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経験が生んだ完勝
なでしこDiv2所属のアンクラスは大体大の挑戦を受ける
第28回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦 大阪体育大学vs.福岡J・アンクラス
2006年12月17日(日)13:30キックオフ 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 観衆:100人 天候:晴
試合結果/大阪体育大学1−4福岡J・アンクラス(前0−2、後1−2)
得点経過/[アンクラス]堤(4分)、光成(34分)、川村(63分)、光成(71分)、[大体大]白井(79分)
取材・文/中倉一志
地区代表同士の対戦である1回戦に競り勝って、なでしこリーグ勢への挑戦権を獲得した大阪体育大学女子サッカー部。自分たちの力がどこまで通用するかを試す2回戦になる。「寒くても冷めない気持ちの大体大」を合言葉に熱い気持ちで戦う。フォーメーションは4−6−1。1トップの前田恵理子をトップ下でフォローするのは白井安奈。両サイドは右から喜代原歩、左から鶴岡裕子が駆け上がる。そして、岡環実が高い位置から低い位置まで献身的に動き回ってバランスを取る。
挑戦を受けるのは、今シーズンから「なでしこリーグDiv2」で戦う福岡J・アンクラス。初参戦ながら、アルビレックス新潟レディース、大原学園とともに昇格レース繰り広げた実力は高い。今大会はコンディション不良の選手も含めて主力組が複数欠場しているがトップリーグで戦う意地がある。チーム事情からかシーズン中とは違う4−4−2の布陣。そして複数の選手が違うポジションでプレーするが、どんな姿を見せるのか興味深い。
試合が動いたのは4分。大体大のクリアがペナルティエリアの外にこぼれたところを、堤晴菜が右足を振りぬいた。「ドン」という音とともに大きく揺れるゴールネット。身体能力の高さを誇る堤の持ち味が出たゴールだった。この一発が効いたのか、その後の試合はアンクラスのペース。大体大を自陣に押し込んで試合を進めていく。攻撃の中心は左サイド。深澤里沙にボールを集めて縦への突破を仕掛ける。ただし、ボールの収まりどころを見つけられないのは、主力の欠場が影響しているようだ。
豪快なミドルシュートで先制点を挙げたアンクラス・堤(右から2人目)
早い時間帯での失点。なでしこリーグならではの厳しいプレッシャー。それでも、大体大は粘り強く試合を進めていく。いたるところに顔を出す岡を中継してボールを散らし、右MF喜代原が積極的に仕掛けてクロスボールを送る。そしてアンクラスボールの時は、前田をトップに残して9人のフィールドプレーヤーで守備陣形を整えた。シュートチャンスは鈴木綾が放った1本と攻撃の形は作れないが、それでも追加点を与えない最低限の仕事は果たしていた。
そしてアンクラスもまた、いつものサッカーは出来なかった。試合を押し気味に進めているのは地力の差が表れてのもの。しかし、相手を崩すことも、波状攻撃もできず、ボールを奪い返しては簡単に失うことを繰り返す。そんな中で迎えた34分、アンクラスに2点目が生まれる。遠目から放った深澤のシュートがクロスバーに当たって跳ね返ったところを光成芳恵が押し込んだ。前半は、このままアンクラスの2点リードで終了。大きな見所のない前半だったが、終わってみれば互いの力の差がスコアに表れた。
ところが、後半に入ると大体大がリズムを刻みだす。2点のリードを奪われたことで攻めるしかなくなったことが、却って気持ちを楽にさせたのだろう。やることが明確になった分だけ選手の動きから制約のようなものが取れた。中でもアンクラスを悩ませたのは、一段とキレのある動きを見せた白井。鋭くスペースへ抜け出してゴールを狙うプレーで、56分、60分と際どいシュートを放った。そして、少しずつ、少しずつ、アンクラスのリズムが崩れていく。
豊富な運動量で中盤を広範囲にカバーした大体大・岡(緑)
それでも次のゴールを奪ったのはアンクラス。63分、花田愛子からのパスを受けた川村真理がゴール前でボールをコントロール。そのままゴールへと流し込んだ。しかし、やはりリズムは大体大。自分たちのリズムでアンクラス陣内へと攻め込んでいく。ただ、どうしても最後の一押しが足りない。あと一歩のところまでは来ているのだが、そこから先の一歩が出ないもどかしさのようなものがピッチの上に漂う。
そして71分、次のゴールもアンクラスに生まれた。これも2点目と同じような形から。正手亜希子からのパスを受けた光成がゴールネットを揺らした。それでも、大体大は集中力を切らさずに最後まで前へ、前へと出ることをやめない。その姿勢が実ったのは79分。左サイドから島村島村裕子が流し込んだクロスボールに、ゴール前へ飛び込んできた白井が右足ダイレクトで合わせた。そして、その直後に試合終了のホイッスル。スコアだけを見ればアンクラスの完勝。しかし、大体大の健闘が光った一戦だった。
アンクラスのサッカーは、リーグ戦で見せたそれとは大きく違っていた。「今日は相手を崩したわけでもないのに、たまたまいい時間帯に、たまたま入った。2ndも取られて、あたり負けして、課題はたくさん」(川島美絵監督・アンクラス)。それでも、ここぞというところでは決して譲らなかった。これも1年間のリーグ戦が経験として蓄積されていたからだろう。簡単に蹴るだけになっていた後半は、ずるずる崩れてもおかしくない展開。それでも最後まで落ち着きをなくさなかったのは、1年間を戦い抜いた自信のようなものを選手たちが掴んでいたからだ。
ゴール前で危険に存在になっていた大体大・白井(緑)。意地の1点を返す
そういう意味では経験の差に泣いた大体大。しかし、最後まで集中を切らすことなく攻め続けたこと。それがある程度通用する手応えを掴んだこと。そして敗れた悔しさを晴らしたいという気持ちを持ったこと。それらは経験として彼女たちの内部に蓄積されるはずだ。それを表現するのは大学チームにとって最大の目標である全日本大学女子サッカー選手権。なでしこへの挑戦は跳ね返されたが、学生生活最後の大会で、どんな試合を見せるかが楽しみだ。
| (大阪体育大学) | (福岡J・アンクラス) | |||||||
| GK: | 藤澤智絵 | GK: | 田上未希 | |||||
| DF: | 堀本律子(73分/浦上奈津子) 藤本加奈恵 池内里沙 | DF: | 鶴原優 藤陽子 板谷麻美 阿比留麻由(57分/野村由美子) | |||||
| MF: | 喜代原歩 鈴木綾 上坂円香(66分/中山明日香) 鶴岡裕子 岡環実 白井安奈 | MF: | 花田愛子(57分/松窪裕子) 堤晴菜 正手亜希子 光成芳恵(72分/谷原ゆかり) | |||||
| FW: | 前田恵理子(59分/島村裕子) | FW: | 川村真里 深澤里沙 | |||||
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