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 webnews 08/10/10 (金) <前へ次へindexへ>
山形が再び2位に浮上。福岡は数的優位を生かせず。
2008Jリーグ ディビジョン2 第39節 モンテディオ山形vs.アビスパ福岡

2008年10月5日(日)13:04キックオフ NDソフトスタジアム山形 観衆:6,169人 天候:曇
試合結果/モンテディオ山形1−0アビスパ福岡(前0−0、後1−0)
得点経過/[山形]豊田(46分)


取材・文/中倉一志

 広島が首位を独走する形で進んで来た今年のJ1昇格レース。その広島は、開幕から首位をひた走り、一度もその座を譲ることなく第37節で2位以内を確定させ、翌38節には早くもJ2優勝を決めた。選手個々の能力はさることながら、際立ったのはJ1昇格に対する強い姿勢。過去の歴史を振り返っても、最後まで力を緩めることなく走りぬいたチームは多くはない。しかし、2位以下は例年以上の混戦。一時は山形が抜け出すかと思われたか、ここへ来て昇格レースは混沌としてきた。

 第33節終了時点で3位に勝点で6の差をつけて2位にいた山形だったが、9月は勝ち星がなく、第38節終了時点で得失点差で湘南に2位の座を明け渡し、さらに、仙台、鳥栖には勝点1差まで迫られた。そして迎えた第39節、前日に行なわれた試合で湘南が敗戦、仙台は引き分け。今節、鳥栖に試合はなく、山形にとっては非常に重要な試合を向かえることになった。その相手は福岡。残されたわずかな可能性を追う福岡も勝利すれば2位との差を7に縮めることになり、こちらも重要な局面を迎えている。



 まずは前線の豊田陽平に向けてロングボールを預けて起点を作り、後方から押し上げる山形。ハーフナー・マイク、大久保哲哉の高さを活かしつつ、大久保のポストプレーからサイドへ展開する福岡。両チームともいつもの戦い方で試合をスタートさせる。しかし、ともに勝たなければならないという状況は、両チームに攻撃よりも守備に重点を置いた試合運びを選択させた。

 9月に勝ち星がないとはいえ、山形の中盤の守備の連動性は健在。ボールホルダーに対して網を掛けるように囲い込み、ジワジワと相手のプレーエリアを狭めていく。激しく高い位置からボールを追うのではない。しかし、確実に相手を追い込んでいく。ボールキープ率では上回る福岡だが、ボールを保持しながらも、気がつくと自陣深くまで追い込まれているシーンが生まれるほどだ。しかし、奪ったボールをサイドへ展開することは少なく、サポートの距離も遠い。攻撃という点では物足りなさが残る。

 福岡も山形を中盤から抜け出させない。この日のテーマは前半を0で抑えて、後半で勝負を仕掛けるというもの。チーム全体で連動して守ることに力を注いでいる。30分を過ぎてからは、中盤のボール争いで優位に立ち、自陣に引いて守る山形のスペースを突きながらボールを前に運ぶシーンが増えていく。しかし、安全第一のためか手間がかかりすぎてチャンスを広げることが出来ない。それも失点しないことに気持ちが引っ張られているからだろう。

 結局、前半は0−0。勝負の行方は互いの狙い通りに後半へと持ち越された。



「サイドを起点にして攻撃をしていこう」(小林伸二監督・山形)
「後半の入り方に注意して、積極的にシュートを打とう」(篠田善之監督・福岡)

 両監督の指示を受けてピッチに散っていく選手たち。そして先手を取ったのは山形だった。キックオフから一気に福岡ゴールに迫る山形は、明らかに前半のリズム、テンポが違う。しかし、前半と同じリズムでゲームをはじめた福岡は、この変化に対応できず。そして、ペナルティエリア右隅で北村知隆のパスを受けた豊田が素早く反転、その左足を振り抜くと、次の瞬間、福岡のゴールネットが大きく揺れた。ビューティフルゴール。山形にとっては狙い通りの、福岡にとっては悔やまれるゴールだった。

 だが、サッカーは何が起こるかわからない。その1分後、山形に思わぬ出来事が襲い掛かる。福岡からボールを奪おうとして財前宣之のプレーに主審がイエローカードを高々と示した。このカードは財前にとって、このひ2枚目。これで山形は残る43分間を10人で戦うことを余儀なくされた。前線を1トップにして対応する山形だったが、守備に定評があるとはいえ、攻撃力のある福岡に対して43分間を耐えるのは難しいかと思われた。

 しかし、福岡は絶好ともいえるチャンスを最後まで生かすことが出来なかった。2枚の守備ブロックを形成する山形を前にして誰も仕掛けず。ただ、足元への横パスを繰り返し、待ち構える相手にクロスボールを放り込むことを繰り返したからだ。しかも跳ね返されたボールさえも拾えない。田中佑昌、中払大介を投入し、さらに最終ラインを3枚にして久永辰徳を送り込んでも、その流れは変わらなかった。結局、最後まで単調な攻撃を繰り返す福岡は0−1のまま試合を終えた。



「福岡の2トップが代わらずに2ターゲットだったので、あそこで単調だったというところで少し救われたのかなと。守る部分が見えたのかなという感じがして、一応乗りきることができた」(小林監督)。福岡が攻めあぐねたことで勝利を手に入れた山形。これで再び2位に浮上した。内容そのものには課題も残るが、この時期は内容よりも結果。そして勝点3は何よりもまさる良薬でもある。「ここはしっかり勝てれば、普通の勝利とは違う」(同)。その勝利を手に入れて、山形は念願のJ1昇格へ向けてラストスパートを掛ける。

 一方、敗れた福岡はいよいよ後がなくなった。そして、非常に重要な試合と位置づけて臨んだ試合を、なんの工夫もなく、しかも勝利を求める姿勢を見せられないままに過ごしてしまったことにチームの抱える問題の深刻さが垣間見える。残されたリーグ戦は5試合。逆転昇格への可能性は極めて低くなったが、「常に大事なのは目の前の試合」と言い続ける篠田監督の言葉を実践することこそが、福岡の、そしてプロとしてのあるべき姿だろう。


(モンテディオ山形) (アビスパ福岡)
GK: 清水健太 GK: 吉田宗弘
DF: 石井秀典 レオナルド 園田拓也 石川竜也 DF: 中村北斗 丹羽大輝(69分/久永辰徳) 柳楽智和 中島崇典
MF: 北村知隆(89分/リチェーリ) 馬場憂太(64分/渡辺匠) 宮本卓也 宮沢克行(71分/宮崎光平) MF: 久藤清一 城後寿 山形辰徳(51分/田中佑昌) タレイ(59分/中払大介)
FW: 豊田陽平 財前宣之 FW: ハーフナー・マイク 大久保哲哉
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