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 webnews 08/12/20 (土) <前へ次へindexへ>
リガ・デ・キト、南米のプライドを守る勝利。パチューカを零封!
TOYOTAプレゼンツ FIFAクラブワールドカップジャパン2008 準決勝 パチューカvs.リガ・デ・キト

2008年12月17日(水)19:30キックオフ 国立競技場 観衆:33,366人 天候:雨
試合結果/パチューカ0−2リガ・デ・キト(前0−2、後0−0)
得点経過/[リガ・デ・キト]クラウディオ・ビエレル(4分)、ルイス・ボラーニョス(26分)


取材・文/貞永晃二

 FIFAクラブワールドカップ(以下、CWC)の4試合目となる準決勝第1戦に、コパ・リベルタドーレスを制したリガ・デ・キトが登場した。身を包む黒いユニフォームは精悍さにあふれ、南米チャンピオンの威厳に満ちている。

 エクアドルという国名が示す通り赤道直下に位置しながら、標高約2800メートルという高地のため年間を通して温暖な気候だという首都キト。その町に1930年に設立されたリガ・デ・キト(以下、キト)は、国内リーグで過去9回優勝、ここ10年に限っても5回の優勝を遂げているエクアドル有数の強豪チームだ。

 コパ・リベルタドーレスを振り返ろう。まずフルミネンセ(ブラジル)、アルセナル(アルゼンチン)、リベルター(パラグアイ)とのグループリーグを2位で突破したキトは、続くラウンド16ではエストゥディアンテスLP、準々決勝ではサン・ロレンソという強国アルゼンチン勢を連破し波に乗った。準決勝ではクラブ・アメリカ(メキシコ)を退け、迎えた決勝はグループリーグで相まみえたフルミネンセとの再戦となった。ホームで4−2と快勝したキトだったが、アウェーでは1−3と敗れ2試合合計5−5。PK戦はGKホセ・セバージョスが連続3本ストップという大活躍を見せて3−1で終了、エクアドル初の南米制覇となった。

 一方のパチューカは今大会初戦の準々決勝、前半0−2のビハインドから後半大逆転し結局4−2でアルアハリを降し、決勝進出をかけてこの試合に挑む。トヨタ・カップがCWCに形式を変えてから、決勝進出チームはヨーロッパと南米のチームに限られている。その「壁」をパチューカが崩すことができるか、注目の一戦は降りしきる雨の中キックオフされた。



 キトが試合をいきなり動かした。4分、マンソがドリブルからビエレルへスルーパス。コースを読んだマンスールがクリアするが、このボールが味方のロペスに当たりビエレルへの1週早いクリスマスプレゼントとなる。スルーパスに反応し飛び出していたGKカレロはシュートを止められなかった。

 リードされたパチューカだが、日本ではもう「おなじみ」となったパスサッカーを展開していく。しかし、3万を越す観衆がどよめくのは、キトがカウンターを繰り出す瞬間だ。雨に濡れたピッチ上を美しく滑っていくスルーパスは、レフティ、マンソを中心とするキトのフロントラインが演出する。

 キトは前線からの忠実なチェイシングに加え、巧みにパスコースにフタをする組織的な守備を敷いてパチューカのパスサッカーを封じていき、初戦大逆転の立役者、ヒメネスとアルバレスにもつけ入るスキを与えない。そしてキトはマンソがボールを相手DFの手に意図的に当てるプレーで、練りに練ったセットプレーを見せるチャンスを作り出す。98年フランス・ワールドカップでロベルト・バッジョがチリ戦でPKを奪ったプレーを思い出させる一瞬だった。

 26分、パチューカの作るカベからボールを隠すために3人の選手を立たせるキト。GKカレロの視野にはマンソの姿だけが見え、彼が蹴るかに見えたはずだ。キトの3人のうちの左端の選手が左足キックのコースを開けるかのように動いた瞬間、ボラーニョスの右足からシュートが放たれた。ジャンプするカベの選手を越えてゴール右スミに飛んだボールにカレロの伸ばした手は届かない。「4カ月前から練習してきた」とバウサ監督とボラーニョスの2人が口をそろえ、パチューカ・メサ監督が「あのハンド(の判定)がすべてだった」と悔しがったFKでパチューカは初戦同様に2点のビハインドを前半から背負うことになった。

