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| 第29回全日本女子サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
TASAKI、狙い通りの勝利。大会連覇を目指して元旦の国立へ。
先発復帰を果たした大谷(TASAKI・ロゼ)は2得点を挙げる
第29回全日本女子サッカー選手権大会 準決勝 TASAKIペルーレvs.INACレオネッサ
2007年12月28日(金)13:30キックオフ 西が丘サッカー場 観衆:735人 天候:晴のち曇
試合結果/TASAKIペルーレ2−1INACレオネッサ(前2−0、後0−1)
得点経過/[TASAKI]大谷(16分、36分)[INAC]デルマ・ゴンサルベス(89分)
取材・文/中倉一志
「ペルーレさんは、しっかり守って坂口、山本とかを絡めながら前の2トップの得点能力を生かすチームなので、うちが最初に失点してしまうとかなり苦しい展開になる。まずは先制点を取るということが一番重要になると思いますし、その辺を注意しながら進めていきたいと思います」。田渕径二監督(INAC)は、全日本女子サッカー選手権で初の準決勝を戦うに当たって語っていた。昨年の岡山湯郷同様にサプライズを起こすには無失点が最低条件。誰もが同じことを考えていただろう。
しかし16分、その思惑が早くも崩れた。中岡麻衣子、阪口夢穂、そして甲斐潤子とボールをつないで右サイドに起点を作ったTASAKIがアーリークロスをゴール前へ。大谷未央が頭で合わせたシュートがゴールへと吸い込まれた。さらに36分、INACは絶望的とも言える2失点目を喫してしまう。「前半のプランが整わないうちに2失点してしまったのが痛かったかなというのが正直な感想です」。悔し涙をこらえながら、田渕監督は試合を振り返った。
けが人を含め、体調が万全の選手がほとんどいないINAC。立ち上がりにいつもの積極的な姿勢が見られない。シーズンが終盤に差し掛かった時期であれば、誰もが体に故障を抱えているものだが、「これでもか」と言わんばかりにアグレッシブに攻撃的なサッカーを展開することが出来ない状態では、さすがに厳しかった。しかも、けがの選手に代えて先発起用した米津美和が怪我を負い、そして、その米津が治療のためにピッチの外へ出ている時間帯に致命的な2失点目を喫した。
INACのエースデルマ・ゴンサルベス。直接FKで1点を挙げたものの、この日は思うようにボールが触れなかった。
「その状況がある程度予想されている中だったら、もう少し対応が出来たかなと思うんですけれども、その対応が遅れて追加点を取られて、ちょっと厳しいゲームになりました」(同)。INACらしさがまるで感じられない前半は、ただのひとつのシュートも放つことが出来なかった。対するTASAKIのシュートは実に16本。シュート以外のゲームスタッツを見ても、FKの本数以外はすべての面でTASAKIが上回っており、試合は完全にTASAKIが掌握していたことが分かる。
2点を追う後半、INACは角田英子をボランチの位置に置いて原歩をトップ下へ。「原の本来の位置は前。点を取りに行かなければいけない状況の中で、ある程度のリスクは覚悟で、少しリスキーになるけれども、マンツーマンで着いて相手のボールを奪い、前は4人で前がかりにやろうということでした」(同)。しかし、主導権を奪うには至らず。89分にデルマ・ゴンサルベスの直接FKで1点を返すにとどまった。
しかし、INACが選手の体調不良で悔しい思いをしたからこそ、TASAKIの強さが際立つ。TASAKIにとって今回の全日本女子選手権は、鈴木智子、大谷未央の両エースの怪我の様子と回復状況を確認しながらの戦い。3回線はFW不在で、準々決勝では若い坂井優紀を先発起用して臨んだ。しかし、その戦いは万全そのもの。得点力に不満は残るものの、いずれの戦いも全く危なげなく勝ち進んできた。派手さはない。しかし、負ける要素もない。
後半に入って原をトップ下挙げて反撃を試みるINAC
その戦いは「したたか」という言葉が良く似合う。「内容には満足していません」という仲井監督に、その言葉を投げかけると、次ぎのような答えが返ってきた。「タイトルを取ることを目指す中、FWが怪我で状態が良くないけれども、それでも勝ち上がる、そのためにどういう風に駒を回すのかということ。また、短期間の大会なので、疲れを考えての選手起用とゲーム運びというものをやっていました」(仲井昇監督・TASAKI)。その表情には、ここまでは計算通りという手応えが浮かぶ。
仲井監督が「今日の試合はその典型」と言うINACとの準決勝は見事なまでに試合をコントロールしたものだった。先制した後は無理には仕掛けず。バランスの取れた布陣は相手のパスコースを消し、不用意にボールをキープする相手には全員が連動して高い位置からプレスをかける。最終ラインは細かな上下動を繰り返し、チャンスと見るや、一転して素早い攻撃を繰り出した。やるべきことを当たり前のようにこなしていく戦いは完璧そのもの。後半も20分を過ぎたあたりでINACから反撃の術を奪い去ってしまった。
日テレ・ベレーザに逆転優勝をさらわれたリーグ戦の悔しい思いを胸に、狙い通りに決勝戦に駒を進めたTASAKI。「接戦に持ちこむというのが我々の望みです。ベレーザ相手に3点、4点とって、向こうが0ということはまずないと思っているので、1点差ゲームをいかに勝ちきるのかということになると思っています」と仲井監督は展望を語る。今シーズンの1点差ゲームは9勝2敗。逆転負けは1試合しかない。接戦を制する「したたかさ」は実証済みだ。
球際で激しく競り合う両チーム。
決勝戦で対戦するベレーザとの今シーズンの対戦成績は1勝3敗、3得点11失点と数字の上では分が悪い。準決勝で選抜した大谷、15分のプレーにとどまった鈴木のけがの回復状況も気になるところだ。それでも、TASAKIが今大会で見せる「したたかさ」は、これまでとは違った結果を手繰り寄せる可能性は十分にある。ひとつ抜けた個人能力の高さを発揮して攻撃的サッカーを展開するベレーザとは異質の強さで大会連覇を目指す。
そしてINAC。最後は悔し涙にくれることになったが、なでしこリーグ、なでしこリーグカップ、そして全日本女子選手権と、すべての大会でベスト4に進出した結果は胸を張れるものだ。「去年から比べると順位的には1つしか上がっていないんですけれども、ひとつ上がることが重要でした。いきなり上には上がれないので、ひとつづつステップアップをしていきたいと思っていましたので、結果的にはよかったと思います」(田渕監督)。次ぎなる目標は3強の一角を崩すこと。INACのチャレンジは続く。
| (TASAKIペルーレFC) | (INACレオネッサ) | |||||||
| GK: | 佐々木香織 | GK: | 高田鈴子 | |||||
| DF: | 甲斐潤子 磯ア浩美 下小鶴綾 佐野弘子 | DF: | 藤村智美 山岸靖代 菅亜矢子 李珍和 | |||||
| MF: | 阪口夢穂 白鳥綾 中岡麻衣子(72分/坂井優紀) 大石沙弥香(89分/田中明日菜) 山本絵美 | MF: | 澤井理恵 原歩 デルマ・ゴンサルベス | |||||
| FW: | 大谷未央(75分/鈴木智子) | FW: | 村奈菜(42分/角田英子) 渡邉千尋 米津美和 | |||||
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