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| webnews 08/10/12 (日) | <前へ|次へ|indexへ> |
苦しみながら手に入れた勝利。大会2連覇へあとひとつ。
柔らかなポストプレーを見せる大谷未央(青・9)。どんなボールも諦めない姿勢でゴールを狙う。
第63回国民体育大会サッカー競技(女子) 準決勝 兵庫県vs.岡山県
2008年10月1日(火)13:30キックオフ(35分ハーフ) 三光総合運動公園多目的広場 観衆:700人 天候:晴
試合結果/兵庫県3−2岡山県(前2−1、後1−1)
得点経過/[岡山]中田(1分)、[兵庫]山本(17分)、大石(23分)、[岡山]中川(42分)、[兵庫]佐野(44分)
取材・文/中倉一志
前日までの雨が嘘のように晴れ渡る高い空。そして降り注ぐ強い日差し。記者席の上に置いた双眼鏡の金具の部分が触れないほどに熱くなっている。そんな中、ピッチに登場するのはTASAKIベルーレの単独チームである兵庫県と、湯郷Bellを中心にしてチームを編成した岡山県。兵庫は前回大会に続く大会2連覇を、岡山は過去2大会連続で敗れている準決勝の壁を破ることを目指す。
準々決勝では、田頭陽子を1トップに置いた4−1−4−1の布陣でゲームをスタートさせた兵庫だが、この日は大谷未央、田頭を前線に並べる4−4−2。中盤は右に山本絵美、左に大石沙弥香。中盤の底に白鳥綾を置き、トップ下に阪口夢穂が構える。対する岡山は宮間あやをトップ下に置く4−4−2。右SHに中川理恵、左SBに山口絢子、そしてCBに西田明美と、3人の大学生を加えた布陣。そして、ワンボランチを務める赤井歩が兵庫の阪口のマークに付く。
試合は岡山の先制ゴールで始まる。宮間からのラストパスをフリーで受けた中田麻衣子が落ち着いてボールをコントロール。そして左足でゴールを奪った。時間はまだ1分。兵庫の一瞬の隙を突いた鮮やかな先制ゴールだった。
岡山の司令塔・宮間あや(右・白)。この日も2得点に絡んだ。
しかし、このゴールで目が覚めた兵庫は、ここから一方的にボールを支配して試合を進めていく。前線で攻撃の起点を作るのは大谷。ポストプレーでボールをため、そして裏へ飛び出してはボールを引き出す。攻撃の中心は右サイド。山本が中へ絞り、明けたスペースを甲斐潤子が駆けあがる。そして、チームのタクトを振るのは阪口。高い技術とセンス、そして流れを読んだ配給でチームを動かしていく。マークに付く赤井も阪口を抑えきれない。
さらに岡山を不運が襲う。11分という早い時間に中田麻衣子が怪我のためにピッチを退く。「選手は頑張ってくれたが、どうしても交代選手のところから綻んでしまった」(本田美登里コーチ)。そして17分、三重のクリアがゴール前にこぼれるところを、すかさず山本が左足ボレー。兵庫が同点に追いついた。そして、さらに攻勢に出る兵庫は23分、ドリブルで持ち込んだ大石沙弥香が左45度の位置から左足を一閃。岡山のゴールネットを揺らして、あっさりと逆転に成功した。
何とか喰らいついていきたい岡山だったが、兵庫の攻勢の前に中盤が最終ラインに吸収されてしまい、中盤でボールを拾えず。これでは、最終ラインからのロングボールを蹴り返すことしかできず、宮間という最大の武器を活かせないままに前半を折り返すことになった。
後半も主導権を握って戦うのは兵庫。しかし、貫禄を感じさせながらも、どこかに隙が見えるのが今大会の兵庫だ。試合を支配しながらも、エアポケットにはまったかのようにになって一瞬の隙を突かれて失点している。そして岡山は42分、兵庫が見せた隙をついて同点に追いつく。きっかけは兵庫がFKのチャンスを得ながら、そのボールを簡単に岡山に渡してしまったこと。その流れの中からCKを奪った岡山は、GK齊田由貴のクリアが甘くなったところを、中川がヘディングで押し込んだ。
際立つ存在感・阪口夢穂(中央、青・10)。チームのタクトをふるう。
「もう1点取りに行っていたが、自分たちで休んでしまった感じになって、CKを取られてやられてしまった。流れを自分たちのものにしきれずに、簡単に相手に譲ってしまっている」(仲井監督)。岡山の同点ゴールから2分後、兵庫は佐野弘子のゴールで再びリードを奪ったが、その傾向は変わらない。次第に前へ出ていくパワーが失われ、それに呼応して岡山が前に出るシーンが増えていく。そして、岡山の反撃が始まった。
中盤でボールが拾えるようになった岡山の攻め手は、右SHの中川のスピードを徹底して活かすこと。宮間がスペースへ向けてボールを送り込み、何度も、何度も中川が裏のスペースを陥れる。大阪体育大学から参加している中川の特長を、兵庫が掴み切れていなかったことも幸いしたようだ。スピードに対応できない兵庫は完全に受けに回り、主導権は岡山へと移る。しかし、岡山の問題はそこから先。チャンスの糸口は掴むものの、それをシュートに結び付けられなかったことだ。最後まで攻め続ける姿勢は見せたが、ゴールは遠かった。
「湯郷Bellで試合をする時よりも両サイドにスピードがあったで、それは岡山の武器かなというのがあった。ただ、その武器を活かすために中盤でのボールを拾いたかったが、そこで拾いきれなかったことで、それが自分たちの攻撃の起点になれなかった」。そう試合を振り返る本田コーチの表情には敗れた悔しさが滲む。これで3年連続でベスト4の壁を破ることができなかった。
中川理恵(白・14)のスピードは兵庫を十分にあわてさせたが、攻撃の手数が、もう一枚足りなかった。
しかし、まだ岡山の戦いは終わっていない。決勝戦に先立って行われる3位決定戦で、三重との対戦が待っているからだ。昨年、一昨年と3位決定戦に敗れている岡山にとっては、目指す頂点には届かなかったが、3位を手に入れるという新たな目標がある。「気持ちよく勝って帰りたいですね」(本田コーチ)。悔しさを胸に秘め、次なる戦いへと挑む。
一方、苦い表情を浮かべたのは仲井監督も同じだった。なでしこリーグでは5位に甘んじており、この大会をきっかけにして本来の姿を取り戻したいところだが、チームに安定感を感じることができないからだろう。それでも勝ちを重ねることでチームは成熟していくもの。大会2連覇を果たすことでチームは自信という武器を手に入れられるはずだ。「明日の相手の埼玉は守備面ではつけ入る隙もあると思う。そのかわり、攻撃面ではいい選手がそろっているので、そこをどう抑えるかというところ」(仲井監督)。頂点まではあと1勝だ。
| (兵庫県) | (岡山県) | |||||||
| GK: | 齊田由貴 | GK: | 福元美穂 | |||||
| DF: | 甲斐潤子 池田浩美 下小鶴綾 佐野弘子 | DF: | 安田邦子 城地泰子 西田明美 山口絢子(52分/杉山紫乃) | |||||
| MF: | 山本絵美 白鳥綾 阪口夢穂 大石沙弥香(69分/朝日麗華) | MF: | 中川理恵 赤井歩 中田麻衣子(11分/壷井綾子) 宮間あや | |||||
| FW: | 大谷未央 田頭陽子(HT/澤田由佳) | FW: | 杉本理恵 田中静佳 | |||||
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