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 第86回全国高校サッカー選手権大会 <レポートに戻る>
本田裕一郎監督(流通経大柏)記者会見
第86回全国高校サッカー選手権大会 決勝 藤枝東高校vs.流通経大柏高校


--試合を振り返って

 今日は特別出来過ぎかなという気がしましたし、藤枝東さんがベストコンディションでなかったように見えました。相手よりもうちの子たちの動きしか見ていませんでしたけれど、ここ数試合では一番よかったように思いました。


--流通経大柏のサッカーは攻守の切り替えと縦の速さ、それと対人プレーの強さなどがあると思いますが、流通経大柏のサッカーのベースはどんな所にあるのでしょうか。それと、どういった選手を育てようとしているのか、そのためにどういったトレーニングをしているのかについて教えてください。

 うちのサッカーとか、私のサッカーとかいうのはあまりありません。集まってきた子どもたちを見て、大体、今年はこんな感じかなというのを何試合かの練習試合の中で見て、こういうスタイルが一番いいかなというチーム作りをしています。

 また、技術がなければ、ある程度のところまで行っても必ず行き詰るという話をしてきましたし、技術がないと速いサッカーもできない、技術がなければタッチ数を少なくしたサッカーは出来ないとも言ってきました。そんなことが私たちのベースかと思います。


--今年、流通経大柏が取り組んできたサッカーは、プリンスリーグのFC東京戦から形作られてきたと思うのですが、浸透してきたポイントがあるとすれば、どこにあったのでしょうか

 チームの立ち上がりの時は、朝と午後の練習がずいぶん矛盾しているということで納得いかない選手もいたようですが、段々、段々と理解してくれたようです。1対1で縦に抜けられるドリブルであれば大歓迎だということを言ってきましたが、横の這うようなドリブルだとか、くるくると回るようなドリブルだったらワンタッチではたいて欲しいとも言ってきました。それが、どうやらプリンスリーグの2、3試合目くらいから出てきて、夏を超えて、子どももボールを持ちたい、持ちたいとは言わなくなりました。

 ボールをこねたり、ボールをいじったり、遊んだりするのが一番楽しいんですよね。だけれども何をしに来たのかということを聞きますと、日本一になりたいという目標を立てましたし、そういう口にしていました。ならば勝てるようなサッカーをしなければいけません。ディフェンスはどのチームも整備されてきたし、強くなってきたので、それを破る方法を考えればいいじゃないかということを考えてきました。高円宮杯の終わり頃はだいぶ良かったんですが、それが終わってからまたちょっと調子を落としまして、今日が一番良かったと思います。


--決勝前は、向うが大前、大前と言ってくれればこちらのものになるかも知れないという発言もありましたが、今日の試合は実際にそれに近い状況になっていましたでしょうか。

 大前には試合の前にそういうことは言いませんでしたし、みんなにも誰が出ても大丈夫と言ってきました。大前にも『大前、大前と言っているけれども囮になるんだよ』とは言いましたが、本気では言ってきませんでした。うちはいつもよりはタイトに河井君をマークさせてもらいましたけれど、大前には『マークされても、それでできなければ上ではやれないよ』と言いました。


--今日が一番良かったというお話でしたが、準決勝からの1週間近いインターバルをどう過ごされたのか、それと上條君の起用をいっ決めたのかを教えてください。

 二つ目の質問からお答えさせていただきます。上條は昨日と今朝、先生に見ていただきました。『大丈夫そうですよ』ということは昨日聞いていたんですが、今朝も本人に聞きましたら、絶対に大丈夫と言っていましたので起用を決めました。

 それから、この1週間なんですけれども、ちょうど私どもの学校は進路に取り組む時期でして、ほとんどの3年生が自由登校になります。それで、午前中は家でゴロゴロしていて、12時ころから練習というよりは合宿をしてしまった方がいいだろうということで、3泊4日の合宿をしました。その中でだいぶ疲れがとれたかなという気がしましたし、よくミーティングもできましたので、精神的な疲れも上手にとれたのではないかと思います。


--決勝の相手は藤色のユニフォームを着た静岡のチーム。先生は静岡のご出身ですが、どのような思いを抱いておられたのでしょうか。それと、実際に勝って見ての率直な気持ちを教えてください

