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勝利こそ全て。福岡が京都を下して5回戦へ
第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 アビスパ福岡vs.京都パープルサンガ
2006年11月4日(土)13:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:1606人 天候:晴
試合結果/アビスパ福岡1−1(PK4−3)京都パープルサンガ(前0−0、後0−0、延前0−1、延後1−0)
得点経過/[京都]パウリーニョ(98分・PK)、[福岡]ホベルト(100分)
取材・文/中倉一志
残留争いの真っ只中にいる福岡と京都が対戦する天皇杯4回戦は、両チームにとっては複雑な試合だった。残留を果たすためにはリーグ戦に可能な限りの全ての力を注ぎたい。けがやカードでリーグ戦に影響が出ることは何があっても避けたいところだ。その反面、公式戦で勝利を掴むことでチームに勢いをつけたいとの思いもある。どんな内容であれ、勝負の世界に生きる以上、勝利という結果はチームにとって何にも変えられない良薬だからだ。
そんな試合に福岡は第29節の先発メンバーから7人、京都は4人の選手を入れ替えて臨む。互いにリーグ戦への影響を最小限にして、その中で勝ちを探ろうという姿勢が見えてくる。しかし、福岡サポーターにとっては大幅にメンバーが代わったチームに違和感はない。布部陽功、久藤清一の2人が欠けているとはいえ、個々の選手の力に差がないのが福岡の特徴。金古聖司、千代反田充はけがからの復帰組で本来ならば主力としてチームを引っ張る選手だからだ。
ただ、いつもと違うメンバーで戦う両チームはバランスの面で問題を抱えていたようだ。福岡は久しぶりにコンビを組む金古と千代反田の連携が今ひとつ。最終ラインを効果的に挙げられないためにゾーンをコンパクトに保てず、いつもの中盤でのプレスが機能しない。またボールの取りどころもはっきりとせず、中へ入ってくる相手を捕まえきれない場面が目立つ。さほどプレスの厳しくない京都に対してボールを回すことはできたがボールの収まりどころが見つけられなかった。
一方の京都は攻守の切り替えの速い福岡の攻撃を警戒するあまり、実質的には5バックの布陣。石井俊也にボールを集めて展開するという狙いが見え隠れするのだが、前への勢いがないチームではチャンス芽を広げることはできなかった。時折、低い位置からのディアゴナルパスで両サイドを走らせたが、福岡の最終ラインを崩すまでにはいたらなかった。パウリーニョのらしい動きで2度のチャンスを得たが、それもチーム全体のリズムに好影響を与えるものではなかった。
福岡は布部、久藤不在の影響が大きく、また京都はリーグ戦の不調を引きずるかのように前半の多くの時間を低い位置に留まったままに過ごした。その結果、福岡のシュート数1本に対して京都の4本。CKは京都が3回得ただけ。これらの数字からも分かるように、前半はどちらも効果的な展開を見せることなく膠着したまま45分を終えた。
後半に入ってリズムを刻みだしたのは福岡。相手が入ってくるところを捕まえて、素早い攻守の切り替えからゴールを目指すいつものサッカーが蘇る。そして70分、登尾顕徳が2枚目のイエローカードを受けて退場処分になると、一方的に京都を自陣内に押し込んだ。しかし、ここからがいけなかった。ボールの収まりどころを見つけられずに単調な攻撃を繰り返すばかりで数的優位が生かせない。結局守りを固める京都を崩せないままに時間を過ごした。
やがて試合はそのまま延長戦へ。ここでも一方的にボールを持ちながら福岡はこれといったチャンスを作れない。そして98分、京都がPKで1点を先制した。虎の子の1点で逃げ切りを図る京都。一方的にボールを持ちながら攻めあぐねる福岡。試合はこのまま終わるかとも思われた。しかし、京都もこの1点が守れない。終了間際の111分、ゴール前中央でボールを受けたホベルトに対して誰もプレスに行かず。その一瞬の隙を突いたホベルトの左足がゴールネットを捉えた。
結局試合はPK戦へ。福岡は1番手のホベルトがGK西村弘司に止められた以外は4人が成功。京都は2人目がGK神山隆一に止められ、4人目が外して万事休す。福岡が5回戦に駒を進めることになった。そして、この試合のヒーローインタビューは神山。「PK戦になりましたからね」と本人は涼しい顔だったが、PK戦以外の場面では、お互いに山場を作ることのないままに終わった試合では、彼が選ばれたのは当然の結果だった。
互いの試合前の思惑からすれば、内容に不満が残る試合になったことは想定の範囲内だろう。メンバーを入れ替えた時点で、実践の中で選手たちを試すことと、結果としての勝利を目指すことに目標が絞られていたからだ。そういう意味では、内容はともかく結果を手に入れたことでホームの連勝を4に伸ばした福岡にとっては次につながる試合になったと言える。引いた相手に対して攻めあぐねたという課題は残ったが、布部、久藤がいなかったことを差し引けば、それほど深刻に考える問題ではないだろう。
一方、敗れた京都は、数字の上ではリーグ戦に影響を与えない敗戦とは言え、残り5試合に向けて明るい材料を見つけられなかった試合は、精神的に負担のかかるものになったようだ。途中で10人になってしまったためやむを得ない部分もあるが、この日の試合のように深く引いて守るだけではJ1相手に残留争いを抜け出すのは厳しい。思うように勝ち点を伸ばせない現状だからこそ、勇気を持って前から守備を仕掛けることが必要に思うのだが。
●美濃部直彦監督(京都パープルサンガ)記者会見 ●川勝良一監督(アビスパ福岡)記者会見
| (アビスパ福岡) | (京都パープルサンガ) | |||||||
| GK: | 神山隆一 | GK: | 西村弘司 | |||||
| DF: | 宮本亨(54分/佐伯直哉) 金古聖司 千代反田充 山形辰徳 | DF: | 登尾顕徳(70分/退場) 角田誠 三上卓哉 | |||||
| MF: | 薮田光教(87分/バロン) ホベルト 中村北斗 古賀誠史 | MF: | 大久保裕樹 石井俊也 斉藤大介 渡辺大剛 中払大介(68分/加藤大志) | |||||
| FW: | 田中佑昌 飯尾一慶(72分/城後寿) | FW: | 小原昇(57分/林丈統) パウリーニョ(100分/中山博貴) | |||||
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