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 第86回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
先制ゴールを挙げた山田(中央・3)が喜びのパフォーマンス。
2回戦屈指の好カードは、作陽に軍配。
第86回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 青森山田高校vs.作陽高校

2008年1月2日(月)14:10キックオフ 駒沢陸上競技場 観衆:5,923人 天候:晴れ
試合結果/青森山田高校1−2作陽高校(前0−0、後1−2)
得点経過/[作陽]加藤(25分)、[青森山田]大久保(65分)、[作陽]定岡(68分)


取材・文/西森彰

 西が丘サッカー場で1回戦、駒沢陸上競技場で2回戦をこなす、このブロックは強豪校揃い、今大会屈指の激戦区となった。2回戦からのシードとなった岡山県代表・作陽高校は、昨年度の準優勝校。野村雅之監督が病床に臥しているため、今大会は松本賢治監督代行が指揮を執っている。

 対戦相手は東北の雄・青森山田高校。黒田剛監督は、今年度S級認定を受けた指導者。ここ最近、阻まれてきた3回戦の壁を今年こそ越え、一気に選手権制覇と行きたいところ。今大会は、県予選の4試合で17得点を挙げたゴールゲッター、佐々木絢也を擁して臨んでいる。昨年度のファイナリスト・作陽にとっては、初戦から難敵の登場となった。



 前半は、互いに相手の良さを消しあう形で推移した。ユースのチームらしく、組織で守りながら、攻撃ではそれぞれのプレーヤーがアイデアを発揮する。組織的な守備とそれを掻い潜ろうとうする個の対決は、前者に軍配が上がり、両チームのシュート数は3本ずつ。38分、ペナルティアークの中から青森山田・椎名伸志が蹴ったフリーキック。その1分後、作陽のDF・堀谷順平が前の3枚が動き出すことで空けた進路にドリブルで切り込みシュートまで行ったシーン。チャンスと呼べるものも双方1度ずつだった。

 後半に入っても、青森山田が徐々に押すシーンは増えてきたものの、スコアは動かない。作陽のキャプテンは、ゴールキーパーの安井豪。「相手がフォーメーション的にサイドからの攻撃が多いということで、クロスに対する守備を練習していました」。両サイドハーフ、高橋裕司と森田光哉の突破力とそこからのクロスを重点的にケアしようとしていたという。

 後半の20分近くまで耐える時間帯が続いた作陽だったが、松本監督代行が、岡田拓也に代えて吉村真を入れたあたりから、風向きが変わり始めた。59分、60分とゴール正面の良い位置から、FKを連続して獲得する。そして試合が動いたのは63分、左サイドから今川智文の蹴ったFKに合わせたのはニアサイドに走り込んだ山田一歩。作陽が先制に成功する。

青森県大会で爆発した佐々木も、この日はゴールを奪えず。
 青森山田も負けてはいない。65分、椎名のFKから作陽守備陣が弾き返したセカンドボールをことごとく拾って、ゴール前に入れ直す。セットプレーで人数をかけていた青森山田の攻撃と、作陽ディフェンスの鍔迫り合いは、この局面では前者に軍配が上がった。混戦から大久保翼が作陽ゴールを割ったのである。

「徐々に相手のペースに嵌まって厳しいゲームになってしまった。青森山田は、ひとりひとりの選手が強く、タテのドリブルなどで仕掛けてくるチーム、本当に手強かったと思います」(安井・作陽)

 試合と共に選手たちの動きも活発化してくる。その中で、このゲームを決したのはひとつの笛。作陽が狙っていたサイドアタックで青森山田の左翼を突破し、中央へ折り返すと、そこに走り込んだ亀井拓実が倒されてPKとなったのだ。これをFWの定岡諒が冷静に決めて、再びリードを奪う。

 青森山田も終盤、相手のミスから途中出場の大津一貴がシュート。ロスタイムには前に運んだボールが、作陽ゴール前の無人地帯にこぼれる。そこに飛び込んだのはエースの佐々木。しかし、ここも安井が勇気を持った飛び出しでプレッシャーをかけて、シュートのコントロールに狂いを生じさせた。2対1、作陽が3回戦に進出したのである。



 電話するのも大変な中、野村監督は「もう、全部そっちに任せたから」と地元の病院から連絡してきたという。選手たちに手取り足取り、ゲームプランを叩き込むチームであれば、戦力が半減していたはず。しかし、作陽は組織の中にも個の特性を生かす、育成方針を続けてきている。

「選手が自分たちで判断できるのがベスト。ウチはそういう指導方針です。『こういうプランがあるよ』というのは、伝えますけれどもそれをどう消化するのは選手たちに任せています」(松本監督代行)

 昨年も二度三度とルーレットを試みる選手たちを見ながら「意味のないところで、ああやってクルクル回ったりすることもありますけれども、そういうことを全て制限したら彼らの良さが出てこない」。独創性につながる遊び心も容認している野村監督。この日、亀井が試みたノールックパスなども「仕方ないな」と苦笑しながら、見ていたのだろうか。


(青森山田) (作陽)
GK: 吉田龍輔 GK: 安井豪
DF: 藤本憲明、鎌戸修平、大久保翼、三浦修 DF: 今川智文、櫻内渚、堀谷順平、惠木大地
MF: 椎名伸志(70分/大津一貴)、小竹一輝、森田光哉、高橋裕司 MF: 山田一歩、渡部伊織、岡本大樹、岡田拓也(56分/吉村真)
FW: 岩崎晃也、佐々木絢也 FW: 亀井拓実(74分/淵本翔太)、定岡諒(78分/阿江弘貴)
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