topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 Road to Beijing 07/05/31(木) <前へ次へindexへ>
Road to Beijing: 未知の世界に触れて
アジア女子サッカー2008最終予選(北京オリンピック2008最終予選)


文/浦和レッズレディースサポーター 秋田 勲

「女子サッカーってただの蹴りあいなんじゃないですか?」

 最初、先輩に未知の存在の世界を誘って頂いた際に発した自分の言葉である。パワーが無い、スピード感に欠ける、まず見た事が無い方が必ず思われるイメージを自分自身も女子サッカーに対して頂いていました。
「まぁ、良いから騙されたと思って観においでよ。きっと考え方が変わると思うよ」
そんな疑念の中、初めて観に行ったのは96年の西が丘サッカー場でのLリーグ、『フジタサッカークラブ・マーキュリーvs宝塚バニーズ』の試合でした。

 この1試合だけで直ぐに自分が最初に抱いていた疑念は吹っ飛んでしまいました。どちらのチームにも外国籍選手が居てパワーがあり、日本人選手は足元のテクニックを持ち合わせていてサイド攻撃の際は安易にパスで逃げずにドリブルで積極的に仕掛けるアグレッシブさ。そして何よりもその『ひたむきさ』を持ってプレーをしている姿。間もなく自分はその未知の存在の世界に魅了され続けていく事になる訳です。



 翌年に一緒にやろうよと誘ってもらってフジタのサポーターとして応援する様になったのですが、選手やスタッフとの距離も近くて色々とお世話になる事も多く、メディアのフィルターを通さずにダイレクトな話を聞けるのは様々な意味で勉強になりました。しかし、99年にクラブの廃部が決定してしまいます。毎回試合に行く様なサポーターは私を含めても3〜4人しか居ない中ではそれを拒みたくても無力でしか無い事に気付かされてしまいました。どれだけチームや選手を応援して愛していても、選手が必死に頑張ってもクラブが持ちこたえられなければ、存続する事は不可能な事実に・・・。

 最後の試合は日興證券との全日本女子選手権で、残り5分前の失点で敗退が決まった時の選手の崩れ落ち方や号泣ぶりは自分の中ではあの『横浜フリューゲルスの消滅』のそれと同じ、いやマーキュリーのサポーターとしてそれ以上のキモチが無になってしまった瞬間でした。事前に判っていた事とは言え、やっぱり何処かでこの光景を認めたくない自分が居たんです。それ以来は女子サッカーの火を絶対に消してはならない強い気持ちをより抱く様にもなりました。

 マーキュリーの選手は各地に散らばった中で、主な移籍先の1つであったさいたまレイナスの試合を観る事が増え、05年にクラブ創設10年目にして浦和レッズへの移管が決定しました。シドニーオリンピックの予選敗退以降、どのクラブも女子サッカーの環境が下落の一途を辿る中、レイナスも決してラクな状況や環境では無いとは言え、埼玉・浦和の企業のスポーツに対する支援の輪や絆は本当に頭の下がる思いでした。

 移管が決まった際はレイナスとしては消滅する事に対して複雑な気分にもなりましたがそれ以上に『浦和で女子サッカーを発信しよう、少しでも多くのレッズサポーターに認識してもらおう。』と決意し、今に至っています。



 レッズレディースになって観客も一気に増えました。選手は最初はプレッシャーにも感じたのかも知れませんが、どんどんその声援を本当の力に変えてプレーしている姿を見て、如何に沢山の観客の中でプレーする事がモチベーション向上に繋がるのかを目の当たりにして来ました。今まで多くても100人前後が普通だった訳ですから、本当に選手が活き活きしてプレーしている姿は自分がそれこそ初めて女子サッカーに触れた感覚に似たものでした。

 アテネ予選での北朝鮮戦もそうでした。格上だった北朝鮮には善戦出来ればと心の中で感じていた事とは裏腹に3万人の大観衆の中でパワーを貰った女子代表は3-0の快勝で期待に応えました。信じられない気分でした。嬉しくて仕方ない結果でした。

 自分が見てきたアトランタ、シドニー、アテネ。そして中国へのオリンピック。女子サッカー界の環境は上がってると見ている方が多い中、個人的にはアトランタの頃と変わって無いと思います。違うのは受け入れ先の大半が企業だった事がJのクラブチームが女子チームを作って受け入れている事だけです。シドニーで下がり切った環境がアテネで元に戻りつつあると言う風に感じています。

 それを証拠に未だにプロ選手はごくわずかしか居ませんし、大半の選手はアマチュアとして社会人として仕事を夕方まで行いながら、夜練習の毎日を過ごしています。それでも好きなサッカーを続けるキモチには我々は感服するしか無いわけですが。



 なでしこジャパンの選手は自らの環境をあげる為に結果を残さなくてはなりません。でも彼女達の素晴らしい所は、それを悲観的に感じずに常に前を向いて戦い続ける姿勢です。そんな彼女達のひたむきさ、サッカーに対する姿勢が好きで女子サッカーを見続けてきました。気が付いたらJよりもLリーグの観戦数が上回ってしまいました。

 協会、メディア、チーム、選手、スタッフ、スポンサー、そしてサポーター。正直言って自分を含めて1人の力は正直言って小さいです。でもそんな1人づつの力が結集すれば、1000人にもなるし3万人にもそれ以上にもなる。多ければ多いほどその力は大きくなりますし、彼女達にパワーを与える事が出来ます。全ての面が欠けてしまってはその力は必ず激減してしまいます。

 6月3日の日韓戦、オリンピック出場と言う将来に関わる重要な試合。声を出してくれとは言いません。一緒に跳んでくれとも言いません。皆さんの1人1人の国立に足を運ぶ力そのものが彼女達にとってパワーになるんです。そして、なでしこジャパンの選手の最後まで諦めない姿勢とひたむきさを少しでも感じて頂ければ幸いです。ホイッスルが鳴ったら後は選手が必ず魅せてくれます。

 そしてその姿を見て何かをもし感じる事が出来ましたら、どのチームでも構いません。なでしこリーグも見てあげて下さい。選手は皆さんの熱いまなざしを必要に感じてますよ。この試合が多くの方の女子サッカーへいざなう切っ掛けであって欲しいと切に願っています。


※6月3日の韓国戦に3万人の観衆を集めよう!!「30000人プロジェクト」はこちらから
<前へ次へindexへ>