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| TOYOTA Presents FIFA Club World Cup Japan 2007 | <前へ|次へ|indexへ> |
ワシントン惜別2発。世界に刻んだ浦和の第1歩。
TOYOTAプレゼンツ FIFA Club World Cup Japan 2007 3位決定戦 エトワール・サヘルvs.浦和レッドダイヤモンズ
2007年12月16日(日)16:00キックオフ 横浜国際総合競技場 観衆:53,363人
試合結果/エトワール・サヘル2−2(PK2−4)浦和レッドダイヤモンズ(前1−1、後1−1)
得点経過/[サヘル]フレジュ(5分)、[浦和]ワシントン(35分、70分)、[サヘル]シェルミティ(75分)
取材・文/中倉一志
先攻の浦和が4−2のリードで迎えたサヘルの4本目のPK。キッカーのメジディ・トラウイがペナルティスポットに静かにボールを置く。そして右足から放たれたシュートはゴール中央へと飛んでいく。しかし、右へ反応したGK都筑龍太は慌てずに左足を残してセーブ。力なくゴール前に転がるボールを両手で拾い上げたところで決着がついた。ゼロックス・スーパーカップから数えて57試合目。遂に浦和は世界に刻む第一歩を踏み出した。
蓄積された疲労のためか、チームのベストパフォーマンスを発揮できた試合ではなかった。それでも厳しい時間を凌ぎ、チャンスを確実に決め、痺れるPK戦を全員が成功させて勝利を手繰り寄せたのは、長く、厳しい戦いの中で逞しさに身につけていたからに他ならない。「本当にうれしい。このクラブワールドカップで3位という好結果を残せたことは、チームにとって、クラブにとって大きな意味があると思う」と、試合後、ホルガー・オジェック監督(浦和)は誇らしげに胸を張った。
ゴール裏を赤く染めるサポーターの野太い声に後押しされてピッチに立つ浦和イレブン。今シーズンを締めくくる試合の舞台としては申し分はなかった。あとは力の限りに戦うだけだった。しかし、試合は予想外の展開で幕を開ける。開始直後の5分。縦1本のパスに反応して瞬時にトップスピードに乗ってゴール前に抜けだしたシェルミティに坪井慶介が置いていかれた。後ろから懸命に追いすがったプレーに対して出た判定はPK。開始早々に1点を背負う展開になった。
それでも「前半早い時間に先制点を奪えたことで、ラインが下がってしまった」とマルシャン・ベルトラン監督(エトワール・サヘル)が振り返ったように、サヘルが引いたことでボールを支配するのは浦和。相手陣内でのプレーが続く。ところが、疲労のためか動きの鈍いチームは肝心なところで相手にボールをひっかけてしまい、チャンスを作ることができない。ほんの少しの差で勝負が決まるのが国際舞台での戦い。浦和に1点が重くのしかかる。
ここで浦和は「入り方に戸惑った。自分の中でうまくプレーできなかった」という細貝萌をボランチへ。それに伴いトップ下でプレーしていた山田暢久を右サイドへ移し、長谷部誠をトップ下に上げた。これが奏功したのか浦和は少しずつリズムを刻みだす。そして苦しい状況をワシントンの一発が打開する。時間は35分。相馬嵩人からのクロスに鬼気迫る勢いでゴール前に飛び込んで頭で合わせた。ここからは浦和のペース。前半は1−1で折り返したが、勢いは浦和にあるように思えた。
ところが、後半の主導権を握ったのはサヘルだった。「少し前に行けということ。後半は失った勢いを取り戻したかった。前に行くことで、下がり過ぎることのないようにしたかった」(マルシャン・ベルトラン監督)。その狙い通り、前から仕掛けるサヘル。そのプレースピードが上がっていく。攻撃の中心は右サイド。ボカ戦でも積極的なオーバーラップを見せていたフレジュが高い位置に顔を出すシーンが増える。今度は浦和が自陣内でのプレーを余儀なくされた。
浦和は1対1の局面で負け、前へ出られず、そしてスピードについていけなくなっていく。状況は厳しいように思えた。しかし、再びワシントンがチームを救う。70分。左サイドから永井雄一郎がFKをゴール前に送ると、ニアサイドとファーサイドをケアしていたサヘルが空けた中央のスペースへ走り込んだ。この時点で勝負あり。頭で合わせたシュートが再びゴールネットを揺らした。前半の先制点がこの試合最初の決定機ならば、後半の決定機はこれが最初。わずかなチャンスを確実にゴールに結びつけるワシントンの勝負強さが光る。
だが勝負はこれで終わらない。75分、サヘルが再び同点に追いついた。縦1本のボールに坪井と競り合ったシェルミティは、一度は転倒しながらも素早く立ち上がってボールに喰らいつく。こぼれたボールは都築の両手の中に入るかと思われたが、それでも諦めないシェルミティは、その瞬間にボールをつついて奪い返すと、無人のゴールヘ流し込んだ。坪井と都築にもう少しだけ緊張感があれば生まれなかったゴール。しかし、最後まで粘り抜いたシェルミティのゴールの執念を褒めるべきかもしれない。3位の座はPK戦で争われることになった。
そして冒頭のシーン。浦和は3位で大会を終えた。PK戦は時の運。そういう意味では、サヘルと浦和の間には力の差はなかったと言える。しかし、それは浦和の3位が色褪せることを意味しない。定められたレギュレーションの中で結果を出すのが強いチーム。そして、強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いというのが勝負の世界の鉄則。どんな戦いであれ、結果を残したという1点に価値がある。浦和は間違いなく世界の舞台に、その一歩を刻んだ。
「まだまだ違いはあると感じる。独特の攻撃のスタイルを持っている。各々のスタイル、戦略があって、サッカーは決してグローバル化しているわけではない。ひとり一人サッカーの哲学は違うし、解釈も違うもの。18人の監督がいれば、それぞれ考え方は異なる。それぞれがバラエティを出したり、個々の違いがあるからサッカーは面白いのだと思う」。試合後、「世界のサッカーが同じ方向に向かっているとは感じるか?」と聞かれて、オジェク監督はそう答えた。
そして浦和は、自分たちのスタイルを追求してさらなる高みに向かってチャレンジを続ける。目指す舞台は世界。その壁はまだまだ厚い。しかし、いまや押しも押されぬビッグクラブに育った浦和が、Jリーグの枠を超える可能性を手に入れたことは確かだろう。
| (浦和レッドダイヤモンズ) | (エトワール・サヘル) | |||||||
| GK: | 都築龍太 | GK: | アイメン・バルブーリ(93分+/アハメド・ジァウアシ) | |||||
| DF: | 坪井慶介 阿部勇樹 ネネ | DF: | サブール・フレジュ セイフ・ゲザル ラドゥアン・ファルヒ メフディ・メリア | |||||
| MF: | 細貝萌 鈴木啓太 長谷部誠 相馬嵩人 山田暢久 | MF: | ハレド・メリティ(58分/ジウソン・シウバ) メジディ・トラワイ ムサ・ナリー モハメド・アリナフハ | |||||
| FW: | 永井雄一郎 ワシントン | FW: | マハディ・ベンディファラー(90分/ベッセム・ベン・ナスル) アミン・シェルミティ | |||||
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