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リーグカップの覇者、初戦で散る。
第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 ジェフユナイテッド千葉vs.コンサドーレ札幌
2006年11月8日(水)19:04キックオフ フクダ電子アリーナ 観衆:4,389人 天候:晴
試合結果/ジェフユナイテッド千葉0−1コンサドーレ札幌(前0−0、後0−1)
得点経過/[札幌]相川(66分)
取材・文/西森彰
ナビスコカップの決勝を11月3日の金曜日に戦っていたジェフユナイテッド千葉は、他のJ1チームから3、4日遅れて天皇杯の4回戦に臨む。平日に行なわれるナイトマッチは、一般的にどのスタジアムでも入りが悪いものだが、この日のフクダ電子アリーナは一見、賑やかに見えた。その雰囲気を醸成していたのが、スタンドの4方向を覆う屋根。公式発表で5,000人にも満たないファンの歌声、そして太鼓の音を跳ね返し、サラウンド効果で盛り上げる。
新監督就任以後、なかなかホームゲームで結果を出せない千葉だが、この日の対戦相手はJ2で昇格戦線から零れ落ちているコンサドーレ札幌。今年、圧倒的な勝負強さを見せつけるJ1勢。しかも、そのカップウィナーによもやの結果が待っているとは、ちょっと想像しづらかった。
5日前のタイトルマッチから2人を入れ替えただけ。千葉のアマル・オシム監督は、現状のベストメンバーを送り込んできた。しかし、ナビスコカップ優勝で満腹状態に陥ったのか、それとも疲れが残っていたのか。メンタル、フィジカルのどちらか、あるいは両方に問題があったのかは、アマル監督も掴みきれていなかったが、とにかく前半の千葉は冴えなかった。
コンサドーレ札幌の柳下正明監督は「J2でやっている時よりも、押し込まれる時間は長いよ」と言って選手を送り出していた。加賀健一、西谷正也が極端に引いたポジションを取り、ほぼ5バックのような状態で迎え撃ったが、拍子抜けも良いところだろう。アマル監督が前半の戦いぶりを「前半は何もしていません」と振り返れば、「千葉は前半20分まで、本当に寝ている状態だった」と柳下監督。誰が見ても、千葉の状態が悪いことだけは明白だった。
その「寝ている」千葉を相手に、札幌は根気強くサイドアタックを試みる。特に惜しかったのが前半19分、右に開いた相川進也がボールを受けて、センタリングを送り込んだシーンだ。トップ下から飛び込んだ砂川誠が、中央で完全に自由を得ていたが、相川の上げたボールはその頭上を掠めてファーサイドに流れていった。さらに31分、砂川、フッキ、西谷とつないで崩し、西谷からのボールを中央で相川が叩こうとした瞬間、千葉のDFが割って入る。「あそこで行ければ、もう少し、自分たちのプレーも出せたんじゃないかと思います」。柳下監督は、ここで決め切れなかったことで、苦しい戦いを予感した。
案の定千葉は「何もしていなかった」前半を受けて、後半からは「普通のプレーをした」(アマル監督)。51分、右サイドから中央、そして最後は左に走りこんだ楽山孝志がシュート。これは札幌GKの佐藤優也に防がれる。さらに64分には、クルプニコビッチの左足が、強烈なシュートを生み出したが、今度は右ポストがはじき返す。千葉の攻勢に、札幌は耐える時間が続いていた。
しかし、チーム全員の粘りが蜂の一刺しを生み出す。66分、左サイドでボールを持った西谷が、ドリブルで攻め上がり、エンドラインに近い位置から中央へ折り返す。ボールを持った西谷に視線を奪われた千葉DF陣の間を、相川がスルリと抜けて体を投げ出した。「ほとんど1チャンスだった」と柳下監督は語っていたが、前半の砂川が飛び込んだシーンと言い、ゲームが始まる前から狙っていた形だったに違いない。
1点を追いかける千葉は、札幌陣深くまで押し込み、ゴールを目指した。しかし「千葉だから出る半歩、ジェフだから届く一歩」が、この日は影を潜めた。そして、義務感だけで前へ出ることが、札幌のカウンターを誘発する。「後半、ウチのDFはフィールドにはひとりもいませんでした」とアマル監督。FW、GKがひとりずつ、残り9人がMFというポジション登録の話ではないだろう。札幌の決定不足にも助けられ、それ以上の失点はなかったが、ダブルクラウンに橋を架ける1点を奪うこともできなかった。
コーナーフラッグで時間を潰すよりも、試合を決める1点を取りに行った札幌は、追加点こそ奪えなかったが、堂々の5回戦進出だ。「ひとりひとりが100%の力を出した。走ったというより、走らされていましたけれども、粘り強くプレーして、チームとしてひとつになれたことがこの結果を出したと思います」。柳下監督は、同じベクトルを睨んだチーム一丸の戦いを称えた。J2勢としては唯一の5回戦進出。1ヵ月後、家主のいないこのスタジアムで、アルビレックス新潟と戦うことになった。
敗れた千葉のアマル監督も「札幌は勝利に値した」と勝者の戦いぶりにひととおりの敬意は表した。肉体面で厳しい部分が残っていた5日前のヒーローたちは連覇の快挙に満足したのか、この日のピッチでは輝きを見せられなかった。「メンタルの問題なのか、フィジカルの問題なのか、選手たちに聞かないと分からない」という指揮官の言葉。諸事情にやりくりをつけてスタジアムに馳せ参じた千葉のファンは、これに納得したのだろうか。
| (ジェフユナイテッド千葉) | (コンサドーレ札幌) | |||||||
| GK: | 岡本昌弘 | GK: | 佐藤優也 | |||||
| DF: | 水本裕貴(29分/楽山孝志)、中島浩司、阿部勇樹 | DF: | 西澤淳二、曽田雄志、西嶋弘之 | |||||
| MF: | 水野晃樹(82分/要田勇一)、佐藤勇人、クルプニコビッチ(70分/工藤浩平)、坂本將貴、羽生直剛 | MF: | 加賀健一、大塚真司、芳賀博信、西谷正也、砂川誠(65分/藤田征也) | |||||
| FW: | 巻誠一郎、山岸智 | FW: | 相川進也(75分/石井謙伍)、フッキ | |||||
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