 2点のリードで試合を落ち着かせたいキトの守備がややトーンダウンしたためもあって、パチューカのチャンスが30分過ぎに連続した。ロハスのアーリークロスからアルバレスの右足ボレーがGKセバジョスを襲った33分。さらに独力で突破したヒメネスのシュートがGKセバジョスにはじかれたところをカルデナスがヘッドで狙った34分。しかし、ともに決まらない。前半パチューカのボール支配率はなんと68%、しかしスコアは全く逆の0−2だ。



 アルアハリ戦同様に、後半開始から2人を交代投入し局面打開を図るパチューカ・メサ監督。しかし、惜しいシーンといえば56分のトーレスのシュートくらい。そして69分、キトは中盤のビルドアップでパスミスを犯し、パチューカのショートカウンターを食らうが、キトDFはあわてることなくマークを受け渡し全く危なげがない。これ以降、パチューカが攻め込み、前半に「これぞ南米!」とヒザを叩きたくなるようなプレーを見せてくれたキトのマンソがボールに触れなくなるほど、パチューカペースで進むが、キトの守備はこれをしっかりと受け止め、ことごとくはじき返していく。

 焦りが出始めたパチューカはヒメネスの強引な突進からマリオニのシュートが飛ぶがワクをとらえられない。ヒメネス自身もミドルを打つが、大きくバーを越えてしまう。残り10分を切ってロペスの高いヘッドが右に外れ、FK、連続3度のCKとチャンスの山を築くがことごとくモノにできない。

 キトは89分、マンソのパスからラレアが右サイドを破る。しかし丁寧なラストパスをナビアがクロスバーの上にシュートミス。3点目は逃すが、そのまま5分という長いロスタイムも、守備では集中を切らさず、南米代表のプライドをしっかり守った試合を締めくくった。



 まずはキトの固い守備を称えなければならない。ボール支配率ではパチューカに圧倒されながら、「回すなら回せばいい」というような余裕さえ感じさせる守備だった。パチューカがまんまとキトの術中にはまってしまった試合だったといえよう。

 先制点はキトにとって幸運ではあった。しかし、まさかのタイミングで目の前に転がってきたボールを正確に決めて見せたビエレルのシュートは高い技術あってこそだ。そして2点目のFKはGKの視野を緻密に計算し、予想の裏をかくプレーだった。正確なボラーニョスのキックもまた見事だった。

 一足先に決勝進出を決めたキト。対戦相手がマンチェスター・ユナイテッドかガンバ大阪かはわからないが、いずれにしてもキトの守備をいかに崩していくかはかなりの難題ではないだろうか。それにしてもブラジル、アルゼンチンだけではない、南米サッカーの奥深さを思い知らされたキトのサッカーだった。


(パチューカ) (リガ・デ・キト)
GK: ミゲル・カレロ GK: ホセ・セバージョス
DF: レオバルド・ロペス フリオ・マンスール ファウスト・ピント DF: ハイロ・カンポス レナン・カジェ ノルベルト・アラウーホ ディエゴ・カルデロン 
MF: ファン・カルロス・ロハス ハイメ・コレア(46分/パウル・アギラル) フランシスコ・トーレス(67分/ヘラルド・ロドリゲス) ホセ・カルデナス(46分/ルイス・モンテス) MF: ウィリアム・アラウーホ パトリシオ・ウルティア ネイセル・レアスコ(90分/ペドロ・ラレア) アレハンドロ・マンソ ルイス・ボラーニョス
FW: クリスティアン・ヒメネス ダミアン・アルバレス ブルーノ・マリオニ FW: クラウディオ・ビエレル(78分/レイナルド・ナビア)
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