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| 第31回全日本女子サッカー選手権大会 | <前へ|次へ|indexへ> |
ベレーザ、強さの証明。浦和を寄せ付けず頂点に立つ。
3年連続10回目の優勝を飾ったベレーザ。浦和を全く寄せ付けなかった。
第31回全日本女子サッカー選手権大会 決勝 浦和レッズレディースvs.日テレ・ベレーザ
2010年1月1日(元旦)10:30キックオフ 国立競技場 観客数:12,648人 天候:晴
試合結果/浦和レッズレディース0−2日テレ・ベレーザ(前0−0、後0−2)
得点経過/[ベレーザ]大野(49分)、澤(77分)
取材・文/中倉一志
「元旦の国立」という特別な舞台で見せたベレーザのサッカーは、予想をはるかに超えた強さを伴ったものだった。90分間に渡ってボールポゼッションし、高い位置からのハイプレスと連動した守備でことごとくボールを奪い去る。その強さは、リーグチャンピオンの浦和にチャンスの芽さえも作らせなかったどころか、サッカーそのものをさせなかった。ため息が出るほどの強さ。この日のベレーザには、その言葉がふさわしい。
それはベレーザのプライドの証明でもあった。
「なでしこリーグでポゼッションしているのはうちしかない。強いチーム相手にポゼッションをしなかったら、それはポゼッションサッカーじゃない。そういう意味ではプライドもあった」(星川敬監督・ベレーザ)。
星川監督は、準々決勝終了後に「きちんとテーマを持って1年間、チームを作ってさえいれば、完成度が高まるこの時期にチームが強くなるのは当然のこと」とも話していたが、自分たちがこだわるサッカーで他を寄せ付けない強さを見せたいという思いもあっただろう。
しかも、タレントの豊富さでは他の追随を許さないベレーザが、自分たちのこだわるポゼッションサッカーを成熟させただけではなく、90分間に渡ってフルパワーで走り続け、仲間のために労を惜しまずにプレーするのだから、浦和が付け入る隙を見いだせなかったのも当然だったのかも知れない。
この日のベレーザはいつもの4−3−3の布陣。そして前線の左サイドに澤を、トップ下の位置に大野を配した。「向こうのキーマンは柳田選手だというのは分かっていました。うちはキープレーヤーがすごく多く、澤がどのポジションに入ってもチームの力は変わらない。だったら相手のキーポイントを潰してしまった方がうちのサッカーがしやすいと考えた。澤に守備面で期待していた」(星川監督)。そして、好調を維持する大野をゴールに近いところでプレーさせようという考えもあっただろう。
先制点は大野忍。縦に抜け出すスピードを活かした彼女らしいゴールだった。
澤は狙い通りに対峙する柳田美幸を抑え込んだ。浦和のサッカーは中盤で手間をかけずに、早めに2トップにボールを送り込み、安藤梢と北本北本綾子の縦へのスピードとパワーで相手を押し込んで、そこへ後方の選手がサポートするというもの。その起点となる柳田が潰されてしまっては、浦和は翼をもがれたも同然だった。「今日は特に攻撃の起点になるところが見いだせなかったというか、収まりが付かなかったというところで、チーム全体としてボールを動かす、攻撃に関わる人数を増やしていくことが上手く出来なかった。それが一番大きな敗因」と村松浩監督(浦和)も振り返る。
また、ベレーザのチームとしての守備意識の高さも、浦和を圧倒した大きな要員のひとつだ。それは正確に表現するのなら、「守る」ということではなく、攻撃をするために、どうやって相手からボールを奪うかという意識の高さ。前線から最終ラインに対してプレッシャーをかけ、アプローチを仕掛ける選手に連動して相手囲い込んでボールの出しどころを限定し、そこへ出てきたボールを奪って素早く攻撃に移るベレーザのサッカーは、浦和から完全に自由を奪い去った。
