topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 第86回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
帝京・小野を挟み込んで守る、松岡(3番)と井林(14番)。分厚い守りは崩れず。
思いを込めたセットプレー。広島皆実が帝京を下す。
第86回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 帝京高校vs.広島皆実高校

2008年1月2日(月)12:10キックオフ 駒沢陸上競技場 観衆:4,909人 天候:晴れ
試合結果/帝京高校0−2広島皆実高校(前0−1、後0−1)
得点経過/[広島皆実]加藤(25分)、松岡(53分)


取材・文/西森彰

「Bチームの子たちが行っていました。『場違いかな』とも思ったんですけれども、同じ広島ということで、なかなか注目されなかったり(似ているところもある)。サンフレッチェも今年、すごく苦しいシーズンで、最後に今年最高のステージで戦っている。『共に戦おう!』じゃないですけれどね」(藤井潔監督・広島皆実)

 大晦日に行われた1回戦の翌日、広島皆実高校のBチームは、天皇杯の決勝が行われる、国立霞ヶ丘陸上競技場へ出かけていた。藤井監督の口からは、自分たちのチームの成長を助けてくれる存在として、県内のライバル・広島観音高校、そしてサンフレッチェ広島ユースの名前が出る。サンフレッチェは身近な地域のフラッグシップチーム。降格が決まったとは言え、せっかくの晴れ舞台に足を運んでみたくなったのだろう。

 世話になったということでは、この日の対戦相手・東京都代表・帝京高校の名前も挙がっていた。藤井監督によれば、Bチームの練習試合などで交流が生まれ、監督同士、コーチ同士で情報交換もしている間柄。「組み合わせが決まった時に、何とかそこまではいきたい、と」(藤井監督)。帝京と2回戦で戦うことが、ひとつの目標になっていた。



 序盤はカナリア色のユニフォームが伝統のオーラを放っていた。1回戦で20本以上のシュートを記録したように、帝京の選手たちはシュート意識が非常に高い。4分に小磯雅からのボールを新裕太朗がヘディングシュート。7分にも、右サイドをドリブルで上がっていった小野真国がそのままシュートに持ち込む。10分には小磯のロングスローで生まれた混戦から奥山慎がシュート。

 11分にも新がドリブルで持ち込み、左サイドの工藤裕貴がシュート。19分には椎名正巳のコーナーキックをDFが跳ね返したボールを小磯が狙う。枠を捉えるシーンこそ少ないものの、至近弾を見舞ってはゆっくりと引き上げていく。そしてまた攻め寄せる。守る側としては精神的にも堪える展開である。試合開始から25分まで、私のメモには広島皆実のチャンスが記載されていない。それでも緑と黒の縦縞模様はロープ際で堪えていた。

「帝京高校が相手ということで選手たちの心に期するものがありました。中国地方のチームということで、なかなか注目される機会がない。その中で『やってやろう!』という気持ちがあって、それがあのセットプレーにつながったんじゃないかと思います」



 25分だった。左から浜田晃がコーナーキックを蹴る。185センチのセンターバック・伊藤竜司を始めとして180センチ前後の選手が並ぶ帝京のDF陣。それに空中戦で競り勝ったのは174センチの松岡祐介だった。松岡のヘディングシュートがポストに跳ね返ってきたところを待っていたキャプテン・加藤昴が落ち着いて蹴り込む。散々、ガードの上から打たれながらも狙っていたワンパンチ。これで形勢は引っ繰り返った。

 リードを許した帝京は、中盤を省略し、縦に速いボールを入れて戦局を打開しにかかった。しかし、有効なパスコースを消されては、焦ってロングボールを放り込み、これが縦のボールに強い守備陣の餌食となる。

 後半に入ると帝京はリスクを承知の上で、浦田延尚をトップとして前線に置いてきた。しかし、リードしている広島皆実は、ここで怯えて下がるのではなく、むしろ前に出た。良い守備でボールを奪い、相手の前へ出る力を逆用した広島皆実のカウンターが、冴え渡り始めた。

 そして、53分、浜田の左コーナーキックから、1点目と同じように松岡が頭を合わせる。今度は直接、帝京のゴールネットが揺れた。「セットプレーは得意で狙っていました。相手の高さがあることは分かっていたので、タイミングで勝負」と殊勲の松岡。堅守がチームカラーの広島皆実にとって、2点差はセーフティーなアドバンテージだった。



 2対0。地元・東京都代表の帝京高校に勝利を収めた広島皆実・藤井監督は、晴れ晴れとした表情で、メインスタンド前に設けられたお立ち台に昇った。

「帝京高校は、大きな歴史を持った伝統校。そのあたりを選手たちに伝えた上で、自分たちの良さを出せたら良いなと、充実した気持ちで試合に臨ませていただきました。チームにとっても、広島県にとっても大きな勝利だったと思っています」


(帝京) (広島皆実)
GK: 大久保拓生 GK: 増田卓也
DF: 伊藤竜二、浦田延尚、浅田大樹 DF: 岩井将太(50分/村田俊介)、林正泰、松岡祐介、井林章
MF: 小野真国、椎名正巳、鯨岡佑太、小磯雅(58分/内澤駿介)、工藤裕貴(H.T/早川孝志) MF: 高橋宏次郎、加藤昴、本藤大成、浜田晃(79分/矢野拓也)
FW: 新裕太朗、奥山慎(75分/豊田智典) FW: 下江和裕、金子拓平(76分/吉岡龍介)
<前へ次へindexへ>