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| 第86回全国高校サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
明暗を分けた立ち上がりの攻防。赤い彗星が勝ち名乗り。
2得点1アシストの皿谷(東福岡)。勝利に大きく貢献した。
第86回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 松商学園高校vs.東福岡高校
2007年12月31日(月)14:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:4,144人 天候:晴
試合結果/松商学園1−4東福岡(前1−3、後0−1)
得点経過/[東福岡]皿谷(2分、15分)、宇田(18分)、[松商学園]宮沢(22分)、[東福岡]井上(66分)
取材・文/中倉一志
厳しい県大会を勝ち抜いて全国の舞台に駒を進めてきた48チームの実力は伯仲。伝統校、初出場校の区別なく、どのチームも高校年代のトップを目指すにふさわしい実力を有している。そんな彼らにとって最も難しいのが初戦の戦い。高校選手権の独特な雰囲気。各メディアからの注目。地元住民、あるいは卒業生の期待。県予選とは比べ物にならない多くのものを背負って初めて戦う試合は、ここまで来る中で見につけた精神力をもってしても、平常心で戦うのは難しいものだ。
しかも、この日スタジアムに吹いた強風は風上と風下の立場を否応なく変える。試合の入り方が難しいのはいつも以上だった。そして、その混乱の中での攻防が試合の方向性に大きな影響を与えた。互いの力に大きな差があったわけではない。それは、前後半の戦い方の違いが証明している。それを考えれば、ようやくたどり着いたせっかくの大舞台が天候に影響されることに複雑な思いを感じるが、これもサッカー。それに打ち勝つのも全国大会を勝ち抜くための必要条件なのかもしれない。
試合はいきなり動いた。開始2分、風上に立つ東福岡は、左サイドから井上翔太がドリブル突破。3人、4人と囲みに来る松商DFを細かいステップでかわしてゴール前へラストパスを送ると、反対サイドでフリーになっていた皿谷圭史郎が右足で流し込んだ。立ち上がりの混乱の中で失った早すぎる1点。松商学園が平静を取り戻すのに時間がかかるのは仕方のないことだったかも知れない。
後半に入ってからは自分たちのサッカーを展開した松商学園。
東福岡の2点目は15分。連続攻撃を仕掛けてゴール前に松商学園を押し込むと、最後は皿谷が左足でシュート。コロコロと転がるボールが、そのままゴールネットに吸い込まれた。そして3点目は、その3分後。ここまで2得点と活躍を見せる皿谷のラストパスがペナルティエリア中央で待つ宇田侑二の足元に。宇田は右足を振るだけでよかった。松商学園にとっては、いずれのゴールも、ボールサイドに人数をかけるあまりに反対サイドの人間をフリーにしてしまったが故の失点。普段なら信じられない失点の仕方にチームの動揺が感じらる。
しかし、東福岡にとって圧倒的な有利と思えた状況が、必ずしも試合を優位に進めることにならないからサッカーは怖い。「風上の優位な状況に立てて、早い時間帯で点が取れて、彼ら自身に緊張から開放されてほっとした部分があるんだろうし、そこから自分たちのパフォーマンスを失ってしまったところがある」(森重潤也監督・東福岡)。サイドチェンジを交えてピッチを 広く使うサッカーが影を潜め、縦に急ぐサッカーは、マイボール目を不用意に蹴りだして相手に簡単にボールを渡すようになっていく。
東福岡の変化に合わせて、松商学園も次第に自分たちを取り戻していく。「立ち上がりに失点したのは痛かったですけれども、それを考えてもしょうがないので、風下の間に1点でも返せれば、後半は風上になるので絶対にチャンスがあると思ってやっていました。」(小松大記・松商学園)。そして22分。宮沢諒の仕掛けから得たPKを宮沢本人が蹴りこんで1点を返すことに成功する。
勝負を決めた4点目奪った井上(中央・10)
そして後半、松商学園は風上を利して主導権を奪い返した。中盤で積極的にボールにからむ2年生の當銀郁弥を起点にすると、ロングフィードを織り交ぜてリズムを刻む。東福岡はボールを奪い返しても簡単に相手に渡してしまうシーンが増え、自陣内に押し込まれる苦しい時間が続く。そして52分、山崎和成の突破をスライディングで止めに行った東福岡に痛恨のPKの判定が下される。両チームの勢いから見て、次の1点は試合の行方を大きく変えてしまうもの。スタジアムに緊張感が走る。
しかし、このPKをGK上田耕治がコースを読みきってナイスセーブ。これが東福岡の選手たちに勇気を与えることになる。相変わらず自陣内での守備を強いられる展開に変わりはなかったが、59分にはカウンターから決定的なシーンを作り出した。そして迎えた66分。自陣からドリブルで持ち上がった横山博一が井上とのパス交換で相手陣内へ。そして絶妙なスルーパスを送ると、DFに囲まれながら抜け出した井上が、最後はGK羽田野達哉もかわして無尽のゴールに試合の行方を決める4点目を奪った。
「後半は自分たちのサッカーができていただけに本当に申し訳ない」。流れを大きく変えるチャンスだっただけに、小松大記は涙を流した。しかし、立ち上がり18分間での3失点がやはり大きかった。出来るはずのことが出来ずに混乱の中で失った3失点。それは選手権の怖さなのかもしれない。
チームの中心當銀(青・14)は2年生。来年、再び全国の舞台に帰ってくることを誓う。
松商学園にとっては悔やんでも悔やみきれない試合。しかし、それも時がたてばチームの財産に変わる。「先輩たちにこういういい舞台を経験させてもらったので、恩返しではないですけれども、来年は上を目指せるように頑張らないといけないと思います」。そう離してスタジアムを後にした當銀。悔しさを胸にレベルアップして、また全国の舞台に帰ってきてくれることだろう。
「ここの大会に来るまでに、地元の大会とか練習試合を通して非常に調子が上がってきたんですけれども、それと比べたら物足りないゲームだった感じがします。結果を出したことは非常に満足できることだし、1日あけての2回戦なので明日しっかりと修正ポイントを選手たちに植え付けて、また2回戦に向けて行きたいと思います」とは森重監督(東福岡)。重圧のかかる初戦を乗り越えただけに肩の荷は降りたはず。本来の力を見せてくれるはずだ。
| (松商学園) | (東福岡) | |||||||
| GK: | 羽田野達哉 | GK: | 上田耕治 | |||||
| DF: | 浅田武士 宮沢諒 佐藤雄亮 浜田大海 | DF: | 木藤雅卓 宇田侑二 串間雄峰 | |||||
| MF: | 藤澤愛貴 小松大記 北野和希(52分/眞嶋信次) 當銀郁弥(70分/久米田拓) | MF: | 皿谷圭史郎(52分/慶越仁) 宗田堅勇 里和勝 土田太陸 横山博一(75分/西山秀明) 井上翔太 | |||||
| FW: | 山崎和成 山岸拓矢 | FW: | 深町伸太朗 | |||||
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