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 第86回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
わずかなスペースがあれば個人技で抜け出してしまう野洲(白)。
韮崎、狙い通りも一歩及ばす。野洲が2回戦へ。
第86回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 韮崎高校vs.野洲高校

2007年12月31日(月)12:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:4,431人 天候:晴
試合結果/韮崎0−1野洲(前0−0、後0−1)
得点経過/[野洲]坂本(58分)


取材・文/中倉一志

 一見してサッカー観戦と分かる人たちがJR五井駅で車両から降りていく。その人数は改札口に近づくにつれて増えていき、駅前のシャトルバス乗り場に行く着く頃には長い列が出来た。世間は大晦日。しかし、サッカーファンにとっては大切な大会の始まりを意味する日。そして何より、この日の市原臨海球技場に姿を現すのは、「セクシーフットボール」の名で知られる野洲高校。旋風を巻き起こした2年前の再現を期待する人たちも多かったのだろう。

 開場とともに埋まっていくスタンド。入場ゲートに出来た列が消える頃にはメインスタンドはほぼ埋まった。そんな中を両校イレブンが入場してくる。3年ぶり33回目の出場となる韮崎高校はダブルボランチを置いた3−5−2。そして3年連続4度目の選手権の舞台を踏んだ野洲はエース坂本を1トップにした3−3−3−1で初戦に臨む。ピッチに向かう表情には緊張感が浮かぶが、円陣を解く頃には戦う表情へと変わっていく。そして12:10、試合開始を告げるホイッスルが鳴った。



韮崎(緑)の特長は激しいボディコンタクトと素早い囲い込み。
 スタジアムは正月らしい快晴に恵まれたものの、強風が吹く悪コンディション。ロングキックは最高到達点に達するやストンと真下に落ちるほど。CKは風の影響を受けて大きなカーブを描く。そして、その風を利して前半は風上に立つ野洲が押し込む展開で進んでいく。足元の巧みさはさすがは野洲。しかし、2年生主体のチームは組織という点では未完成のようだ。パスワークというよりも、まずは個人技勝負。ボールを持つと必ずと言っていいほど、まずは目の前の相手にドリブルを仕掛ける。

 一方、自陣内でのプレーが続く韮崎だが決してやられているわけではなかった。2トップと最後尾をカバーする小河内竜之介と宮坂勇輝、飯塚慎一の2トップを除いた8人が野洲の中盤から前をマンマーク。徹底して相手をつぶしにかかる。ボールを保持する相手にマーカーが激しくコンタクトしてバランスを崩させ、ボールを失うまいとキープにかかるところを3人で囲い込む。そしてサイドへ追いやってボールを奪うと、そのまま縦へボールを送ってカウンターを仕掛けた。

 ボールキープなら野洲が上。プレーエリアのほとんどが韮崎陣内。だが、試合を狙い通りに進めていたのはむしろ韮崎だった。まずは個人でかわそうとする野洲のプレースタイルは、どうしてもボールを離すタイミングが遅れる。また、2年生主体のチームはフィジカル面でも不利は否めず、激しいボディコンタクトに体勢を崩すシーンが目立つ。タイトなマンマークで相手を囲い込む韮崎にしてみれば、奪い所が定めやすく、ボールを奪うことも難しくはなかった。



エース坂本の貴重な一発がチームを勝利に導いた。
 思うようにボールを回せない野洲は、後半から布陣を1トップにに変えて中盤を厚くすることで打開を図る。しかし、流れをつかんだのはやはり韮崎。そして、風上を利して徐々に攻撃の形を作っていく。最大のチャンスが生まれたのは51分。中盤でパスカットした仲田智哉が、そのままドリブルを仕掛ける。次々と相手をかわしてゴールへ迫る仲田。最後はGKもかわして無人のゴールへ流し込むだけでよかった。しかし、ボールはポストの右側へそれた。

 その後もゴールには結び付けられないものの試合の流れは韮崎。一方の野洲は流れを変えるべく、左サイドの藤野友貴の縦へ突破にかける。奪ったボールは迷わず左へ。しつこいくらいに何度も、何度も藤野が突破を仕掛ける。そして58分、その姿勢が実る。藤野がボールを持って仕掛ける姿勢を見せて相手DFをひきつけると、その背後を抜群のタイミングで福原拓己がオーバーラップ。藤野からのパスを受けてセンターへ折り返すと、ゴール前に詰めていた坂本一輝が頭で合わせた。

 自分たちのリズムで戦いながらゴールが奪えず。相手が狙う形から失点を喫する。韮崎にとっては痛恨の失点だった。しかし、集中力は途切れない。むしろ吹っ切れたのか、ここからカウンターでチャンスを作り出す。しかし、最後は決定力に泣いた。62分に迎えた決定機では、完全に野洲を崩したばかりか、GKまで引き出したもののシュートはクロスバーの上を越え、76分にも右サイドの崩しから流れるようにゴールに迫ったが、合わせるだけで良かったシュートがポストの左にこぼれた。結局、スコアは野洲の1−0のまま動かずに試合終了のホイッスルを聞くことになった。



左サイドで仕掛け続ける藤野(白・7)。この姿勢が決勝ゴールを生む。
 あと一歩が及ばず初戦で姿を消すことになった韮崎。しかし、上位進出の可能性を持った好チームであったことは、この日、スタンドから観戦したサッカーファンたちが知っている。豊富な運動量をベースにオールコートマンマークで相手のボールを追い、ファーストディフェンダーがボディコンタクトを仕掛けてから、奪ってカウンターへ持ち込むまでの流れの完成度は高かった。狙い通りの形から作ったいくつかの決定機を決めていれば違った結果もあったはずだ。悔しさは消えない。しかし、胸を張って帰って欲しい。

 そして2回戦へ駒を進めた野洲。技術の高さと足元の巧みさはさすがだった。ピッチを広く使うパスワークよりも、まずは個人突破を仕掛けるのが特徴で、チームとしての完成度は必ずしも高いとは言えないが、先発メンバーのうち9人が2年生と若いチーム。今は小さくまとまることを良しとしていないのだろう。それでも県大会を勝ち抜いているのだから、組織レベルでも全国レベルにあるのは疑いの余地はない。まだまだこれからのチーム。今大会でどこまで成長するか楽しみだ。






(韮崎) (野洲)
GK: 川村修平 GK: 横江諒
DF: 河野亮太 小河内竜之介 飯田圭 DF: 福本匠吾 青木亮都 西口諒
MF: 深沢早 深山大士 小林拓磨 西室泰志 仲田智哉(67分/輿石大祐) MF: 上田大輔 内久保亮 木村竜也 卯田堅悟(HT/福原拓己)
FW: 宮坂勇輝(HT/前村幸樹) 飯塚慎一(62分/古澤照彦) FW: 潮入啓太 坂本一輝 藤野友貴(68分/松永俊吾)
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