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| 第29回全日本女子サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
岡山湯郷、ディビジョン1の貫禄を見せ付ける。
3回戦が行われた美作ラグビー・サッカー場は、雨模様だった。
第29回全日本女子サッカー選手権大会 3回戦 日テレ・メニーナvs.岡山湯郷Belle
2007年12月22日(土)13:30キックオフ 美作ラグビー・サッカー場 観衆:354人 天候:雨
試合結果/日テレ・メニーナ0−4岡山湯郷Belle(前0−1、後0−3)
得点経過/[岡山湯郷]中田(39分)、中野(7分、32分、65分)
取材・文/西森彰
昨年度の全日本女子サッカー選手権開催中、岡山湯郷Belleの本田美登里監督は、スタジアムで旧知の運営担当者を見かけた。そして、ひとつのお願いをする。
「元日の決勝戦まで残ったら、私たちのチームも、ちょっとは注目されると思うんだよね。それでひとつお願いがあるんだけれど、ウチのチームカラーはもともと紺じゃない。だから、決勝に残ったら、セカンドのユニフォームを着て出たいんだけれど」
頼まれたほうは、一瞬、戸惑いの表情を見せたが、その後、笑いながら頷いたという。
「『決勝戦ですね。いいですよ。万が一、そこまで勝ち上がったら考えましょう。勝ち上がったらね』って。もうね、ウチがベレーザに勝つなんて100回やって1回もない。絶対に起きようがない間違いが前提の話だから、いいよ。考えておいてやるよって。そんな感じだったんです」(本田監督)
そして、準決勝で大会史上最大の番狂わせが起きた。岡山湯郷は女王・ベレーザを相手に虎の子の1点を守りきったのである。
迎えた2008年の元日、国立霞ヶ丘陸上競技場。新品と思しき蛍光イエローの審判服を身に付けたレフェリーたちが先導する中、紺のユニフォームを着用して国立のピッチへ足を踏み入れる岡山湯郷イレブンの姿があった…。
一発勝負はかように危険を秘めている。昨年は、奇蹟的なアップセットを起こした岡山湯郷だが、この日は挑戦を受ける立場だ。対戦相手の日テレ・メニーナは2回戦で、なでしこリーグに準加盟する鹿児島鴨池FCアサヒナを二桁得点で撃破し、波に乗っている。
1週前、なでしこリーグの表彰式会場で、サポーターが選ぶMVPに選ばれた岡山湯郷のエース・宮間あやに話を聞いたが「次はメニーナですね。緊張しています。余裕なんて全然ありませんよ」。セリフこそ殊勝なものだったが、かつての後輩たちを迎え撃つにあたって「負けてられますか」という余裕を雄弁に語っていた。
本田監督も「決して悪い意味ではなくて、相手はベレーザじゃなくてメニーナ。いちおう、ウチもディビジョン1に3年在籍しているチームですから」とリラックスした状態。過度に構える風でもなく、淡々と迎え撃った。
しかし、雨中の試合は緊張感溢れるものになった。中間に姉貴分のベレーザに稽古をつけられていたメニーナの選手たちは、ディビジョン1のチームに気後れすることなくチャレンジする。「雨が降っていたけれども、却ってボールが走るピッチになって、ウチにはプラスだったと思う」と寺谷真弓監督。24分には、嶋田千秋がペナルティエリア左でボールを受けて、1対1のチャンス。しかし、ファーサイドを狙ったシュートはポストを掠めて右外へ消えた。
あわやの場面に肝を冷やした岡山湯郷だったが、ここから自力の差を見せ付ける。「相手はまだ体が完全にできていないし、こういう雨の中のゲーム。だから、フィジカルコンタクトを恐れずに、球際を強く」という本田監督の指示どおり、試合を進めていく。35分、宮間の蹴った右コーナーキックに飛び込んだのは中田麻衣子。得意の浮き球に頭を合わせて、先制ゴールを奪う。ロスタイムにも田畑沙由理、田中静佳らが、メニーナゴールを脅かし、前半の40分間を終える。
そして、後半に入ると41分、宮間がスルーパスを通して1対1のチャンスを演出すると、これを中野真奈美がゲット。中野は45分にもゴール前で田中のパスを受けて2点目を挙げると、60分、またもや宮間のアシストでハットトリックを達成。その後、メニーナも2度に渡り、岩渕真奈が1対1のチャンスを迎えたが、いずれも得点には至らず。4対0で岡山湯郷が貫禄を見せる形になった。
「最後のイエローカードは本当に余計だった。途中で何度か削られても、イライラしたところを見せていなかったから、最後まで使ったんだけれど」と本田監督が振り返ったのは、残り1分で宮間が受けた警告について。大会規定では2枚で次の試合が出場停止になるのだから、4点リードの試合でもらう必要はどこにもない。「まあ、あれはたぶん、緑の10番に対しての彼女なりの挨拶なんだろうけれどね」と諦めたように続けた。
前半、走り回る相手に対しても、混乱することなく落ち着いて対応できたあたりは、3年間、トップチームと対戦し続けることで蓄積された経験のなせる業。岡山国体の鹿児島代表戦の悪夢を思わせるゲーム展開にも、全く動じなかった。今季は怪我人が続出したこともあり、薄い選手層が泣き所になった。このあたりが、来年に向けての課題になるだろう。
いっぽう「1人前扱い」を受けた岩渕をはじめ、メニーナの選手たちはよくやった。寺谷監督も「良い経験ができたんじゃないか」と満足そうな表情。年明けには全日本女子ユース選手権が控えている。昨年度の大会ではセミファイナルで敗れている。なでしこジャパン候補生としては勝たなければいけない大会のひとつだろう。寺谷監督は「別の形でのプレッシャーがでてきますね」と気を引き締めた。
試合終了のホイッスルは、次の試合に向けたキックオフの笛。勝った岡山湯郷は赤コーナーから青コーナーに、敗れたメニーナは青コーナーから赤コーナーに。それぞれの立ち位置は、もう変わっている。
| (日テレ・メニーナ) | (岡山湯郷Belle) | |||||||
| GK: | 鈴木望 | GK: | 福元美穂 | |||||
| DF: | 佐々木繭、吉田百合奈、小林海咲、小林海青(58分/長澤優芽) | DF: | 安田邦子、城地泰子(63分/赤井歩)、保手濱理恵、杉山紫乃 | |||||
| MF: | 山内美夏子(48分/田中美南)、岸川奈津希、木下栞、岩渕真奈、 | MF: | 松田望、田畑沙由理、中田麻衣子(71分/神成美紀)、宮間あや | |||||
| FW: | 嶋田千秋、高橋彩織 | FW: | 田中静佳、中野真奈美 | |||||
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