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| 第29回全日本女子サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
超攻撃的サッカー。INACが岡山をねじ伏せる。
開始1分に生まれたINACの先制点が試合の流れを決めた。
第29回全日本女子サッカー選手権大会 準々決勝 INACレオネッサvs.岡山湯郷Bell
2007年12月24日(月・祝)13:30キックオフ 広島県営広島スタジアム 観衆:384人 天候:晴
試合結果/INACレオネッサ2−0岡山湯郷Bell(前1−0、後1−0)
得点経過/[INAC]渡邉(1分)、デルマ・ゴンサルベス(83分)
取材・文/中倉一志
昨シーズン、岡山にとっては飛躍の年だった。リーグ戦では日テレ、浦和、TASAKIの3強に次ぐ4位。全日本女子サッカー選手権では日テレをはじめて破って元旦の国立に足を進めた。しかし、順調な時もあれば、壁にぶつかるときがあるのもサッカーの常。今年はリーグ戦の順位をひとつ落とし、リーグカップも予選リーグを抜けることが出来なかった。そして迎えた全日本女子選手権。3強に続く成績を挙げたい気持ちは強かったはずだ。
そして今年の躍進チームはINACレオネッサ。リーグ戦では順位をひとつ上げて4位。今年初めて開催されたリーグカップでも準決勝に駒を進めた。選手の待遇や練習面などでの環境を整え、着々と上位チームを追いかけるチームの勢いは止まらない。昨年は一度も勝てなかった岡山に対しても、ここまで4勝1敗と立場を入れ替えた。今シーズン最後の大会で目指すものは3強の一角を崩しての国立進出。そのために目の前の岡山に挑む。
「一昨日の3回戦の岡山のゲームを選手と一緒に見たんですけれども、少し立ち上がりがスロースタートだったので、もしかしたらということで開始10分くらいは全開で行こうかということで前がかりで行ってみたんです」(田渕径二監督・INAC)。その思惑が見事すぎるほど当たる。INACの先制点は電光石火だった。岡山のパスミスを奪ったデルマ・ゴンサルベスが右へ展開。オーバーラップした山岸靖代のクロスボールに渡邉千尋が頭で合わせると、ここしかないというところにボールが吸い込まれた。
ゴール前で勝負を仕掛ける宮間あや(岡山・白)。
その後もアグレッシブに前に仕掛けるINACが岡山を圧倒する。フォーメーションは4−2−1−3。守備は6人に任せ、中央の渡辺を中心に、デルマ・ゴンサルベス、平野回梨佳、そしてトップ下に位置する米津美和の4人が、前後左右にポジションチェンジをしながらゴール前へ飛び出していく。中盤の守備を受け持つのは澤井理恵、原歩の2人だけだが、4人の前に出る迫力は、岡山に中盤にボールを入れることを許さない。
岡山がようやく落ち着きらしきものを取り戻したのは15分を過ぎたあたりから。極端に前がかりのサッカーを展開するINACの中盤に広がる大きなスペースを使ってボールをつなぎ始めた。しかし、それも長くは続かない。「自分たちからミスを起こして・・・。最初の失点もミスパスから。他の展開のところでも自分たからミスをしている」(本田美登里監督・岡山)。リズムを取り戻しかけてはミスかちらボールを奪われ、そのボールをシンプルに縦に配給されて、前の4人のあり余る迫力に押し戻される展開が続く。
試合の流れが変わったのは後半に入ってから。やや受けに回ったINACに対して岡山が反撃に出る。田中静佳にハイボールを当て、その落としたボールを拾って左右のスペースへ。いつしか試合はハーフコートゲームになっていく。ただ、やはりミスがなくならない。田中はハイボールに対する制空権を握るのだが、それをゴール前で生かす迫力がない。結局一方的にゲームを支配しながらも、この時間帯にシュートを打つことが出来なかった。
長身を生かしてハイボールをコントロールする田中静佳(岡山・白)
「先に点を取ると、岡山は後半にすごく来るので、出来るだけ集中して、お互いにコミュニケーションをとってしっかり耐えようといっていました。15分まで失点しなければ何とか耐えられるかなというのがあったので、そこら辺がちょっと勝負だったかなと思います」(田渕監督)。やがて15分が経過。INACには前半ほどの勢いはないものの、試合はイーブンの状態に。行ったり、来たりの展開を続けながら試合は進んでいく。
そして38分、米津美和、李珍和とつないで左サイドを突破したINACは、中央で待つデルマ・ゴンサルベスがDF2人に囲まれながらも、こぼれたボールをコントロール。左足で放ったシュートがゴールを捉えた。1点を追う岡山にとっては致命傷となるゴールだった。結局、3分間のロスタイムを経て試合終了のホイッスル。互いにリズムを刻む時間帯を作った試合も、終わってみれば、縦に早く、強引なまでに攻めに出るINACがゲームプラン通りに試合を進めて2−0。初の準決勝進出を果たした。
「落ち着かなかったですね。入り方が非常に悪かった、いい準備をして入れなかったかなというのがありますね」(本田監督)。縦に早いスピーディな展開はINACのリズム。もう少しゆったりとしたリズムで戦いたかった。ただ、そのためにはミスが多すぎた。「この力で、この成績というのはある意味仕方ないというのも・・・。もっと、もっと個人の力を上げないと限界だろうし、これ以上のところには戦術的なものではごまかせない」(本田監督)。つかの間のオフを取ってチームの始動は月中旬から。ぶつかった壁にチャレンジするシーズンが始まる。
個の強さは抜群。INACの攻撃的なサッカーはデルマ・ゴンサルベス(赤)が支える。
さて、「去年も同じ場所で、同じ相手の湯郷さんに1−1からPKで負けていたので、今年は是非、勝って上がりたいなと思っていました。選手たちはモチベーション高く戦ってくれたので、その結果が出てよかったなと思っています」とは田渕監督(INAC)。その穏やかな語り口からは想像できない激しく攻撃的なサッカーで岡山をねじ伏せた。初の準決勝の舞台では同じく神戸を本拠地とするTASAKIペルーレと対戦する。
「神戸ダービーはまだ一度も勝ったことがないので、今度は頑張りたいと思います。国立まで行けたら一番いい形で1年を締めくくれると思います」(同)。力関係からすれば、TASAKIの優位は動かない。しかし、昨年の大会では、心境著しい岡山が準決勝で日テレを下してサプライズを起こした。その再現がなるか。注目の試合は2007年12月28日にキックオフされる。
| (INACレオネッサ) | (岡山湯郷Bell) | |||||||
| GK: | 高田鈴子 | GK: | 福元美穂 | |||||
| DF: | 山岸靖代 藤村智美 菅亜矢子 李珍和 | DF: | 安田邦子 城地泰子 保手濱理恵 杉山紫乃 | |||||
| MF: | 澤井理恵 原歩 米津美和 | MF: | 田畑沙由理 松田望 中田麻衣子 宮間あや | |||||
| FW: | デルマ・ゴンサルベス 渡邉千尋(87分/園村奈菜) 平野回梨佳(75分/角田英子) | FW: | 中野真奈美 田中静佳 | |||||
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