topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 第28回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
キックオフは京都。そして2分後に先制ゴールが生まれる。
残り1分で2ゴール。バニーズが逆転勝ちで3回戦へ
第28回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦 バニーズ京都SCvs.日ノ本学園高校

2006年12月17日(日)11:00キックオフ 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 観衆:200人 天候:晴
試合結果/バニーズ京都3−2日ノ本学園高校(前1−0、後2−2)
得点経過/[バニーズ]三浦(2分)、[日ノ本]小山(64分)、塩谷(77分)、[バニーズ]榎木園(79分)、今枝(79分)


取材・文/中倉一志

 これもサッカーというべきか。それとも、なでしこリーグの意地というべきか。試合内容なら文句なく日ノ本学園高校。しかし、勝利のホイッスルの音を聞いたのはバニーズ京都SCだった。「追いついて逆転するのに、とんどん行き過ぎたというか。最後はDFの足が止まってしまって、能力の高い選手にカウンターでやられた」(上嶋明監督・日ノ本学園)。残り1分での逆転負けに時間をうまく使えればの思いも残るが、それは結果論。最後まで前に出た堂々とした姿勢は恥ずべきものではない。

 一方、「自滅ですよね。たしかに相手はいいチームですけれど、自分たちで自滅してしまった部分が多い。ミスを減らして、やるべきことを出来れば苦しまずに済んだ。相手が勝って当然というゲームでしたね」とは牛浜真監督(バニーズ)。ミスが多いためにゲームを落ち着かせることが出来ず、スピードを生かした縦の強さをぶつけてくる日ノ本学園の勢いをまともに受けた。それでも「最低限の役割を果たした」(同監督)。勝利に偶然はない。1年間のリーグ戦の経験が出たということなのだろう。



U-18日本代表経験を持つ小山(赤10)。この日もその才能を見せた
 試合はバニーズのゴールで始まった。「前半の立ち上がりにぼっとしていた」(上嶋監督)。右へ引っ張られた日ノ本学園の最終ラインがポッカリと空けてしまった大きなスペースへ向って上田早紀子がサイドチェンジ。そのボールが右サイドへ開いていた三浦香子の足元へピタリと収まる。一瞬、オフサイドではないかと見間違うほどあっさりと破られた日ノ本学園の最終ライン。三浦は落ち着いてボールをコントロールして右足を一閃。ゴールネットを揺らした。

 しかし、試合の主導権を握ったのは日ノ本学園。高校生らしい豊富な運動量と、縦への力強さでバニーズを圧倒する。前線で塩谷真里が楔のボールを受けて起点を作れば、トップ下に位置する小山季絵がゲームを作る。そして、スピードに乗って縦へ、縦へとグイグイ押し込んだ。バニーズはボールホルダーに対して複数で囲い込み、ファールも辞さないプレーで止めにかかるが、日ノ本学園の勢いを止められない。

 バニーズが主導権を奪い返す機会があったとすれば20分過ぎから。日ノ本学園の立ち上がりの猛攻がひと段落した時間帯だった。ところが、バニーズは自らのミスが災いしてペースを取り戻せない。縦に慌しい試合展開を、パスをつなぐゆったりとしたペースに戻したいのだが、流れを引き寄せそうになるたびにミスを犯して、日ノ本学園が仕掛ける走り合いに巻き込まれる。結局、前半にそれぞれが放ったシュートは、バニーズの1本に対して日ノ本学園の5本。それは両チームの勢いをそのまま表していた。



逆転ゴールを決めた塩谷(12)。流れは完全に日ノ本だったが・・・
 後半に入って落ち着きを見せる試合は、膠着した展開で進んでいく。どちらかといえば、日ノ本学園のペースだが、それでも、前半ほどの絶対的な優位性はない。それでも、1点のビハインドを追う日ノ本学園は、とにかく前へ出るサッカーをやり続ける。そして後半の20分あたりから再びリズムを刻みだした。蘇る日ノ本学園の縦への力。試合はハーフコートゲームへと変わっていく。そして64分。右からのCKのチャンスに小山が頭で合わせて、とうとう同点に追いついた。

 これで日ノ本学園の勢いが完全に蘇った。ゲームを落ち着かせようとするバニーズを力任せに押し切って縦に速い展開へ持ち込み、走り合いへと引きずり込む。そして77分、遂に逆転ゴールを奪った。右45度の地点から小山がシュート。これはバニーズGKの上野友紀子がはじき返したが、ゴール前に詰めていた塩谷が押し込んだ。残り時間は3分(3回戦までは40分ハーフ)。互いの勢いからみて、日ノ本学園の勝利を確信する人は多かったはずだ。

 ところが、やはりサッカーは最後まで何が起こるかわからない。残り時間が1分を切ったところで日ノ本学園がゴール前で痛恨のクリアミス。これをさらった榎木園美加が、そのまま持ち込んでシュート。バニーズがまず同点に追いついた。そして決勝ゴールはその2分後、ロスタイムが終わろうとする時間だった。右サイドをドリブルで駆け上がるのは先制ゴールの三浦。ペナルティエリアの手前まで持ち込んでファーサイドへ。DFとGKの間を抜けたボールがファーサイドに詰めた今枝梢に届く。後は右足を合わせるだけでよかった。



豊富な運動量で攻守にわたるキーマンとなった三浦(左・9)。ロスタイムの逆転ゴールをアシストした
 手に仕掛けた勝利を土壇場で逃した日ノ本学園。残念な結果だった。悔やまれるのは小山が本調子ではなかったこと。怪我から復帰したのは2週間ほど前。その才能は随所に見せたが、さすがに本領発揮というところまではいかなかった。「あそこを起点にして前の2人を走らせて、もっといいゲームが出来たんですけれど。ためが出来ない分、サイドが上がりきれなかった」(上嶋監督)。しかし、自分たちのいいところは十分に見せた。敗れたとはいえ、胸を張って帰れる内容だった。

 一方、土壇場で勝利を収めたバニーズは、宝塚から京都への移転を経験し、実質的には今年がスタートの年。ひとつでも多く試合をすることが自らの成長につながる。そういう意味では、TASAKIと対戦する3回戦は貴重な経験になるはずだ。「L1のチームと試合する機会はそうそうないし、ましてTASAKIは上位チーム。失うものはない。今日、出来なかったことをしっかりとやりたい」(牛浜監督)。自分たちの力をどこまで出せるか。それが3回戦のポイントになる。









(バニーズ京都SC) (日ノ本学園高校)
GK: 上野友紀子 GK: 松本彩
DF: 道下愛子 近藤朋香 上田早紀子 DF: 丸本明奈 楠元史 菊地由香里
MF: 矢田貝実希子 渡辺樹里(56分/今枝梢) 天満舞 下村亜沙実 三浦香子 MF: 今中悠莉 井田舞佳 大本朋美 田原のぞみ 小山季絵
FW: 永吉麗奈(45分/清水千浪) 榎木園美加 FW: 塩谷真里 虎尾美果(60分/小林真亜沙)
<前へ次へindexへ>