前半はスコアレスで折り返したが、ベレーザが5回の決定機を含めて9本のシュートを放ったのに対し、浦和のシュートは記録上の1本だけ。浦和は全く何もさせてもらえなかった。「ハーフタイムには、戦術的な部分というよりも、落ち着かない時間帯がすごくあったので、自分たちのリズムを引き出すために、もう少し落ち着いてサッカーをしようと伝えたのが大半」と村松監督は話したが、それは逆に言えば、戦術的に打つ手が見いだせなかったことを意味している。
全く何もさせてもらえなかった安藤梢。悔しさの残る決勝戦になった。
もはや、ベレーザの得点は時間の問題だった。そして49分、その瞬間がやってくる。始まりは永里優季が狙い通りに浦和のパスをインターセプトしたところから。そのまま縦に送り込むと、大野が持ち味である縦へのスピードを活かして最終ラインを突破。右足で捕らえたボールがゴールネットを揺らした。
その後も手を緩めずに攻め続けるベレーザの前に、浦和は疲弊していくのが手に取るように分かる。自分たちのリズムを全く出させてもらえない展開では、それも無理からぬことだった。
そしてベレーザの追加点は77分。右サイドの直接FKで始まったシーンは、最後は岩渕真奈が右サイドからファーサイドへ送ったクロスボールに、一瞬のスピードでゴール前に飛び込んでくた澤が右足で合わせて終わらせた。
その後も一切の手を緩めないベレーザ。そして、90分間に渡って自分たちのサッカーを見せ続けて10度目の女王の座についた。
浦和にしてみれば、これだけのサッカーをされてしまったら打つ手はなかった。彼女たちがリーグチャンピオンであることは間違いなく、それは実力で勝ち取ったものであることも誰もが認めるところ。この日の試合は浦和に問題があったのではなく、ベレーザの見せたサッカーが強すぎたとしか言いようがない。
そのプレーはまさにいぶし銀。攻守に渡って要所を締めて若い選手たちを盛り立てた。
「勝つか、負けるかという勝負の世界では、勝者がいれば敗者もいる。どちらかが敗者の役割を担わなければいけないという意味では、今回は我々が敗者に甘んじたということに尽きるかなと思う」と村松監督は、いつもと変わらぬ穏やかに口調で試合を振り返った。
もちろん、何もさせてもらえなかった試合に悔しさが残らないはずはない。そして、その悔しさは2010年シーズンで返すしかない。悔しさは成長の糧。浦和もこのままで済ます気はないはずだ。
そしてベレーザ。この日見せた圧巻のエピローグは、1年間、自分たちの目線をぷらさずに、ひとつ、ひとつ積み重ねてきたことが要因。澤は話す。
「多分、どこのチームよりも練習はすごくしているし、練習内容もすごく濃いいし、ひとつ、ひとつの練習にこだわってやっているし、そこが自分たちが自信を持っていられるところ。出来ないことも多いんですけれども、出来ないからすごく練習しますし、みんな考えますし、そのままで終わらせないですし、だからみんな、1日、1日成長していると思います」
それがベレーザの伝統であり、ベレーザの強さの秘密だ。そして、今大会では、1年間を経て、永里優季、岩渕真奈、原菜摘子、木龍七瀬ら若い選手が成長の後を示したことが何よりも大きい。そうした選手たちが中心になって戦う2010年シーズン。次の目標がリーグタイトルの奪還にあることは間違いない。
| (浦和レッズレディース) | (日テレ・ベレーザ) | |||||||
| GK: | 山郷のぞみ | GK: | 松林美久 | |||||
| DF: | 土橋優貴 西田明美(77分/堂園彩乃) 矢野喬子 森本麻衣子(59分/竹山裕子) | DF: | 近賀ゆかり 岩清水梓 豊田奈夕葉 須藤安紀子 | |||||
| MF: | 柳田美幸 庭田亜樹子 熊谷紗希 高橋彩子 | MF: | 南山千明 原菜摘子 大野忍(81分/荒川恵理子) | |||||
| FW: | 北本綾子(71分/松田典子) 安藤梢 | FW: | 木龍七瀬(52分/岩渕真奈) 永里優季(88分/宇津木瑠美) 澤穂希 | |||||
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