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| 第88回全国高校サッカー選手権大会 | <前へ|indexへ> |
山梨学院大附属、大ベテラン監督の下、初出場&初優勝!
初出場・初優勝を果たした山梨学院。頂点に立つにふさわしい戦いぶりだった。
第88回全国高校サッカー選手権大会 決勝 山梨学院大附属高校vs.青森山田高校
2010年1月11日(月・祝)14:05 国立 観衆:43,635 天候:曇
試合結果/山梨学院大附属1−0青森山田(前1−0、0−0)
得点経過/[山梨学院]碓井鉄平(11分)
取材・文/貞永晃二
いかにも対照的なプロフィールを持つ両校。片や山梨学院大附属は67歳の横森巧監督が就任1年目で初出場に導いた。韮崎高監督時代には3度の準優勝を含む5年連続ベスト4やインターハイ優勝などの実績を持つ監督だ。片や39歳の黒田剛監督率いる青森山田は13年連続、15度目の出場。うち14度は監督自身が指揮を執った。こちらもインターハイ制覇を経験している。ベテラン監督率いる新興チームと青年監督率いる常連チームの一戦だ。
いずれが勝っても、野洲、盛岡商、流通経済大柏そして広島皆実に続き5大会連続の初優勝チームの誕生となる。
「前半勝負。立ち上がりから目いっぱい行く」という横森監督の指示を山梨学院は忠実に遂行した。2トップの伊東拓弥と佐野敬祐、両サイドの平塚拓真と鈴木峻太が前線から激しくプレッシャーをかけて、碓井鉄平、宮本龍のドイスボランチがこぼれを拾ってはスピード溢れる縦の攻撃につなげていく。決勝の緊張感、大観衆の圧迫感に「15、20分はフワフワした状態」「DF陣が硬く、ボールの失い方が悪かった」(黒田監督)という青森山田から完全に自由を奪った。
優勝をもたらしたゴールはもちろん、碓井(中央7)は攻守に渡って、その存在感を示した。
そして攻め込んでは、無理な体勢であろうが、ワクを大きく外れようが、最後はシュートで終わろうという姿勢を山梨学院は貫く。「シュートを打つことは、自分たちのリズムを作ること」(横森監督)。その狙い通りにリズムを引き寄せた山梨学院は10分、伊東拓弥から佐野敬祐へのスルーパスが通る。ここは青森山田GK櫛引政敏が飛び出してファインセーブを見せたが、直後の11分、山梨学院の縦への気持ちが結実する。敵陣で一旦奪われたボールを奪い返し、碓井のパスをボックスで受けた鈴木がキープ。戻したところへフォローした碓井の右足がうなった。豪快な一発は櫛引政のジャンプ及ばず。ドライブのかかったボールがサイドネットに突き刺さった。碓井の大会4点目で、山梨学院が先制した。
しかし、試合時間はまだたっぷり。青森山田は、まず自分たちのリズムを取り戻そうと図る。しかし、山梨学院のハイプレッシャーと、椎名伸志、柴崎岳のキーマンが山梨学院のドイスボランチと2トップに挟みこまれ、持ち前のパスサッカーを中々取り戻せない。そして、依然としてペースを握る山梨学院は、2点目を奪おうと攻勢を続け、22分にGK松田ランからのパントキック一本が伊東へ。そして佐野へスルーパス。GK櫛引政が判断良く前に出て難を逃れたが、見事なダイレクトプレーだ。
その後、24分の青森山田はクロスから野間涼太のシュート、さらに28分、SB中島龍基が左サイドを持ち上がり、カットインしてラストパスを柴崎へ。シュートはDFに当たり勢いを失ったが、椎名、柴崎のタッチ数が増えるに従って青森山田らしい攻撃が出てきた。そして、山梨学院は「一番頼りにしているSB。彼のサイドはほとんど崩されていない」と横森監督が高く評価する井上拓臣がケガで交代。青森山田の攻撃的SB中島龍基と対面するポジションだけに不安が広がったが、それも杞憂だった。
38分、青森山田は椎名のクサビを受けた野間がゆっくりターンして左足シュート。フルパワーで戦ってきた山梨学院の集中も守備面では緩んできたのか。そして、青森山田は42分に右サイドのスペースにロングパスを送り、追った成田鷹晃がGK松田ランに倒される。松田にはイエローだ。そして椎名が蹴ったFKに3人が飛びこむが、誰も触れず絶好機はついえた。
