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| TOYOTA Presents FIFA Club World Cup Japan 2007 | <前へ|次へ|indexへ> |
欧州チャンピオンの本気。ACミラン、圧勝で4度目の世界クラブ王者に。
TOYOTAプレゼンツ FIFA Club World Cup Japan 2007 決勝 ボカ・ジュニアーズvs.ACミラン
2007年12月16日(日)19:30キックオフ 横浜国際総合競技場 観衆:67,005人
試合結果/ボカ・ジュニアーズ2−4ACミラン(前1−1、後1−3)
得点経過/[ミラン]インザーギ(21分)、[ボカ]パラシオ(22分)、[ミラン]ネスタ(50分)、カカ(61分)、インザーギ(71分)、[ボカ]レデスマ(85分)
取材・文/西森彰
横浜のホテルの一室が、ACミラン来日記者会見の場所だった。その席で通り一遍の質疑応答に飽きたのか、ひとりのイタリア人記者が問いかけた。
「ちょっと切り口の変わった質問をひとつ。誰でもいいから答えてください。この大会に参加することにそんなにも大きな意義があるのですか?」
ミランのアドリアーノ・ガリアーニ副会長は、この質問にも不愉快になることなく、悠然と笑みを湛えたまま、口を開いた。
「昨日、日本に向かう飛行機の中で、その件については監督や選手たちと話し合ったよ。このトーナメントは『リバプールとの試合(UEFAチャンピオンズリーグ・ファイナル)よりも重要だよね』と」
シーズン前から「クラブワールドカップで優勝して世界一になることが今季の目標」と公言していたACミランは、過去に例を見ない余裕を持ったスケジュールで来日した。いくつかのスポンサー・マーケティングに絡んだイベントを開催したり、これに参加したりもした。しかし、同時に大会での結果にもこだわった。
「ACミランのトップチームに携わる人間の70%を連れて」(ガリアーニ副会長)来日し、時差ボケ解消のために1時間早く起床する。もちろん、3日置きに試合をこなす、超過密日程から開放されたこともあったのだろう。ミランの選手たちはクリスマス休暇明けのチームのようにリフレッシュされてきた。
この大会での結果にこだわり続けていたミランの象徴的存在が、キャプテンのパオロ・マルディーニだ。輝かしいキャリアの中で2勝3敗と唯一負け越していたトーナメントに、浦和レッズ戦の1勝を加え、3勝3敗のタイに戻していた。カルロ・アンチェロッティ監督は、キャプテンが持っているこのタイトルへの執念に賭けた。
「ヤンクロフスキとマルディーニではプレースタイルが違う。ヤンクロフスキには攻撃力が、マルディーニには経験がある。そしてキャプテンの想いというものも重要である」(アンチェロッティ監督)
セミファイナルの浦和レッズ戦では、例年の欧州代表と同じように動きにぎこちなさが残っていたミランだったが、この日は動きが違った。4年前に苦杯を喫したボカ・ジュニアーズが相手だったことも影響していたのか。お馴染みの4−3−2−1で守備をガッチリと固めにかかる。
これに対してボカは、中央で勝負を避けてサイドに人数をかける。そしてボナーラとマルディーニを2対1で攻略し、中央へスピードに乗ったシュート性のクロス。中央に人数が少ないとは言え、ピッタリと合えばそれで1点という攻撃である。試合の序盤は、慎重にガードを上げるミランを、そのガードの上からボカが打つ展開になった。
しかし、先制したのはミラン。インザーギが落としたボールを受けたカカが、中央から左側にゆっくりとしたドリブルで持ち込む。足元に飛び込まないように守備ブロックを作るボカのディフェンスを挑発するかのように、ペナルティエリア左に進入したカカはシュート。DFに当たったリバウンドを今度はインザーギに通す。守備ブロックの裏に忍び込んでいたベテランFWがゴールすると同時に、記者席のイタリア人記者は本国へ通じている電話に「インザーギ、ピッポ!」と5回に渡って叫んだ。
ボカも負けてはいない。失点直後、すぐに左サイドからのコーナーキックを獲得する。ここでボールボーイが、まるで横浜国際競技場がボンボネーラであるかのように、サッとボールをセット。カルドソからショートコーナーで預けられたモレルがクロスを入れた時には、まだ背を向けているミランの選手もいた。跳躍するロドリゴ・パラシオは全くのノーマーク。僅か1分でボカが同点に追いついた。
