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| 第86回全国高校サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
最少得点差も内容で圧倒。東福岡がまたひとつ階段を上る。
8800人の観衆が見守る中で試合は始まった。
第86回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 東福岡高校vs.野洲高校
2008年1月2日(水)14:10キックオフ 柏の葉公園総合競技場 観衆:8,800人 天候:晴
試合結果/東福岡1−0野洲(前0−0、後1−0)
得点経過/[東福岡]井上(57分)
取材・文/中倉一志
「あのSexyをもう一度」。バックスタンドの応援席に掲げられた横断幕がひときわ目立つ。高い個人能力を最大に生かしたサッカーは今年も健在。先発メンバーのうち9人が2年生と若いチームだが、その技術の高さはトップレベルにあることは間違いない。組織で勝負する前にまずは個人の仕掛けがあり、その集合体といったチーム。サイドからスピードに乗って執拗に仕掛ける藤野友貴、滋賀県大会初戦から7戦連発で13得点を挙げている坂本一輝らが注目を集める。
魅せるサッカーという意味では東福岡も変わらない。1トップを中心にして、左右に大きく開く両ウイングと、トップ下にゲームメイクだけではなくシャドーストライカーの役割も担う選手を置くのは伝統のスタイル。大きなサイドチェンジを使ってピッチを広く使うサッカーと、ワンタッチパスを使って何人もの選手が絡んで相手守備陣を切り裂くサッカーは多くのサッカーファンを魅了する。この日、スタンドに8800人の観衆が集まったのは、第1試合に地元流通経大柏が登場したことだけが理由ではないだろう。
注目の一戦は14:10、キックオフの笛を聞く。緊張感あふれる試合は五分と五分。風上に立つ東福岡がやや押し込む形で試合は進むが、お互いに探り合うよう形で進んでいく。そんな時間帯を経て、最初に主導権を手繰り寄せたのは東福岡だった。
赤い彗星・東福岡イレブン
東福岡は1回戦とは別のチームだった。松商学園との対戦では縦に急ぐあまりにボールを失うシーンが目立ったが、この日は高い集中力を維持して、人もボールも動く本来のサッカーを展開。大きなサイドチェンジを多用してピッチの幅を最大限に使うと、少ないタッチのパスを多用して流れるように野洲の中盤を切り裂き、西山秀明、横山博一の両WBが縦に勝負を仕掛ける。守備においても連動するプレスが蘇った。
対する野洲は個人技の高さを見せるものの、チーム力という点では東福岡に劣るのは否めなかった。ファーストプレーにパスではなく個人による仕掛けを選択するサッカーはプレーエリアを狭くし、ボールサイドを縦にしか使わない攻撃は、素早く寄せてくる東福岡の守備にことごとく引っかかった。加えて、1回戦でも感じられたフィジカル面での差も顕著。福岡のボディコンタクトにバランスを崩すシーンが目立つ。22分には、両チームを通じて、この試合で初めての決定機を演出したが、前半に放ったシュートは2本にとどまった。
東福岡が前半に放ったシュートは26分の決定機を含めて7本。その展開は戦前の予想を覆す意外なものだったが、いつしか試合の興味は福岡がいつゴールを奪うかに変わって言った。
ほぼ一方的に東福岡が試合を進める展開は後半も変わらず。ただ問題は、いい形で試合を進めながらもゴールが奪えない時間が続いていたことだった。そして55分、福岡は西山秀明に代えて山田健太郎を投入。1トップの深町伸太朗を右へ、トップ下の井上翔太を最前線へ、そして山田をトップ下に置く。「(井上)翔太の運動量が落ちてきたし、深町の運動量も落ちてきた。その中で、点が取れるプレーヤーをゴール前に置いておきたかった」(森重潤也監督・東福岡)。この采配がピタリとあたった。
セクシーフットボール・野洲イレブン
東福岡のゴールが生まれたのは57分。山田を投入してから2分後のことだった。左サイドに開いて土田太陸からのパスを受けた山田は、そのまま縦に突破。そしてゴール前へ折り返す。「井上が呼ぶ声が聞こえた」(山田)。ボールは中央に詰めてきた選手をひとつ越した井上の足元に。最後は井上がスライディングシュートを放って、チームを勝利に導く貴重な決勝ゴールを挙げた。
その後、反撃に出る野洲に対して受けに回った福岡が押し込まれる展開へと変わったが、粘る福岡は野洲に1本のシュートを許さず。そしてカウンターを仕掛けて決定機の山を作り出した。しかし、試合には1−0で勝利したものの、それらのシーンをゴールに結び付けられなかったことで「ワンタッチパスからシュートというシーンを立て続けに作ったが、あれを決められないというのは、まだうちに流れを引き寄せられていないということ」と森重監督(東福岡)は課題を口にした。
野洲の応援団が掲げたセクシーサッカーの復活は叶わなかった。「2年生と言っても、それが現状のベスト。勝負として挑んでいたから悔しい」。山本佳司監督は試合を振り返ったが、県大会を勝ち抜いた実力は確かなものだったが、やはり、経験、フィジカル、チームの成熟度という点では、全国の舞台を勝ち抜く力がなかったということだろう。しかし、この悔しい経験を糧にして、彼らは再び全国の舞台に戻ってきてくれることだろう。
試合終了の瞬間は、いつも勝者と敗者の決定的名違いを思い知らせる。
勝ち名乗りを上げた東福岡は、いくつかの課題を残しつつも、本来の自分たちのサッカーを少しずつ取り戻しているようだ。そんな選手たちを森重監督は次のように話した。「残り少ない日数の中で、彼らが勝利を目指して頑張ってくれているという部分では、結果も残しているし、0で押さえたし、いいと思います。課題はあるけれどもひとつずつ上り詰めている選手たちを評価してあげたいと思う」。東福岡は更なる高い位置へ上るために、次なる相手である佐賀北との対戦に挑む。
| (東福岡) | (野洲) | |||||||
| GK: | 上田耕治 | GK: | 横江諒 | |||||
| DF: | 木藤雅卓 串間雄峰 宇田侑二 宗田堅勇 | DF: | 福本匠吾 青木亮都 西口諒 | |||||
| MF: | 西山秀明(55分/山田健太郎→76分/西川晋司) 里和勝 土田太陸 横山博一 井上翔太 | MF: | 内久保亮 中川圭右 冨田慧(71分/松永俊吾) 潮入啓太 | |||||
| FW: | 深町伸太朗 | FW: | 藤野友貴(62分/上田大輔) 坂本一輝 福原拓己(79分/卯田堅悟) | |||||
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