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 第86回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
津工業・松葉(8)は独特のリズムのドリブルで広島皆実を翻弄した。
津工業、堅守の広島皆実から3得点で国立へ。
第86回全国高校サッカー選手権大会準々決勝 津工業高校vs.広島皆実高校

2008年1月5日(土)12:10キックオフ 駒場陸上競技場 観衆:3,000人 天候:晴れ
試合結果/津工業高校3−1広島皆実高校(前2−1、後1−0)
得点経過/[津工業]中野(16分)、[広島皆実]林(28分)、[津工業]松葉(38分)、飯田(63分)


取材・文/西森彰

 冬の全国に出てくるたびに津工業高校は、何かをやってくれる。3年前の初出場時は、福島東高校に勝って3回戦進出。そして今大会は、富山第一高校、那覇高校に勝って準々決勝進出。その前に立ち塞がるのは、堅守が自慢の広島皆実高校。その壁の向こう側に、夢舞台・国立霞ヶ丘陸上競技場が待っている。



 試合は、序盤から打ち合いを予感させた。7分、広島皆実の下江和裕が抜け出し、GKと1対1。絶好のチャンスを掴むが、ここは小倉景規の前に阻まれてしまう。津工業も、この日はFWで先発した松葉司が得意のドリブルで数的不利を解消。最終ラインを破ってシュートを放つ。ここは、広島皆実も増田卓也がセーブし、難を逃れる。

 しかし、津工業の2トップは、動きを止めない。13分、ゴール正面でボールを持った中野真人が右にはたき、フリーの松葉がシュート。16分には、松葉が溜めのあるドリブルで相手DFの注意を引き付け、中野にパス。先制点を演出する。この日の広島皆実は、これまで最終ラインの手前でワイパー役を引き受けてきた高橋宏次郎、加藤昴のふたりがバランスを失い、バイタルエリアを空ける場面が目に付いた。

 広島皆実も、28分、得意のセットプレーで反撃。浜田晃の右コーナーキックから、林正泰のヘディングシュートで同点に追いつく。2回戦で帝京を沈めた松岡祐介といい、このチームのセンターバックは、身長はそれほどでもないが、ハイボールに対して滅法強い。

 追いつかれた津工業は、前半終了間際の37分、松葉、中野の連携から、裏のスペースにハイスピードで入った飯田裕之へ合わせる。たまらず、足下に飛び込んだ増田のプレーに、山内宏志主審は迷わずイエローカードを提示。津工業にPKを与える。キッカーの松葉が冷静に決めて、勝ち越しに成功した。

「決めた、国立だ!」津工業のイレブンは、仲間の待つバックスタンドへ走った。
 後半、攻勢を強めた広島皆実は、61分、決定的チャンスを迎える。右サイドをドリブルで突破した高橋が、中央へ折り返す。DFの警戒を掻い潜って、完全にフリーの状態で待っていたのは下江。だが、彼の頭を経由したボールは、津工業ゴールのバーを越えていってしまう。

 命拾いした津工業は、その2分後に、飯田がボール処理にもたついた相手DFからボールを奪って、そのままゴールへ。左隅に落ち着いて流し込み、2点差とする。ゲーム再開後、すぐに浜田を使ったワンツーで抜け出した金子拓平がビッグチャンスを迎えたが、このシュートもゴールの左外。この5分弱の時間の攻防が、勝者と敗者を分け隔てた。



「前を向いてボールを持ったら、その時点で勝ちだと思っています」

 津工業の松葉は、自らのテクニックへの信頼をそう語った。3試合120分間を無失点で勝ち上がってきた広島皆実のDFを切り崩したのは、間違いなく彼のドリブルだった。FWとして過ごした前半の40分間は中野とのコンビネーションでチャンスを作り、右サイドハーフとなった後半の40分間もソツなく仕事をこなす。これだけ技術と戦術眼を持っている選手がいれば、藤田一豊監督も頼もしいだろう。

 松葉のドリブル、飯田のスピード、中野の得点力を生かして今大会は3勝目。「普通の高校」(藤田監督)の快進撃は、とうとう国立のピッチにつながった。


(津工業) (広島皆実)
GK: 小倉景規 GK: 増田卓也
DF: 佐々木伸悟、宮本竜雅、真田修次、秋月和英 DF: 村田俊介、林正泰、松岡祐介、井林章
MF: 花木真佐雄、鈴木雄太、荒井拓真(41分/前田侑弥)、飯田裕之 MF: 高橋宏次郎、加藤昴、本藤大成(H.T/吉岡龍介)、浜田晃(76分/宮下航)
FW: 中野真人、松葉司 FW: 下江和裕、金子拓平(65分/金島悠太)
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