前回の対戦では、先制直後に追いつかれ、PK戦の末に敗れていたミラン。その悪夢を呼び戻すには十分なものだった。しかし、余裕を持ったスケジュールで来日していた今回は、あの時とは違って選手の足が止まらない。後半に入った50分、今大会、キレのある動きを連発しているクラレンス・セードルフがペナルティエリア右でファールをもらう。ピルロのキックに合わせたアンブロジーニのキックは空振りに終わったが、その後ろにいたアレッサンドロ・ネスタが蹴り込んで勝ち越し。ここからはミランのショーだった。
61分、傷んだマルディーニに気を遣うことなく攻撃をしかけたボカの攻撃を防ぐと、このクリアボールを受けたカカがカウンターで報復する。タッチに蹴り出すと予測して戻りの遅れたボカの中盤を見て、左サイドを駆け上がる。先制点の時と同じようにボカのDFは枚数こそいるものの、ズルズルと下がり、シュートレンジまで後退してしまう。そしてエンドライン近くの角度がないところから、クロスを予測したボカのDFをあざ笑うようにシュート。GKカランタの手を弾いたボールは、ボカのゴールに転がり込んだ。
さらに、セードルフ、カカ、インザーギとつないで4点目。試合後、アンチェロッティ監督は「こんなに点を取ることはそんなに多くあることじゃないんですよ」と4ゴールを解説したように、今シーズン、セリエAのホーム7試合630分間で奪ったゴールは僅かに3。その不調を吹き飛ばすようなゴールラッシュで試合を決めた。
「このゲームがあなたがボカで指揮を執る最後の試合になったわけですか?」
敗軍の将には、母国のメディアから辛辣な質問が浴びせられた。
3点目を奪われる直前、ゴールポストを叩いたイバーラのシュートが入っていたら。そして、決定的な4点目を奪われる直前、エベル・バネガの芸術的なチップキックで生まれたチャンスをパラシオが活かせていたら。そして登録が間に合わなかったファン・ロマン・リケルメ、セミファイナルで退場処分を受けたファビアン・バルガスがいたら…。
ルッソ・ミゲル・アンヘル監督が、この日の結果を「ほんのちょっとしたところの積み重ね」と捉えたくなるのも分からないではない。
「あと少しのところで結果は変わっていたかもしれないけれども、今となっては変えられない。ミランはインテリジェンスに溢れ、スペースの活かし方が我々よりも上だった。コパ・リベルタドーレスで優勝して、また、ここに帰って来たいと思う」
「ここまで来る道のりの途中、本当に多くの苦難が横たわっていた。それを乗り越えようとたくさんのトレーニングをしてきた。そしてチームの全員が勝てると確信を持っていた。良い形で締めくくることができた予想どおり、ボカは非常に良い試合をした。そして互いに、オフェンシブでオープンなゲームを戦った。2対1からカウンターでチャンスを手にして、そこで得点することができた」
優勝したミランのアンチェロッティ監督は、公約どおりクラブ史上4回目、大会方式がリニューアルされてからは欧州勢として初めて「クラブ世界一」の栄冠を手に入れた。大会参加チーム中、最優位に立つ戦力を持ち、そして良い準備をしてきたのだから、まずは順当勝ちだろう。
「忘れがたい1年であり、これを繰り返すのは難しいと思いますが、再現できないとは言えないでしょう。今シーズンでチームを去る選手もいるとは思いますが、核となる選手たちはまだまだしっかりしていますから」
まだ今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでも16強に勝ち残っている。来年は、新しいチームに生まれ変わって、また横浜に姿を見せるかも知れない。
| (ボカ・ジュニアーズ) | (ACミラン) | |||||||
| GK: | マウリシオ・カランタ | GK: | ジダ | |||||
| DF: | ウーゴ・イバーラ、ホナタン・マイダナ、ガブリエル・バレッタ、クラウディオ・モレル | DF: | ダニエレ・ボネーラ、アレッサンドロ・ネスタ、カハ・カラーゼ(77分/退場)、パオロ・マルディーニ | |||||
| MF: | セバスティアン・バタグリア、、アルバロ・ゴンザレス(67分/パブロ・レデスマ、88分/退場)、ネリ・カルドソ(68分/レアンドロ・グラシアン)、エベル・バネガ | MF: | ジェンナーロ・ガットゥーゾ(65分/エメルソン)、アンドレア・ピルロ、マッシモ・アンブロジーニ | |||||
| FW: | ロドリゴ・パラシオ、マルティン・パレルモ | FW: | カカ、クラレンス・セードルフ(87分/クリスティアン・プロッキ)、フィリッポ・インザーギ(76分/カフー) | |||||
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