| |top|news|column|history|special|f-cafe|about 2002w|BBS|mail to|link| |
| TOYOTA Presents FIFA Club World Cup Japan 2007 | <前へ|次へ|indexへ> |
苦しみながらも老獪さを発揮。ボカがサヘルを下す。
TOYOTAプレゼンツ FIFA Club World Cup Japan 2007 準決勝 エトワール・サヘルvs.ボカ・ジュニアーズ
2007年12月12日(水)19:30キックオフ 国立競技場 観衆:37,255人
試合結果/エトワール・サヘル0−1ボカ・ジュニアーズ(前0−1、後0−0)
得点経過/[ボカ]カルドソ(37分)
取材・文/中倉一志
カクテル光線に照らされた国立競技場のピッチが、いつもより輝いて見える。欧州と南米のクラブチャンピオン同士が一発勝負でクラブ世界一を決定するトヨタカップから、6大陸のクラブチャンピオンが一同に会して世界一を決める「FIFA Club World Cup」に衣替えしてから3年目。回数を重ねるとともに大会の意義が浸透し、それが、国際大会に特有の空気を作り出しているからだろう。Jリーグのそれとは異なるボカ・ジュニアーズサポーターの声援のリズムと野太い声も、雰囲気作りに一役買っている。
ボカ・ジュニアーズの布陣は4−4−2。ファビアン・バルガスを中盤の底に、そしてエベル・バネガをトップ下に置くダイアモンド型の中盤を構成している。リベルタドーレスカップで8得点を挙げてMVPに輝いたリケルメの選手登録が間に合わなかったというマイナス要因があるものの、ACミランと並んでの優勝候補であることに変わりはない。
そして、ボカに挑戦するのはアフリカ代表のエトワール・サヘル。準々決勝進出プレーオフでは大方の予想を裏切って北中米カリブ代表のバチューカを1−0で破って準決勝に進んできた。この日の布陣はアミン・シェルミティを1トップに置く4−5−1。堅守をベースに、若干19歳ながら勝負強さと決定力を兼ね備えたシェルミティに勝負を託す。
ボールを支配して攻撃を組み立てるボカと、堅牢な守備をベースにして戦うサヘル。試合前の予想通りの展開で試合が進んでいく。しかし、サヘルは引いて守っていたわけではない。コンパクトでバランスのとれた中盤を構成し相手を待ち受けると、中へ入ってくるボカに素早くプレッシャーをかけてスペースを与えない。そして奪ったボールを右へ展開。フレジュのオーバーラップからチャンスを作る。試合は膠着状態が続いていたが、試合をコントロールしていたのはサヘルだった。
そんな展開の中、ボカがひとつのチャンスを確実にものにするのだから、さすがというべきか。時間は37分。ボールをもらうために下がってきたパレルモが足元に呼び込んだボールをダイレクトで左へ展開。そこへ駆け上がってきたパラシオがドリブルを仕掛けてDFを引きつけてからマイナスのパスを送る。そしてフィニッシャーはカルドソ。ボールをコントロールした位置からはシュートコースは多くないと思われたが、左足でゴールネット天井を揺らした。ここしかないシュート。鮮やかな得点シーンだった。
しかし、サヘルに気落ちした様子は見られない。ラインの間に入り込んでボールをつなごうとするボカに対し、しっかりとプレスをかける戦い方はそれまでと同じ。決してボカに勢いを与えない。そしてサヘルが迎えた決定機は44分。アリナフハがドリブルで中央へ持ち込んでゴール前左で待ち構えるシェルミティへ。シェルミティの左足が唸る。ゴール右隅を捉えたかに思われたシュートはGKカランタに左手1本ではじき返されたが、シェルミティの勝負強さが垣間見られたシーンだった。
