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| 第28回全日本女子サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
アンクラス猛追届かず。伊賀が順当に準々決勝へ
先制点を決めた伊賀・村岡(緑11)。前線で攻撃の起点を作る。
第28回全日本女子サッカー選手権大会 3回戦 福岡J・アンクラスvs.伊賀FCくノ一
2006年12月22日(金)11:00キックオフ 広島県営広島スタジアム 観衆:150人 天候:晴
試合結果/福岡J・アンクラス2−3伊賀FCくノ一(前0−1、後2−2)
得点経過/[伊賀]村岡(24分)、堤(63分)、井坂(64分)、[アンクラス]川村(68分、79分)
取材・文/中倉一志
「短い期間の間に2度も同じ相手にやられたくない。相手はL1。個ではかなわないのでどこで戦うか。たとえば1人目が100%でつぶれて2ndを拾うとか。まともにやっても勝てない。しっかりと作戦を立てて臨みたい」。アンクラスの3回戦の相手は、今秋の国体1回戦で敗れた伊賀FCくノ一。神戸ユニバ競技場で行われた2回戦で大体大を下した後、川島美絵監督(福岡J・アンクラス)はそう語っていた。しかし結果は2−3。利便時を果たすことはできなかった。
それでも、アンクラスにとっては手応えもあった試合。ほとんどの時間で主導権を奪われたが、個人技でかわしたり、得意のダイレクトパスで相手を抜き去る場面もあった。「思っていた以上にやれた」とは河島監督。対戦相手の谷由美監督(伊賀FCくノ一)も「球際も厳しく行っていたし、前の方には若い選手も多いし、スピードとかパワーが上がってくれば面白いチームになるんじゃないか」と話す。アンクラスが発展していくための、いい経験になった試合だった。
「スイッチが入っていなかった選手がいた」(河島監督)。そして試合は立ち上がりから伊賀FCが一方的に支配することになる。伊賀FCは素早いプレスでアンクラスから自由を奪って自陣内に押し込めると、ボールをしっかりと動かして連続攻撃を仕掛ける。攻撃の主体は左サイド。井坂美都と、それをフォローする村上真理にボールを集めて縦への突破を仕掛ける。そして前線では楔を受けて起点を作る村岡夏希と、スペースを狙う堤早希が存在感を見せる。
大きな声と動作で最終ラインをコントロールしたアンクラス・藤(オレンジ)。
試合は、ほとんど伊賀FCのハーフコートゲームと言っていい展開。それでもアンクラスは、最終ラインから大きな声と身振りで指示を出す藤陽子を中心に粘り強く伊賀FCの攻撃を跳ね返す。跳ね返したボールを拾われて、再び攻め込まれるという繰り返しも、局面で体を投げ出してボールをはじき返した。「前半惜しいチャンスが一杯あったが、そこで決められない。リーグの流れを引きずってしまった」(谷監督)。という伊賀FCの決定力不足にも救われて、スコアが動かないままに時間が経過していく。
「ちょっと時間がかかりすぎた」(谷監督)という伊賀FCの先制ゴールは、キックオフのホイッスルから24分後、伊賀FCの怒涛の波状攻撃から生まれた。まず村岡が放ったシュートはGK田上のファインセーブに幅まれたが、このこぼれ球に伊賀FCが鋭く反応。アンクラスのクリアが小さくなったところを那須麻衣子がシュート。さらに跳ね返されたボールを、最後は村岡が右足ボレーでゴールネットを揺らした。アンクラスも、さすがにこの攻撃を防ぐことは出来なかった。
ところが後半に入ると、微妙に試合の流れが変わる。「宮本が負傷で抜けてから、軸が抜けたという不安もあって、ちょっとバタバタした」(谷監督)。ボールを預ける場所と、長いボールによる大きな展開が消えたことで戦い方に落ち着きが消えた。それはアンクラスの戦いにも影響を与える。前へ出るチャンスが増えたことで攻めに出たい前線と、しっかり守りたい最終ライン。アンクラスのバイタルエリアにスペースができ始める。伊賀のハーフコートゲームから、互いに行ったり来たりの展開へ。試合全体に慌しさが漂い始めた。
突破を仕掛ける伊賀・堤(緑16)。スピードを生かしてゴール前に飛び出した。
そして60分、アンクラスは川村真理がGKと競り合いながらヘディングシュート。鮮やかな同点ゴールと思われたが、シュート後の接触プレーがファールとみなされてゴールは認められず。この時間帯はアンクラスに流れが来ていただけに悔やまれる判定だった。そして、その直後の63分、伊賀は堤が2点目をゲット。さらにアンクラスの集中が切れたところを突いて64分にも追加点。「バタバタと点が入って、まあ点が入るときはああいうものかな」(谷監督)。振り返ってみれば、この5分間の攻防が試合を決めた。
3点リードで伊賀が安心したからなのか、その後は伊賀から集中力が欠け、連携ミスが目立ち始める。そして主導権はアンクラスへ。68分、右サイドをドリブルで突破した花田愛子からのクロスボールを川村がフリーであわせて1点を返すと、ロスタイムには再び川村が最終ラインからのロングフィードを受けてゴールネットを揺らした。ただし、アンクラスの反撃もここまで。3点目を奪うには時間が残されていなかった。
終盤、バタバタとしながらも順当勝ちした伊賀FC。全体を見渡せば、なでしこリーグDiv1の実力を随所に見せた。アンクラスとの大きな違いはボールを奪ってからの切り替えのスピード。アンクラスがボールを奪ってからプレーを選択しているうちに、2人、3人と囲まれてしまうのとは対照的に、奪った瞬間にスイッチが入ったかのように、全員が一気に前へ向いて攻撃を仕掛けてきた。技術云々よりも、これが最も多きな違いだった。
Div2得点王の川村。終了間際のゴールで1点差に詰め寄ったが・・・
「パスコースを探すんじゃなくて、ボールを自分で運べということを言っているんですけれどね。L2ではできても、L1では、やれるはずなのにやれない。そこに気がつけるかどうかですね」(河島監督)。その言葉どおり、アンクラスのチャンスは、ボールホルダーが自分でボールを運んだときに生まれている。逃げずに勝負すればの思いもあるが、それも経験の差。この日の感触を体に覚えこませることで来シーズンの成長がある。
さて、伊賀FCの準々決勝の相手はTASAKIペルーレFC。2年ぶりのベスト4進出をかけて準々決勝で対戦する。「チャンスは少なくなるかも知れないけれど、しっかり点を取って、がっちり守って、勝利したいと思います」(谷監督)。今シーズンの対戦成績は、なでしこリーグでは2戦2敗も、国体では劣勢を跳ね返して2−0で勝利している。甲乙つけがたい好ゲームになりそうだ。
| (福岡J・アンクラス) | (伊賀FCくノ一) | |||||||
| GK: | 田上未希 | GK: | 小林舞子 | |||||
| DF: | 鶴原優 藤陽子 板谷麻美 野村由美子 | DF: | 小林恵 山岸靖代 馬場典子 村上真里(HT/四宮由美子) | |||||
| MF: | 花田愛子(74分/渋谷由美子) 堤晴菜 正手亜希子 光成芳恵(74分/松窪裕子) | MF: | 清原祐子 那須麻衣子 宮本ともみ(39分/中尾直子) 井坂美都 | |||||
| FW: | 川村真里 深澤里沙 | FW: | 村岡夏希(74分/渡辺由似) 堤早希 | |||||
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