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凌いだ末の決勝ゴール。浦和が頂上対決を制して2連覇
第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝 浦和レッズvs.ガンバ大阪
2007年1月1日(祝・元旦)14:02キックオフ 国立霞ヶ丘陸上競技場 観衆:46,880人 天候:曇
試合結果/浦和レッズ1−0ガンバ大阪(前0−0、後1−0)
得点経過/[浦和]永井(87分)
取材・文/中倉一志
「勝負はディテールで決まる。極論すれば、ボールがどっちの方向に転がったかで決まることだってある」。決勝戦が終わった後、以前、ある監督から聞かされた言葉を思い出した。ゲームを優勢に運び、圧倒的に攻め立てていたのがG大阪であったことは誰もが認めるところ。ゴールは生まれなかったが、それは決定力不足というよりは、相手の守備に阻まれたと言ったほうが正しい。「最後まで戦ってくれた選手たちを讃えたい」(西野朗監督・G大阪)。その言葉どおり、G大阪が勝つに値するゲームをしたことは間違いない。
しかし、試合を一方的にG大阪に支配され、流れの中から得たチャンスは結勝ゴールのシーンだけだった浦和が天皇杯を頭上に掲げた。「今日の試合だけを分析すれば本当についていた。しかし、年間を通してみれば、2冠を取れたという結果は妥当な結果だったのではないか。今日は主力選手が4、5人出なかったが、ガンバはほぼ完璧な状態。そんな中でも勝てたのは浦和の選手が勝者のメンタリティを身につけた結果だと思う」(ブッフバルト監督・浦和)。敢えて理由付けをすれば、目に見えない何かの差が両チームの間にあったということなのだろう。
試合開始直後からG大阪が主導権を握る形で試合は進んでいく。高い位置からボールを追って浦和の自由を奪い、やや下がった中途半端な位置にいるマグノ・アウベスが浦和DFを引き出すことでできるスペースへ播戸が飛び出してボールを引き出す。ゲームを操るのは遠藤。巧みなボール捌きでパスを配り、次から次へとサイドアタックを仕掛けていく。守っては、浦和の2列目に構えるポンテと小野を徹底的につぶして起点を作らせなかった。
浦和にしてみれば、ロングボールを前線に預けてボールを落ち着かせたいところだが、ワシントンが不在では、それも叶わず。マグノ・アウベスのポジション取りが気になる鈴木、山田のダブルボランチは、対峙する遠藤、明神に先手を取られて前へ出て行けない。そして、ズルズルとラインが下がっていく。奪ったボールをすばやく切り替えることができず、ショートパスをつなごうにもG大阪のプレッシャーの前に寸断され、いつもの浦和らしさは全く見られないままだ。
3分にマグノ・アウベスが放ったミドルシュートを皮切りに、G大阪が前半に放ったシュートは11本。18分、26分には播戸が、34分、36分にはマグノ・アウベスが決定的なシーンを作り出す。それに対して、浦和が作った決定機は41分にポンテが遠い位置から放った強烈なシュートのみ。浦和はG大阪の猛攻に耐え、何とか前半を0−0のスコアで折り返したが、いつG大阪にゴールシーンが生まれてもおかしくない展開。リーグ戦のリベンジを果たしたいG大阪の強い意気込みばかりが伝わってくる前半だった。
「あとはフィニッシュだけだ。ここからが勝負。仕掛けていけ」。西野監督の檄を受けて、G大阪の攻勢はさらに高まっていく。そしてきわどいシュートが次々と浦和ゴールを襲う。わずかにゴールに嫌われ、あるいは都築のスーパーセーブの前に、G大阪はゴールネットを揺らすことができないが、それでもG大阪のゴールは時間の問題のようなも思われた。「後半は必ず取れるという確信と流れを感じていた」という西野監督の言葉も当然だった。
対する浦和のブッフバルト監督のハーフタイムの指示は「前半は相手にあわせたところがあった。中盤の1対1の場面でアグレッシブに戦え」というもの。しかし、G大阪の攻勢の前には、それも叶わない。永井、小野、ポンテを除く7人が、ペナルティエリア付近にまで押し込まれ、中盤に大きなスペースを空けてしまう。76分に小野に代えて岡野を投入。布陣を2トップに変更してからは多少なりとも前に出る機会も増えたが、それでも試合の流れを変えるまでにはいたらなかった。
ところが87分、浦和が劇的な決勝ゴールを挙げる。中盤の底でボールを奪った長谷部が、そのまま持ち上がって前線へロングフィード。そのボールに抜群のタイミングで反応した岡野が一蹴のスピードで裏へ飛び出すと、DFともつれながらクロスボールを送る。そこに飛び込んできたのは永井。スライディングしながら放ったシュートはGK松代の手に当たったが、そのままコロコロとゴールの中へ転がり込んだ。そしてロスタイム。遠藤が放ったゴール正面からの直接FKがクロスバーを越えたところで試合終了のホイッスル。この瞬間、浦和は天皇杯2連覇と、2006年シーズン2冠を達成した。
西野監督からは悔しさがにじみ出る。「間違いなく点を取れる予感は常にしていたが、レッズのディフェンスは、どのメンバーが出てきても非常に堅いなと感じた。非常に1点が遠かった」。戦い方はすばらしかった。ただゴールが奪えなかった。「レッズに対しても2006年のシーズンの中で1回も倒すことができなかった。いいスタッフとメンバーがいながら無冠で終わったという自分の歯がゆさというのもある。必ず今年のシーズンにレッズを倒したい。もっともっとチーム力を上げて、スマートさや華麗さだけではない強さというものがもう少し必要なのかもしれない」。敗戦の悔しさは、勝利でしか晴らせない。2007年、G大阪は新たなチャレンジに挑む。
そして優勝を飾った浦和。ワシントン、三都主、闘莉王を欠き、さらには長谷部もベンチスタート。リーグ戦で見せた力強さを発揮できなかったことはやむを得なかった。しかし、苦しいときにも勝利を得るのが本当に強いチーム。そういう意味では、厳しい状況をしのいで勝利を手にした浦和はチャンピオンにふさわしいチームだったと言える。「今シーズン、ダブル(リーグ戦と天皇杯)を取れて本当に幸せ。チームのエネルギーが爆発した結果だと思う。特に天皇杯については多くの主力を欠く中で決勝まで勝ちあがれた。なんといっていいか分からないほど嬉しさに満ち溢れています」。ブッフバルト監督は、その喜びを素直に語った。
さて、浦和は持てる力を思う存分に発揮して2006年シーズンを駆け抜けた。そして、ひとつの時代を築いたブッフバルト監督は浦和を去り、来シーズンから体制を変えて、更なる高みを目指して新たなスタートを切る。その強さは続くのか。それともG大阪をはじめ、他のチームがタイトルを奪い返すのか。今シーズンもJリーグは目の離せない戦いが続きそうだ。
| (浦和レッズ) | (ガンバ大阪) | |||||||
| GK: | 都築龍太 | GK: | 松代直樹 | |||||
| DF: | 細貝萌 内舘秀樹 ネネ | DF: | 實好礼忠 宮本恒靖 山口智 | |||||
| MF: | 平川忠亮(62分/長谷部誠) 鈴木啓太(88分/堀之内聖) 山田暢久 相馬崇人 小野伸二(76分/岡野雅行) ポンテ | MF: | 加地亮 明神智和 遠藤保仁 家長昭博 二川孝広 | |||||
| FW: | 永井雄一郎 | FW: | マグノ・アウベス 播戸竜二 | |||||
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