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| 第87回天皇杯全日本サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
三度起こしたジャイアントキリング。アマチュアの雄・Hondaがベスト8
はるばる静岡から駆けつけたHonda FCサポーター
第87回天皇杯全日本サッカー選手権大会 5回戦 Honda FC vs. 名古屋グランパスエイト
2007年12月8日(土)13:05キックオフ 松江市陸上競技場 観衆:3755人 天候:曇時々雨
試合結果/Honda FC 2−0 名古屋グランパスエイト(前0−0、後2−0)
得点経過/[Honda]鈴木(68分)、新田(74分)
取材・文/中倉一志
Honda FCの3試合連続ジャイアントキリングがなるか。それが、この試合の最大の注目点だった。ただでさえ何が起こるかわからないのがサッカーというスポーツ。まして、一発勝負のトーナメント戦となれば、Hondaが名古屋を下す可能性は低いとは言い切れない。Hondaの武器は、献身的な運動量に裏打ちされた高い位置からのプレッシャーと、守から攻への切り替えの早いカウンター攻撃。自分たちのサッカーをどこまで徹底できるかがポイントだった。
そして迎え撃つ名古屋。既に今季限りでの勇退が決まっているフェルフォーセン監督率いるチームは、リーグ戦11位、ヤマザキナビスコカップでは予選グループ敗退という不本意な形でJリーグ公式戦を終えた。天皇杯は最後のタイトル奪取のチャンス。5回戦で躓いてはいられない。地力で勝るのは誰もが認めるところ。相手を受けることなくサッカーを進めれば順当に勝ち名乗りを上げられる立場にいる。はるばる松江まで駆けつけたサポーターの気持ちも同じ。ゴール裏にビッグフラッグを広げてチームを後押しする。
中盤をボックス型にした4−4−2で構えるHondaは、名古屋の両WBに入るボールに対し、SH、SB、ボランチの3人が囲い込むようにボールに寄せる。ここまでの戦い方同様に、高い位置からのプレスをかけるHondaらしい立ち上がりのように見えた。しかし、この日はプレスに厳しさが感じられない。「戸惑って、ボールに対していけなくて、ズルズル、ズルズル引いて、どこからプレッシャーをかけていいのか分からなくて」(安部裕之・Honda)。せっかく奪ったボールも前方へ蹴りだすだけ。これでは攻撃の形も作れない。「チャレンジしないで何が生まれるんだ」。ハーフタイムの石橋眞和監督(Honda)の檄が前半の出来を物語る。
そして、前半の主導権を握ったのは名古屋。開始直後の1分に最初の決定機を演出すると、9分、16分と決定機を築いていく。両サイドのWBを高い位置に上げて相手のラインを下げさせると、思い通りの形からチャンスを作り出した。「前半のサッカーの質については非常に満足している。守備のオーガナイズも非常に良かった」(フェルフォーセン監督・名古屋)。24分にはカウンターからピンチを招いたが、ここはGK楢崎正剛がファインセーブ。前半のピンチと言えば、この1度きりだった。
その後も決定機を作り続けた名古屋が、それをゴールに結び付けられなかったことが、結果として勝負に大きな影響を与えることになるのだが、前半を見る限りでは、この日の結末を予想できる材料は少なかった。確かに前半0−0というスコア事態はHondaにとっては願ってもいないものだったが、低い位置でボールを跳ね返すだけのHonaの守備では、90分間守り通せるのは至難の業。結局、苦しみながらも地力の差を見せた名古屋の勝利。そんな言葉が頭の中に浮かんだ。
しかし、後半に入って少しずつ流れが変わっていく。それは、Hondaが3バックの両サイドへ高い位置からプレスをかけ始めたことによるものだった。相変わらず主導権は名古屋。それでも、Hondaが高い位置でボールを奪ってカウンターを仕掛ける場面がいくつか見られるようになって行く。そして68分。Hondaが巡ってきたチャンスを生かした。
今年最後のタイトル獲得のチャンスにすべてをかけたが・・・
高い位置でボールを奪った鈴木広大が土屋貴啓にボールを預けてゴール前中央、左側に出来たスペースへ走りこむ。そこへ土屋がワンタッチではたいたボールが目の前に戻ってきた。そして、鈴木は躊躇せず左足を振りぬいた。この至近距離からのシュートに反応したGK楢崎正剛のプレーは見事だったが、勢いはボールのほうが上。はじいたはずのボールがゴールネットに吸い込まれた。
このゴールでHonda本来の戦いがよみがえった。高い位置からのプレスでボールを奪い、守から攻の切り替えの早いカウンター攻撃を仕掛けて名古屋ゴールを襲う。そして試合を決定付ける2点目が生まれたのは74分。奪ったボールを柴田潤一郎が左へ展開。最後はゴール前にこぼれたボールを新田純也が流し込んだ。88分には岩淵智映が退場処分になり10人での戦いを余儀なくされたが、ここから粘り強さを発揮。名古屋の猛攻を凌いで2点のリードを守りきった。
「前半のうちに、2、3点取って試合を決めなければいけなかった。0-0の時間が続けば相手にチャンスが訪れるというのはサッカーでは当たり前のこと」(フェルフォーセン監督)。前半のうちに勝負を決めてしまえるチャンスがあっただけに、名古屋にとっては悔やんでも悔やみきれない敗戦になった。試合後、呆然とした表情でクールダウンする名古屋の選手たちの姿に悔しさがにじみ出る。
そして、もうひとつのポイントは先制点が生まれた後の戦い方。この時点で残り時間は20分あまり。地力の違いは明らかだっただけに、守りに入るのか、追加点を狙うのか、Hondaにとっては判断の難しい時間帯だった。そんな状況下でHondaが選択したのは高い位置からプレスをかけることだった。「うちは引いて守るチームじゃない。点を取った後も、みんなで前から行くという姿勢が出ていたのも良かった」(安部)。自分たちのサッカーを信じ、それを貫き通すことに力を注いだ結果の勝利だった。
3戦連続でジャイアントキリングを成し遂げたHonda。しかし、選手たちの気負いはない。「Jリーグのチームを意識していないということはないが、まずは自分たちのサッカーをどこまでやれるかということ」(新田純也・Honda)。準々決勝は12月22日。アマチュアチームとしては10年振りのベスト4をかけて、Jリーグチャンピオンの鹿島に挑む。
| (Honda FC) | (名古屋グランパスエイト) | |||||||
| GK: | 川口剛史 | GK: | 楢崎正剛 | |||||
| DF: | 堀切良輔 岩淵智映 石井雅之 桶田龍 | DF: | 吉田麻也 大森征之 阿部翔平 | |||||
| MF: | 柴田潤一郎(89分/田坂祐治) 糸数昌太 安部裕之 土屋貴啓 | MF: | 小川佳純(60分/藤田俊哉) 中村直志(70分/片山奨典) 吉村圭司 金正友 本田圭佑 | |||||
| FW: | 鈴木弘大 新田純也(89分/川島大樹) | FW: | 杉本恵太(60分/玉田圭司) ヨンセン | |||||
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