ところで、ここまでのサヘルの戦い方を見ると、彼らのスタイルは「卓越した身体能力を生かしたサッカー」というアフリカ勢に対する評価が必ずしも正しくないことに気づかされる。もちろん、身体能力の高さを感じさせる部分はあるのだが、展開するサッカーは、むしろ組織的。AFCアジア・アフリカチャレンジカップで来日したアフリカ代表(国内組中心で編成)もそうだったが、トッププレーヤーの多くがヨーロッパのクラブへ移籍する現状が、国内リーグを組織的なものに変えたようだ。
とは言え、後半に入るとボカがリズムを刻む時間が増えてくる。やがて、前への圧力を増したボカが試合の主導権を奪う。ボカの攻撃の中心は左サイドから。その攻撃を警戒しなければならないサヘルは、武器のひとつであったフレジュのオーバーラップを失い、反撃の手立てがなくなっていく。この試合が初戦となるボカの調子は決して本来のものではないが、それでも、確実にボールをサヘル陣内へ運び、危なげなく時間を使っていく。
65分、ボカは中盤の要であるバルガスが2回目の警告を受けて10人での戦いを強いられたが、老獪なゲーム運びが際立ったのは、むしろここから。守備に重点を置いてサヘルの攻撃の芽を確実につぶすと、パラシオ、パレルモの2人のコンビからカウンターを仕掛けてゴールチャンスを作り出す。攻撃の手を封じられ、前にかかればカウンターから裏を取られるサヘル。試合の流れはボカの手中にあった。
それでも1点を追う気持ちをなくさないサヘルは89分、久しぶりにオーバーラップを仕掛けたフレジュがファー再度へ絶妙のセンタリング。このボールにシウバが頭で合わせたが、ボールは惜しくも再度ネットを揺らすにとどまった。そして3分間のロスタイムを経て試合終了のホイッスル。サヘルの健闘と、ボカの老獪さという印象を残して準々決勝の幕が閉じた。
「とてもいい試合をした。選手たちを祝福したいと思う」。マルシャン・ベルトラン監督は、記者会見で試合を振り返ったが、その言葉に偽りはない。開始10分でオグンビイが怪我で交代するアクシデントがあった中でも自分たちの力を余すことなく発揮。特に前半はボカ相手に試合をコントロールして見せた。ベルトラン監督が分析したように、両者の差は経験とポテンシャル。現在の力関係では最高の試合をしたと見ていいだろう。最終日は3位決定戦に回ることになったが、いま現在残されている可能性の中で、最も高い位置を目指して戦うことになる。
アルゼンチンメディアが、矢継ぎ早に「ボカの力はこんなものではないだろう?」と記者会見で質問を浴びせたように、ボカは本調子というわけではなかったのだろう。しかし、苦しんだとは言え、確実に1点差で逃げ切るのは力の証。10人になった後は4−3−2の布陣でバランスを整えた当たりは、さすがは南米チャンピオンチームだった。決勝の相手は欧州チャンピオンのACミラン。ボカにとっては6ヶ月ぶりになる決勝の舞台で、3度目のクラブ世界一を目指す。
| (エトワール・サヘル) | (ボカ・ジュニアーズ) | |||||||
| GK: | アイメン・バルブーリ | GK: | マウリシオ・カランタ | |||||
| DF: | サブール・フレジュ セイフ・ゲザル ラドゥアン・ファルヒ メフディ・メリア | DF: | ウーゴ・イバーラ ホナタン・マイダナ ガブリエル・バレッタ クラウディオ・モレル | |||||
| MF: | ムリ・オラ・オグンビイ(10分/アフアン・ガルビ) ムサ・ナリー メジディ・トラワイ(75分/ジウソン・シウバ) モハメド・アリナフハ モハメド・サッコ(56分/マハディ・ベンディファラー) | MF: | セバスティアン・バタグリア ファビアン・バルガス エベル・バネガ(92分/パブロ・レデスマ) ネリ・カルドソ(68分/アルバロ・ゴンザレス) | |||||
| FW: | アミン・シェルミティ | FW: | ロドリゴ・パラシオ(90分/マウロ・ボセッリ) マルティン・パレルモ | |||||
| <前へ|次へ|indexへ> |