「こんなの青森山田のサッカーじゃない。もっとハードなプレッシングで、高いところでボールをとって攻撃につなげよう」と黒田監督の一喝をもらった青森山田。後半早々から野間を基点に、柴崎も高い位置をとり前線と絡む回数が増えてくる。しかし、山梨学院もしっかり守ってカウンターという常道を行く。53分には山梨学院の左SB藤巻謙がシュートをクロスバーにぶつけてGK櫛引政を脅かす。
不完全燃焼に終わった柴崎岳(左10)。来年の大会に雪辱を期す。
青森山田は57、59分のFKのチャンスを椎名のキックに委ねるが、直接ゴールを狙うには遠すぎる距離で、得点は遠い。遠藤竜史のヘッドもワクを外れ、柴崎の左CKのクリアを拾った野間の放った振り向きざまのシュートもGK松田が左足で弾き出すスーパーセーブ。あと一歩の青森山田だが、1回戦の野洲に2失点したあと4戦連続無失点と、試合をこなすにつれて堅固さを増す山梨学院の守備ブロックをどうしても崩せない。
山梨学院は疲れの出る時間帯を考慮しボールの収め所として、長身の加部未蘭を前線に入れる。青森山田もGK櫛引政の兄、これも長身の櫛引信敏を前線に入れてパワープレーを選択肢に入れる。「野間をマークしていた関(篤志)クンが櫛引信につくはず」という黒田監督の読みは当たり、野間は関のマンワークから解放される。さらにCB赤坂勇樹も前線に上げる青森山田だが、「クロスが低過ぎた」(黒田監督)ためにパワープレー要員も仕事ができない。これも最後まで運動量を落とさずプレッシングを継続した山梨学院のハードワークが、思うようなクロスを蹴らせなかったためだ。そしてついにタイムアップ。山梨学院が23大会ぶりの初出場・初優勝チームとなった。
「2、3点のゲーム」を予想したという横森監督。一方黒田監督は「1−0、2−1の1点勝負」を考えていたという。予想していなかった展開となっても勝利した横森監督。一方、描いた通りの1点勝負にもちこみながらも敗れた黒田監督。サッカーとは、勝負とはえてしてこういうものなのだろう。
とにかく前に出る。そのアグレッシブな姿勢が山梨学院に初優勝をもたらした。
大会がクライマックスへと進むにつれて、次々と姿を消していった優勝候補たち。最後まで勝ち残った青森山田も、最後の最後に万策尽き果ててしまった。「これで3位、準優勝と来たので、まだ私も若いし、次のチャンスに優勝を目指したい」と黒田監督は悔しさを飲み込むようにそう話した。「雪とどうやってうまく付き合ってサッカーをするか。雪をストレスやハンディだと感じれば向上しない」と言い切った姿勢には頭が下がる。かつてのように外国籍選手もおらず、青森山田中出身の選手がスタメンに5人、サブに4人という中高一貫指導の成果を見せることができたことは大きな収穫だろう。
山梨学院・碓井主将が「あんなすごいのを打てるとは思わなかった」と話した決勝点は、まだ早い時間帯にもかかわらず、青森山田には重くのしかかった。今大会ここまですべての試合で先制逃げ切りという展開(関大一には同点とされたが)で勝ち上がってきた青森山田の出鼻をくじいた、ベテラン横森監督の「前半勝負」という采配と、それを実行した選手たちはさすがだ。「山梨の底上げをしたい」という横森監督の目標実現も一気に進むのではないだろうか。
●横森巧監督(山梨学院大附属)記者会見コメント ●黒田剛監督(青森山田高校)記者会見コメント
| (山梨学院大附属) | (青森山田高校) | |||||||
| GK: | 松田ラン | GK: | 櫛引政敏 | |||||
| DF: | 井上拓臣(32分/渡」辺圭祐) 関篤志 中田寛人 藤巻謙 | DF: | 中山渉吾 赤坂勇樹 横濱充俊 中島龍基 | |||||
| MF: | 宮本龍 碓井鉄平 平塚拓真 鈴木峻太(89分/羽東史樹) | MF: | 椎名伸志 三田尚希 遠藤竜史(73分/星大貴) 柴崎岳 | |||||
| FW: | 伊東拓弥 佐野敬祐(70分/加部未蘭) | FW: | 野間涼太 成田鷹晃(78分/櫛引信敏) | |||||
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