサッカーを展開した。
降り続く雨の影響で、三光総合運動公園多目的広場のピッチ状態は最悪。観客席から見て左側のピッチは泥田のようになってボールが転がらない。その左側に攻める埼玉はロングボールを放り込むことを選択する。「細かいことやってボールを失ってカウンターを喰らうよりは、少し早めに放り込もうと。我々も攻めづらいけれども、向こうも守りで処理しづらい状況なので、前半は背後、背後を狙っていこうということ」(村松監督)。埼玉は徹底してロングボールを蹴り込んでいく。
2列目から前線への飛び出しを狙う矢田貝(赤・13)。しかし、埼玉のDFは固かった。
その埼玉にチャレンジするのは、なでしこリーグDiv.2に所属する福岡J・アンクラスの単独チームで戦う福岡県。「今回は民泊(一般個人宅に宿泊すること)しているが、民泊は、お世話になるお父さん、お母さんの応援がすごいパワーになる。くまもと未来国体(1999年)のときも民泊をして、あの時は準決勝で宮城県を破って決勝に行った。今回もその再現を狙いたい」(河島美絵監督・福岡)。個々の能力では劣っても、チーム全員の強い気持ちと、どこにも負けないフィジカルを武器に少ないチャンスを狙う。
福岡は、こぼれ球に対して埼玉と互角の競り合いを演じ、危ない場面では体を投げ出してボールを止める。そして奪ったボールは、ボールと反対サイドのスペースめがけてダイアゴナルに蹴り出していく。「こんな天候、こんなピッチ状態だから分がある」(河島美絵監督・福岡)。局面で粘りに粘る福岡。そして、必ずやってくるはずのチャンスを待つ。ただ、粘り強く守っても、前へ出るパワーが不足しているのは、やはり実力の差か。そして、試合はスコアレスのまま後半へと折り返した。
ロースコアのゲームは福岡にとって望むところ。しかし埼玉にとっても、前半の0−0は想定の範囲内だった。「焦りはなかった。今日はこういうコンディションなので、普段と違う戦い方を徹底するしかないということでやらせた。後半に攻める側のグラウンドが若干よく、こっちの方がボールが動かしやすいので、慌てなければ、十分チャンスは出てくるということでやっていた」(村松監督)。そして、ここから埼玉の猛攻が始まった。
先制点を奪った若林エリ(青・12)。対峙するのは内堀律子(赤・6)
先制点は41分。左サイドからのクロスボールが、中央で競り合う窪田飛鳥と内堀律子の裏へこぼれたところを、大外から走り込んだ若林エリのシュートがゴールを捕らえた。後半立ち上がりの大事な時間帯。この時間を耐えれば福岡にとって違った展開が生まれてくる時間帯。逆にいえば、埼玉にとっては試合の流れを引き寄せるには絶好の時間帯だった。そんな時間帯で生まれたゴールは、福岡から集中力を奪い、埼玉にはゲームの主導権を与えた。
埼玉の攻撃は右サイドが中心。前半の戦い方の中で、福岡の左サイドが甘いと見たのだろう。徹底的に右へボールを集めて攻撃を繰り出していく。窪田が奪った2点目は先制ゴールから1分後。さらに、54分には庭田亜樹子が、62分には再び窪田が決めて4−0。「前半は単純な攻撃にならざるをえなかったので、簡単に点をとるのは難しいなと思っていた。反面、後半はチームが意図する形で点を取りに行けた。70分トータルでいけば、プラン通りの戦い方だった」(村松監督)。それができるのも実力の証明ということだろう。
1回戦での苦戦が嘘のように自分たちのゲームプラン通りに試合を進め、思ったように勝利をおさめた埼玉。そして、振り続ける雨、最悪ともいえるピッチコンディションの中で、やるべき戦術を徹底して70分間やり通せたのも、実力の証だろう。ほぼ同じメンバーで臨んだ昨年の国体では、強さと脆さの両面を見せたが、今年のチームには落ち着きと強さが感じられる。まずは順当にベスト4に駒を進めたが、これから先の戦いが楽しみなチームだ。
埼玉のエース・窪田飛鳥(青・11)。そのパワーは驚異
そして福岡。「スペースへ蹴ろうという戦術なのに、それが徹底できなかった」と悔やむのは河島監督。互いの間に実力差があったのも確かだが、その言葉通り、狙いとするサッカーを徹底するという点においても埼玉との差は顕著だった。しかし、これも経験。残念な結果に終わったが、花田愛子、後藤あずさ、猶本光ら、成長が感じられる選手もいる。国体で得た経験と教訓を次に生かすこと。それが福岡に与えられた宿題だろう。
| (埼玉県) | (福岡県) | |||||||
| GK: | 小金丸幸恵 | GK: | 田上未希 | |||||
| DF: | 森本麻衣子 百武江梨 笠井香織 竹山裕子 | DF: | 後藤あずさ 鈴木千賀 内堀律子 大本倫 | |||||
| MF: | 木原梢(52分/庭田亜樹子) 高橋彩子(62分/法師人美佳) 岩倉三恵 堀田えり子(46分/保坂のどか) | MF: | 猶本光(51分/葛間理代) 板谷麻美 正手亜希子(62分/本庄彩雅) 花田愛子 矢田貝実希子 | |||||
| FW: | 若林エリ 窪田飛鳥 | FW: | 谷原ゆかり | |||||
| <前へ|次へ|indexへ> |
| |top|news|column|history|special|f-cafe|about 2002w|BBS|mail to|link| |