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| 第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 | <次へ|indexへ> |
立命館大健闘及ばす。鳥栖が接戦を制してプロの面目を保つ
激戦の跡。大健闘の立命館大は後一歩の所まで鳥栖を追い詰めた
第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦 サガン鳥栖vs.立命館大学
2006年10月8日(日)13:01キックオフ 佐賀県総合運動場陸上競技場 観衆:1679人 天候:晴
試合結果/サガン鳥栖4−3立命館大学(前1−2、後3−1)
得点経過/[立命館]阪田(22分)、古部(22分)、[鳥栖]藤田(24分)、飯尾(48分)、[立命館]阪田(49分)、[鳥栖]小井出(61分)、高橋(85分)
取材・文/中倉一志
9月17日に始まった今年の天皇杯全日本サッカー選手権大会も3回戦へ。この日からJ2所属チームが登場し、全国12の会場でアマチュアチームがプロチーム相手に自分たちの力をぶつける。そして、ここ佐賀県総合運動場陸上競技場では今年の総理大臣杯優勝チームである立命館大学がサガン鳥栖に挑む。晴天に恵まれた会場は、気温は28.7度と高めながら、湿度25%、微風のまずまずのコンディション。芝もきれいに整備されており、互いに好条件の中での対戦となった。
サガン鳥栖のフォーメーションは、いつも通りの4−4−2。先週行われたJ2第43節、柏レイソル戦のメンバーとほぼ同じ顔ぶれが並ぶ。対する立命館大も同じくボックス型の中盤を構成する4−4−2の布陣。2トップの一角にはU-21日本代表合宿に召集された古部健太が構える。スタンドのあちこちで、パスをつないでビルドアップする立命館大学のスタイルがプロ相手にどこまで通用するかが話題になる中、キックオフを告げるホイッスルが鳴った。
試合開始直後の23秒。立命館大がいきなり決定的なシュートを放つ。緩慢な動きのサガン鳥栖に対してスルスルと左サイドを突破してペナルティエリアの中へ。2列目から飛び込んできた朴がGKとの至近距離から頭で合わせた。これはGKシュナイダー潤之介がスーパーセーブを見せて失点を免れたが、立命館大のモチベーションの高さを窺わせる一発だった。そして試合の主導権は立命館大へ。評判どおりの小気味良いサッカーでリズムを刻んでいく。
メインスタンドに陣取る鳥栖サポーター
「相手のボランチの部分を前半は上手く押さえながら、うちの持ち味であるボール回しも出来つつ、本当に上手くゲーム運びが出来た」(米田隆監督・立命館大)。バイタルエリアにスペースを作るサガン鳥栖に対して効果的に楔のパスを入れると、そこを起点に両サイドへ展開。高橋健史がゲームのリズムを作り、スピードを生かして古部がゴールを狙う。中盤のバランスを欠いた鳥栖は守備が不安定で、どことなくバタバタした感が拭えない。
そんな中、立命館大に先制点が生まれる。時間は22分。立命館大のFKがペナルティエリア内でルーズになったボールを阪田が豪快に蹴りこんだ。さらに、その直後には右サイドを突破した朴からの折り返しを古部が決める。1分間経たない中での2得点。鳥栖の混乱を窺わせるゴールシーンだった。鳥栖の反撃は24分、左からのアーリークロスに上手く抜け出した藤田がゴールネットを揺らす。ただし、残り10分となってから迎えた3度の決定機を鳥栖は決めきれず。前半は立命館が1点のリードのまま終了した。
「あせるな。早い時間帯で同点に追いつけ」。松本育夫監督の檄を受けた鳥栖は48分、CKのために前線に上がっていた飯尾がヘディングシュートでゴールネットを揺らしてあっさりと同点に追いつく。しかし、この日の鳥栖は守備面での不安定さを改善できず。その1分後、CKのこぼれ球への対応がルーズになる中、立命館大・福本尚純に狙い済ましてクロスボール入れられると、ファーサイドの吉田恵がマークを振り切られて、阪田に自身2点目となるゴールを奪われて、再び1点のビハインドを背負うことになった。
こちらもメインスタンド。母校の応援にOBが訪れた
ここからは互いにカウンターの応酬が続く。「後半になって中盤を経由せずに裏を狙われるようになり、そこの部分でズルズルとペースが握れなかった」とは米田監督。「前線まで行ったけれども、前線と中盤の間にまた空間が出来て、その場所で相手に拾われていた」と松本監督も試合を振り返る。どちらのペースとも言えない、慌しいリズムの中で試合が進んでいく。しかし、パスサッカーが持ち味の立命館大にとっては、できれば避けたかった展開だったろう。
鳥栖も、何回かの決定機を逃すなど嫌な雰囲気が漂ってはいた。しかし最終的には、ふたつのFKで鳥栖が立命館大を振り切ることに成功した。61分、ペナルティエリア手前、やや右よりの位置から小井手翔太が放ったFKが直接ゴールネットを揺らして同点に。さらに85分。左サイド、ゴールまで約25メートルの位置からの高橋義希の直接FKが再びゴールに吸い込まれた。どちらもここしかないというところに突き刺さったシュート。GK修行智仁にはノーチャンスだった。
記者会見場に表われた米田監督に健闘を満足する表情はなかった。「終わってみたら負けていたという感じ」という言葉に悔しさが滲む。高橋健史をキーマンとするリズミカルなパスサッカーと、攻守の切り替えの速さ、球際での粘り強さ等、チームの持ち味は発揮。勝機は十分にあった。後半、ボールをしっかりとつないでゲームを落ち着かせられれば、そんな気持ちも強かっただろう。結局はほんの少しの差。しかし打ち破るには大きな差。それを痛感して天皇杯の舞台を去ることになった。
自分たちのサッカーを存分に披露した立命館大。わずかな差に涙を呑んだ
「苦戦するだろうというのは覚悟の上だった」とは松本監督。プロチームにとって天皇杯の初戦は難しいと言われるが、アグレッシブに戦う挑戦者と、それを受けて経つプロチームというシチュエーションを考えれば、この試合も想定の範囲だろう。ただし、攻守の切り替えと決定力の部分で課題を残したことも事実。その部分をどう修正するかで、残り9試合となったリーグ戦の行方が決まりそうだ。
●米田隆監督(立命館大学)記者会見 ●松本育夫監督(サガン鳥栖)記者会見
| (サガン鳥栖) | (立命館大学) | |||||||
| GK: | シュナイダー潤之介 | GK: | 修行智仁 | |||||
| DF: | 小井手翔太 加藤秀典 飯尾和也 吉田恵 | DF: | 畑尚行 阪田章裕 白井脩平 武宮雅純 | |||||
| MF: | 長谷川豊喜(HT/山城純也) 高橋義希 尹晶煥(87分/衛藤裕) 廣瀬浩二 | MF: | 朴世訓(72分/海野創) 福本尚純(61分/永田亮太) 西野誠 高橋健史 | |||||
| FW: | 山口貴之(79分/鈴木孝明) 藤田祥史 | FW: | 森井惟吉 古部健太 | |||||
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