 藤枝東は本当に憧れの藤色でしたし、自分が高校生の頃は藤枝が全盛期の頃でした。それ以降も、いろんな交流もあって随分と静岡にはお世話になりました。ですから、昨日までは『藤枝とやらなければいけないな、静岡だな』と思っていました。けれども、戦う前には『藤枝だから』という特別な気持はありませんでした。とにかく負けたくないという一心でした。相手がどこであろうと、とにかく勝ちたい、しかも0で勝ちたいという気持ちで臨みました。いまは、やっと終わったなという気持ちです。


--全日本ユースの時もそうだったんですが、選手たちは大舞台で力を発揮しています。そのあたりで特別な鍛え方だとかトレーニングを活用されているのでしょうか。

 メンタルの強化については昔とはずいぶん変わってきました。何年か前は、しごけば強くなると思っていた時期もありましたが、今はそれでは中々子どもは付いてきません。それで、いろんな会社の活性化だとかチャレンジしている内容を扱った本を読みながら少し物まねをさせていただきました。書いたり、しゃべったり、それを何回も反復して繰り返すことが、何かの目標を達成するためにいいんだということで、それを少しずつクラブの活動の中に入れてきました。それは2年位前から取り組んでいることで、自分の目標があって、そのためには、何を、いつまでに終わらせるんだということを整理させてきたんですが、そんなことの成果かなと思っています。

 確かではありません。でも、今年は例年になく試合前に強さを感じることがあって「何だろう?」と思うことがありました。それと、いつも試合前に「こういうことをやったら勝つ、こういうことをやったら負ける」ということを、それぞれが書いて見合わせるんですけれども、今日もそれを試合前に読んだところ、大丈夫そうだなという気持ちになりました。

 それに、今日は大観衆の中での試合になることは予想できましたので、試合前にいろんなシミュレーションをしていました。まず準備でグラウンドに入って、いろんな人たちと握手するんだよとか、そのあと並んで写真を撮るんだよとか、最初から終わりまでのシミュレーションをして、その時に集中を欠かないようにということをやりました。


--素晴らしいゲームとおっしゃいましたが、多分それは2点目以降のサッカーだと思うんですね。私が見ている限り、2点目が入ってから選手たちは解放されて、楽しみながら、個の勝負が組織的にバランスしていたと思うんですね。これが本田先生にとっての一番のテーマだったと思うんですけれども、そのチームを作り上げるために一番のポイントは、どういう部分だったのでしょうか

 ジュニアの子たちを預かった時に、やはり彼らはドリブルしたいですよね。ボールを持ちたいですよね。自分勝手な発想で、自分のアイデアでサッカーをしたいという子がほとんどですから、それをどういう方向へ向けるかということです。その方向へ中々向かない子どももいますが、それを何としても向けるのが指導者だと思っていますから、ポイントのひとつは、方向性を定めてそこに向けさせるということだと思っています。

 それから、15歳までのサッカーもあるし、15歳から18歳までのサッカー、18歳以上の、代表に入ってくバリバリのサッカーもあるということで考え方を分かりやすく整理しました。私もここの学校にお世話になるようになってから勝つことに執着するようになりましたが、やはり、この年代は勝つことを教えていかなければいけないのかなということで、一生懸命それに向けて練習をやっています。

 ですから、ボールをこねくり回しているのがうまいということではなく、やるサッカーの方向性を同じにさせるということ、それと、もうひとつは、年代に合わせたゲームをするということになろうかと思います。


--本田先生は選手権では初優勝ということですが、これまでの勝ちきれなかった時期を乗り越えて、勝ちきれるようになった最大の要因はどこにあるとお考えでしょうか

 やはり勝とうという執念がなかったということだと思います。『出来れば勝てればいい、勝ちたいな』位のものと、『何としても勝ちたいな』という気持ちの違いだと思います。今までは、楽しんでというか、言葉が悪いですけれども、ボールを取られないようにして相手を愚弄するかのような展開にこだわって、それで喜んでいたような気がしています。今まで勝てなかったのは、そのせいじゃないかと思います。


●服部康雄監督(藤枝東)記者会見
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